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不祥事報道におけるISO認証の取消、一時停止について

JUGEMテーマ:ビジネス

組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「認証の取消、一時停止」について。

 

2018年の報道では、多くの企業において製品検査データの改ざんが頻発しました。

記憶をたどれば、耐震・免震系製品、金属製品、自動車の燃費、杭打ちデータ・・・など枚挙にいとまがありません。

 

また、数年前であれば、工業製品製造業や建設業だけでなく、食品業界における食品偽装などもありましたし、サービス業では、保険業界における不払い問題もありました。

さらに、事故、犯罪報道を含めれば、通販会社の物流倉庫火災、データセンター火災や不正会計などもあります。

 

こうした不祥事等の報道があると、認証機関は、

・認証組織か否か

・認証組織に該当する場合は、登録範囲か否か

といったことを調査します。

 

少々感覚的な話となりますが、以前(2000年以前)であれば、事故や犯罪に関する組織不祥事の報道があっても、「認証しているのは品質マネジメントで仕組みの保証だから」とか「虚偽報道と環境マネジメントは関係ない」といった概念を持つ人も関係者の中には多かった気がしますし、世間のISOマネジメントシステム認証における社会的な位置づけや期待もそんなに高くなかった気がします。

 

しかし、昨今では、少なくとも企業にまつわる不祥事等の報道があると、認証機関はもちろん、世間一般の人も、ネットで検索して、その企業がISOマネジメントシステム認証を受けているかどうかをチェックしています。

その結果、その企業が、ISO認証に関係がある(厳密には、認証対象外の業務であっても)となると、ネットでは、「ずさんな管理で事故を起こした〇〇企業はISO取得企業だった」といった情報もよく飛び交っています。

 

話を少々認証機関に戻しますが、認証機関では、不祥事等の情報を入手すると、認証の取消や一時停止に相当する事象であったか否かの情報収集を実施し、その程度により臨時審査を実施して、認証登録の取消や一時停止、認証継続の審議をする仕組みとなっています。

 

ただ、機関の考え方もあるので、一概に「おかしい」とは言えませんが、例えば、「検査データ改ざん」の問題があると、機関が認証に与える影響を「品質マネジメントシステム」と決めてかかって議論を進めているケースがあります。

確かに、この事例でいえば、検査データそのものは「製品品質保証情報のひとつ」ではありますが、厳密に言えば、検査データ不正により、製品の再製作や改修工事が発生すれば環境影響も発生します。

また、「優良誤認」に該当すれば、景品表示法が関係してくるかもしれませんし、不祥事等の根本原因が組織ガバナンスやコンプライアンス意識の欠如にあるならば、情報セキュリティ、労働安全衛生などのマネジメントシステムへの影響もあるかもしれません。

 

いまや、ISOマネジメントシステム認証は、企業間取引の「BtoB」だけでなく企業対消費者間取引の「BtoC」としても社会的な意義を果たしています。

したがって、会計不正や事故といった一見、提供する製品・サービスには直接関係ないと思われる問題であっても、他のマネジメントシステムの認証に及ぼす影響に関して調査する必要性が認証機関には求められるでしょうし、世間一般も「組織マネジメントの問題が関係しているのでは?」という観点でチェックしていくことが、ひいては、認証企業の価値向上につながるといえるでしょう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ629号より)

 

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 05:14
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ISO認証制度:登録範囲の表記と産業分類

JUGEMテーマ:ビジネス

 

組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「登録範囲の表記と産業分類」について。

 

以前のコラムで、JABに認定されているISO審査登録機関(認証機関)は、登録証に記載する登録範囲の表記について、ISO9001(品質マネジメントシステム)、ISO14001(環境マネジメントシステム)については、原則、NACEコード(経済活動分類)に基づいて、産業分類が特定できる表記で登録証を発行していることを解説しました。

すると、知人から「このような表記も議論の余地があるよね」という連絡をいただきました。

 

具体的な組織と登録表記を詳細に紹介すると差し障りもあるので、若干編集していますが、次のような事例です。

 

事例1

・登録組織A

・登録表記:

1)住宅の開発・設計

  2)住宅の住宅ユニットの製造及び部材の調達

  3)住宅の設計管理、生産管理、施工管理、アフターサービス管理

・産業分類:6(木材等)、17(基礎金属、加工金属)、34(エンジニアリング等)

検討事項:

3)は、1)、2)を管理する組織内部のプロセスで市場に提供する製品・サービスではない可能性

 

事例2

・登録組織B

・登録表記:

 1)電気制御システムの設計及び施工

  2)産業機械の設計、製作及び据付

  3)電気制御システムに関する装置の製作

 ・産業分類:18 機械、装置、 28 建設

検討事項:

3)は、産業分類19が必要となる可能性

 

事例3

・登録組織C

・登録表記:

1)防火水槽の据付及びアフターサービス

2)自動ドア装置、高速シャッター、防排煙設備の据付、保守点検及びアフターサービス

・産業分類:17(基礎金属、加工金属)、28(建設)

検討事項:

「保守サービス」が単独の製品・サービスであるならば産業分類「23(33.1)」(その他の装置の修理業)が必要

 

事例4

・登録組織D

・登録表記:「住宅部材の製造及び出荷」

・産業分類:6(木材等)、16(コンクリート等)、17(基礎金属、加工金属)

検討事項:

「出荷」は組織のプロセスであり登録表記としては不要の可能性

 

事例5

・登録組織E

・登録表記:

1)造園工事(公共工事に限る)

2)土木構造物の施工(公共工事に限る)

3)緑地維持管理業務(公共工事に限る)

4)指定管理者業務

・産業分類:28(建設)、35(その他専門サービス)

検討事項:

「指定管理者業務」は「発注形態」であり、具体的な製品・サービスの表記が必要

 

上記の事例は、ほんの一例ですが、登録組織のウェブサイトと照らし合わせてチェックすると「登録範囲の表記」に懸念があるもの、「産業分類」に懸念があるものがあることが分かります。

実際には、組織の状況や認証機関の登録表記や産業分類の考え方をお聞きしないと適否の判断はつきませんが、少し気になるところです。

 

なお、今回のテーマである「登録範囲の表記と産業分類」は、

・市場や社会に対して登録組織の情報を正確に伝える

という目的があることには間違いがありませんが、もうひとつ重要(どちらかというと認証機関の認証プロセスを評価する上で)なことがあります。

それは「組織審査担当している審査員の力量」です。

審査員の力量は、産業分類と連動して規定しているケースが多いので、「その組織審査に適切な審査員が配置されていない可能性」です。

 

登録範囲の表記と産業分類については、もっと複雑な議論が必要なケースが他にたくさんあります。

機会をあらためて、コラムで取り上げてみたいと思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ632号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 11:26
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ISO認証組織に対する一般からの苦情

 

日本企業が、ISOマネジメントシステムを最初に認証されてから、約30年が経過しました。

今の時代、社会経験がある方なら、「ISO」ということばを聞いたことが全くない、という人はほとんどいないのではないでしょうか。

 

20歳で働きだしたとして、現在の多くの会社の実質的な定年は「65歳」です。

つまり、ISO取得が日本の企業で始まり「30年」とは、ざっくり言って「50歳以下の人」の多くは、社会人になった時から、ISOという言葉を耳にして、殆どの会社員人生において、自分の組織には、ISOに基づくマネジメントシステムが整備されていたわけです。

 

ただ、ISOに基づくマネジメントシステムの整備や運用、改善は、いわゆる「ISO事務局」が担っているケースが多く、本来、日常的にISOで整備されたマネジメントシステムによって社内業務を実施しているはずなのですが、「ISOマネジメントシステム認証制度」自体の理解は、「分かっていない」人が殆どでしょう。

 

ISO認証制度は、基本的に、BtoBビジネスに不可欠だ」という人もいて、「BtoCビジネス」には、「向いていない」という人も業界にはいます。

確かに、ISO認証制度は、「11個のモノの品質や性能を保証」する制度ではなく「顧客要求事項を満たした製品(サービス)を作り出す仕組みの能力を保証」する制度です。

したがって、何千個、何万個の部品や製品を取引する場合、瞬間最大風速的に品質が安定しているだけでは何の意味もなく、閑散期も繁忙期も関係なく、継続的な品質の安定性が求められるので、その証拠として「ISOマネジメントシステムにおける認証」が取引の条件となるわけです。

 

一方「BtoC」の場合は、毎日、かつ、大量に需要しているわけではないので、

・問題があった場合の対応、対処力

・再発防止の確実さ

といったことよりも、「ブランド力」とか「価格」、「世間の評判」といったことが「購買動機」となるのでしょう。

つまり、「期待する品質を常に維持するための仕事の仕組み」ということについては、ほとんど関心がない、のではないかと思います。

 

話は少しそれますが、業界の仲間と話していて、認証機関に寄せられる「認証組織に対する苦情」としては、

・不動産業

・建設業

が多いようです。

 

ニュースでは、昨今であれば、日産自動車、三菱自動車の完成検査不正、KYBや三菱電機、日立化成などの検査データ改ざん、食品産業における異物混入・・・などがすぐに頭に浮かぶ不祥事ですが、こうした企業に関する一般の人からの苦情は意外に多くないようです。

私の感覚からしたら、上記のようなニュースになった企業の認証について、

・なぜ機関が実施した認証審査で不正は見つからなかったのか?

・組織の内部監査は機能していたのか?また認証機関はそれをしっかり検証していたのか?

といった不満や疑問を担当認証機関に「苦情や問い合わせ」として寄せてもいいのではないか、と思いますが、現実的には、ほとんどないそうです。

 

その一方、例えば、

・自分の住んでいるマンションの大規模改修に関するもの

・自分の住んでいるマンションの更新契約に関するもの

・近隣(土木、建築)工事に関するもの

・・・

といった苦情や問い合わせは、結構あるようです。

 

少し話題の切り口を変えますが、こうした「不動産会社や建設会社」に関する苦情について、機関では、

・苦情のあった業務は認証対象外業務である

・苦情のあった業務は認証対象外部門の業務である

・近隣トラブルであり、組織に責任はない

・・・

といったように、感覚的には、「認証外である」、「認証機関には関係がない」といった処理をしているケースが多い気がします。

 

確かに、「業界人」からすると、そのような機関の判断に誤りはありません。

しかし、苦情申し出者にとっては「納得いかない」、「腑に落ちない」と感じているケースも多いようで、その後も、何度も機関に同じ件で問い合わせをしているケースもあります。

ただ、そう何度も問い合わせをすると、機関側は「クレーマー」として認識します。

 

例えはガラッと変わりますが、日産のゴーン元会長の逮捕の際に問題になった「有価証券報告書の役員報酬」です。

私たち、一般の素人からすれば「なぜ、監査法人は何年も見逃していたのか?」と思います。

しかし、報道では、「役員報酬の記載に関しては監査対象外」との話があります。

「会計監査の世界」では、そうなのかもしれませんが、やはり、私たち一般人からすれば、「なんで、監査対象外なんだ、対象外ならなんのための会計監査なんだ」と思うわけです。

 

会計監査の世界は、門外漢なので、コメントを控えますが、マネジメントシステム認証の世界について、現状では、機関は、

「監査に瑕疵はない」

「監査対象外なので、これ以上の問い合わせには答えかねる」

との判断になってしまうのは当然です。

ただ、一般人のマネジメントシステム認証に対する期待や信頼性アップのためには、例えば、

・認証範囲(製品、部門)の捉え方(限定はできるだけ認めない)

・苦情や問い合わせに対する公表制度の充実

といったことにも目を向けていく必要があるのではないかと思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ623号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 08:40
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JR東日本の送電ケーブル火災による停電と担当ISO認証機関

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2019年2月25日に送電ケーブルが燃えたことが原因の「JR東日本の中央・総武線停電による4時間半の運行停止」の続報です。

2月26日に各社がこの火災原因やJR東日本がコメントした再発防止策について報道していましたので、下記に整理しておきます。

 

・2月26日にJR東日本東京支社は、線路保守工事の防火対策などの再発防止策を発表した

・再発防止策は、火花が出る工事の作業手順を見直しと、送電ケーブルの耐火性を向上

・火災現場近くの鉄橋では2018年末から補強工事を実施している

・2月25日未明には、研削機械で金属製リベットを削り取る作業が行われていた

・作業終了後、作業中に火花を浴びていた防炎シートを畳んだ

・畳んだ防炎シートは、他の工事用資材と一緒に約70メートル離れた線路脇に置いた

・2月25日午前4時55分ごろに出火し、送電ケーブルなどが焼けた

・出火原因は、シートに残っていたリベットの削りかすが火種になった可能性が高い

・再発防止策として、送電ケーブルを鋼管に入れて耐火性を高める

・工事で、火花が生じる作業では消火確認を徹底する

・ケーブル近くに資材を置かないなど作業手順を見直す

そうです。

 

ちなみに、JR東日本のウェブサイトを確認しましたが、2月25日の停電についてのお詫びや再発防止については、(私が確認した範囲では)掲載されていませんでした。

https://www.jreast.co.jp/information/

なお、今回の停電に関する所管支社は「東京支社」だそうです。

 

JR東日本のウェブサイトでは、例えば、千葉支社とか仙台支社、新潟支社などは、個別のページが作られていて、支社に関するプレスリリース情報が比較的頻繁に更新されています。

・(例)千葉支社のページ https://www.jreast.co.jp/chiba/

しかし、「東京支社」は「本社」と所在が同じためなのか、個別ページがありません。

今の時代、このような社会を賑わす事故等が発生すれば、プレスリリースはもちろんのこと、ウェブサイトにも経緯を掲載するのが一般的です。

けれども、JR東日本の場合は、今回の「国立大学2次試験当日の停電に伴る鉄道運休」について現状、ウェブサイトに記載がありません。

 

JR東日本の場合、人身事故などは、毎日のように発生していますから「情報をアップしていたらきりがない」ということなのかもしれません。

しかし、社内に、この案件はプレスリリース&ウェブサイト掲載事案、このケースは案件は問い合わせがあったら個別に回答する事案、というような「情報公開手順」が確立していないとしたら、マネジメントシステム上、問題があるように思います。

 

今回の「線路保守工事」の管轄がJR東日本のどの部署なのかわかりませんが、JABのウェブサイトで「東日本旅客鉄道」と検索すると、いくつもの車両センターが認証登録されていることが分かります。

例えば、

・組織名:東日本旅客鉄道 株式会社 東京電気システム開発工事事務所

・認証範囲:JR東日本グループの電気システムと設備に係わる

調査、研究、開発、設計管理及び施工監理

・産業分類:19(電気、光学的装置)、28(建設)

・認証規格:JIS Q 9001:2015 (ISO 9001:2015)

という登録組織があります。

https://www.jab.or.jp/system/iso/search/detail/org/106907/

仮に、この組織が今回の工事を所管していたとすると、審査を担当した認証機関は、臨時調査や特別審査を実施して、これまでの審査の妥当性や組織のマネジメントシステムの適切性を臨時に検証する必要が出てくるでしょう。

 

それにしても、送電ケーブルの被覆(収納)ケースが樹脂製というのは驚きです。

当たり前ですが「電車」は、「送電がストップすれば終わり」ですから、そもそも「送電ケーブルの収納ケースの設計思想に問題があった」ように思います。

また、「火花を防御していた防炎シートが燃える」という想定がされて、対応手順が確立されていなかったのか、という点も疑問が残ります。

 

線路保守工事部門がISO取得していれば、担当認証機関によってしっかり調べてもらいたいですし、そうでなくても、JR東日本は、今回の停電に至った経緯をしっかりとウェブサイトに掲載して一般に情報公開をもっと徹底して欲しいものです。

 

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 10:33
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公平性について諮問する委員が利害関係者を代表している基準について

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組織のマネジメントシステムを評価する認証機関(ISO認証機関)に、公平性が求められることは当然です。

言わずもがなですが、認証機関が、公平性を欠くような組織運営をしていれば、その認証機関が発行した「認証書」の信頼性が世間的に損なわれるのは必至です。

 

認証機関に対する要求事項として代表的な規格に「マネジメントシステムの審査及び認証を行う機関に対する要求事項」(ISO/IEC 17021-1)があります。

この規格では、

(規格から引用)

「認証機関の公平性に対する脅威の発生源としては、所有、統治、マネジメント、要員、共有資源、財務、契約、教育・訓練、マーケティング、及び売上手数料の支払又は新規依頼者紹介に関わるその他の誘引条件に基づくものが挙げられる」

(引用ここまで)

 

と規定されています。

つまり、わかりやすい事例としては、認証機関に相当数の顧客を紹介する「顧客紹介者」がいる場合、一般論として、何も管理策を施していなければ、顧客紹介者の顔色を見て認証業務を実施することになり「認証活動が公平性を欠いている」と考えられるでしょう。

 

最近の世の中は、会計監査法人やISO認証機関に関わらず、一般企業でも「利害関係者からの金品の受け取りは遠慮させていただきます」とウェブサイトで明確に宣言している企業が多いですが、これも、「分け隔てなく公平、公正な仕事をする」ことを方針としていれば、具現化するための方策なのでしょう。

話は変わりますが、第一次安倍内閣当時の安倍首相の事務所に、拙著を献本したことがありました。

 

すると、安倍事務所からお手紙とともに献本が返送されてきて、趣旨としては「公平な政治活動を実施するためにすべての方からの提供物の受け取りを遠慮させていただいております」の文書が添えられていました。

他の政治家の方からは「献本いただきありがとうございます。参考にさせていただきます」旨のお礼状があったのですが、安倍首相は、要は「受け取り拒否」だったので、「清廉潔白な方だな」と当時は感心した思いがありました。

(森友、加計問題の報道を見ていると、なぜ、国民から公平性に疑念を抱かせる政策決定をしてきたのか不思議でなりません)

 

話を認証機関に戻しますが、認証機関では、公平な組織運営を実現するために、

「利害抵触に関連するリスクを現状に即して特定し、分析し、評価し、対応し、監視」をしています。

また、そのリスクアセスメントプロセスにおいて、「透明性及び一般社会の認識を含む公平性に影響する問題について助言する適切な利害関係者の特定及び適切な利害関係者への諮問を含め、いずれかの利害関係者だけに偏らない」ように注意しながら「委員会」を構成しています。

 

一般的に認証機関は、公平性担保のための諮問機関として委員会を構成し、構成メンバーは、政府機関、産業界、NGO、学識経験者、消費者から選出しているケースが多いようです。

個人的には、こうした委員に選出される方は、公職や民間組織の要職を多数兼職していることが多く、「本当にその利害関係者を代表しているといえるのか?」という疑問が生じるケースがあります。

よいアイディアは持ち合わせていませんが、兼職する業務比率などより「この利害関係者を代表している」といえる「外部から疑義を生じさせない基準」を認証機関はもっと明確にしてもよい気がします。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ591号より)

 

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 07:04
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マネジメントシステム認証の信頼性が高まる認証書の標記

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今回のテーマは、「マネジメントシステム認証の信頼性が高まる認証書の標記」について。

 

今回のテーマでよく話題になるのが、

◆「製品実現プロセスの事例サンプリングができない場合の認証書の標記は本来どうあるべきか」

です。

 

ISO9001の認証が日本において普及し始めたころ、つまり、1990年代前半は、「設計開発の事例の有無」の議論がありました。

これは、どういうものかといえば、製造業において、ある程度、技術が確立している汎用タイプの定番商品が99%で、いわゆる「設計開発する製品」は、12年で1件あるかないか、という場合の審査についてでした。

このケースで、問題になるのは、

「認証サイクル3年で設計事例が1回もなかった場合」

です。

 

考え方について、大きくは「2つ」あり、ひとつは、

「設計開発を適用除外にして認証書を発行する」

という方法です。

この方法は、市場に対しては、「誠実」な認証の公表といえるかもしれません。

 

ただ、このケースは、「組織に設計開発の責任が生じない場合」が基本です。

つまり、発注元が製品の設計を担っていて、委託工場のように「生産することが目的の組織」が認証を受ける場合は、問題ありません。

しかし、組織に、設計する気は満々で、かつ、能力も、仕組みもあるのに、「受注がなく実例がない」場合は、キビシイといえるかもしれません。

 

ふたつめの考えは、

「「○○の設計、製造」として認証書を発行する」

という方法です。

 

ISO認証は、仕組みが確立され、継続的に改善されているか、を認証すべきものですから、審査を通じて、「設計の仕組み」、「設計する組織の能力」がしっかり確認できれば、いいといえるかもしれません。

 

「事故や緊急事態、苦情」のように、「発生しないものは、事例は確認しようがない」のですから、仕組みや実行能力をどのように組織が維持しているかを確認でいればいいのではないか、という意見はもっともです。

 

ただ、マネジメントシステムの要求事項の重要度でいえば、設計開発は高いといえるので、「事例を審査で確認していないのに、そのまま登録証を出していいのか?」という疑念は必ずあります。

 

そこで、私は、私見ですが「ふたつめの考え」プラスαを提案します。

つまり認証書に、

「○○の設計、製造」(ただし、設計についてはシステムは確立していたが事例確認ができていない)

というような標記です。

もちろん、その後のサーベイランスで設計事例が確認できれば、但し書きは削除した認証書を出せばいいわけです。

 

このケースは、「設計開発事例」ですが、逆に「施工管理プロセス事例がない」ケースもあります。

例えば、大規模なプラント建設を主たる事業とするエンジニアリング会社では、プラントの保守・メンテナンス業務はあっても、新規施工案件は、設計事例はあっても、施工事例は数年無い、というケースはあります。

この場合、認証書は、

「○○プラントの設計、施工、保守・メンテナンス」(但し、施工については現地施工は除く)

というような標記になります。

 

マネジメントシステム審査は、いくら「仕組みの審査である」といっても、認証機関が認証書を発行するということは「仕組みがあって、それを規制要求事項や顧客要求事項に対して実施可能な能力があること」を認証機関は、自信をもって市場に公表するわけですからですから、事故や緊急事態のような非定常業務でない限り、事例が数年(一般的には1認証サイクル)確認できなかったら、なんらかの限定が付いた認証書を発行するのが本質ではないのだろうか、と思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ609号より)

 

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 05:41
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住友重機械グループの不適切な検査等の公表内容について

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2019124日付の共同通信社が、

「住友重機械、新たな検査不正 計288件、一段と拡大も」

という見出し記事を報じていました。

 

この記事によると、

・住友重機械工業は、124日に、同社と子会社3社で計288件の検査不正が新たに見つかったと発表した

・半導体の製造装置などのデータを改ざんしたり、動く歩道を無資格者が検査したりしていた

・検査不正には、スキー場のリフトの一部装置も含まれていた

・調査が進めば、不正件数はさらに拡大する見込み

・昨年も不正が発覚しており、品質軽視とコンプライアンス(法令順守)欠如が鮮明となった

・半導体関連の改ざんは2004年から行われていた。製品の安全性や性能に問題はない

・住友重機械は今回の不正に関与したのは合計13人だったとして、組織的ではないと説明している

とのことです。

 

早速、住友重機械工業のウェブサイトを確認してみました。

すると、124日付で、「当社グループにおける不適切な検査等について」というお知らせが掲載されていました。

http://www.shi.co.jp/info/2018/6kgpsq0000007r70.html

 

また、PDFファイルで、12ページにおよぶ不適切な検査等に関する経緯、原因、再発防止策、お詫びなどが掲載されていました。

http://www.shi.co.jp/info/2018/6kgpsq0000007r70-att/6kgpsq0000007r7l.pdf

 

感想としては、不適切な検査等に関する公表なので「立派」というのは変ですが、他社の類似する不祥事(不適切な検査等)において、ウェブサイトに掲載している文面と比較すると、説明がしっかりしている印象があります。

 

ウェブサイトに記載がありますが、今回新たに不正が見つかったのは、

・住友重機械工業 プラスチック機械事業部

 対象製品・サービス:封止プレス

 主な用途:半導体組立工程内のオートモールド装置の一部

・住友重機械搬送システム

 対象製品・サービス:動く歩道の定期検査

 主な用途:通行者の移動

・住友重機械ギヤボックス

 対象製品・サービス:大型減速機

主な用途:発電設備、圧縮機等

・住友重機械精機販売

 対象製品・サービス:減速機のオーバーホール

主な用途:スキーリフト等の駆動装置、産業用ベルトコンベア等

の計4社です。

 

説明分が比較的分かりやすい、と思ったのは、4社全体について、

・判明した不適切検査等の概要

・安全性・製品性能の確認状況

・今後の対応方針

・業績に与える影響

・当社における対応状況等について

という構成で説明があり、その上で、

4社のまとめ(表)

が表にまとめられ、さらに

・各社の詳細

が記述されている構成だから、わかりやすいという印象を受けたのかもしれません。

 

また、前年に発生した「公表済みの不適切な検査等(一覧表)」も添付してあるので、概略ではありますが、過去の不適切事案についてのその後も公表されていて、「包み隠さず公表」しているイメージがあります。

なお、この公表文をまとめているのは「コーポレート・コミュニケーション部」ですが、しっかりした文章でさすが住友重機械工業、という印象です。

 

ただ、不適切検査の原因と再発防止、影響の評価については、あくまでも「個人的な印象」ですが、「本当にそれが原因ですか?」、「外部に説明しやすい原因にすり替えたのでは?」といった感じもします。

 

例えば、住友重機械搬送システムは、「無資格者による定期検査の実施」の原因を「各担当者と協力会社に任せた結果、管理者が当該業務の有資格者含めた社員および協力会社の配置計画に関して、実態を把握しておらず、管理者が確認・承認する仕組みとなっていなかった」としています。

また、「定期検査報告書への異なる検査者氏名と異なる検査結果の記載」した原因は、「実際に自ら検査を実施しなくとも、有資格者である自らが検査結果をチェックすればその検査は有効であるとの誤った解釈をしていた」としています。

前者については、「管理上の問題」と理解できますが、後者については「無資格者が検査しても有資格者が検査をチェックすれば検査結果は有効」との考え方そのものが「有資格者である検査員の認識」として資質が問われる話です。

また、無資格者が有資格を得る上で「経験を積む訓練の場」はあると思いますが、その仕組みが確立しないまま常態化していたとしたら、それは、組織の管理上の問題だと思います。

 

もちろん、公表された以上の「真の原因」を組織内部では言及していると思いますが、言わずもがなですが「なぜ、無資格者が検査した結果を有資格者がチェックすれば検査自体が有効と有資格者は判断したのか」また「なぜ、無資格者に検査を任せることが常態化していたのか」についての原因を調べなければ、形を変えて、また問題は出てくるでしょう。

 

ちなみに、認定機関であるJABのウェブサイトで確認すると、少なくとも、今回の4社の中では、住友重機械ギヤボックスが大手外資系認証機関によってISO9001ISO14001が認証されていました。

審査を担当した認証機関の対応にも注目です。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ631号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 06:58
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ISO認証制度:登録証に記載する登録範囲の表記

JUGEMテーマ:ビジネス

 

組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「登録証に記載する登録範囲の表記」について。

 

JABに認定されているISO審査登録機関(認証機関)は、登録証に記載する登録範囲の表記について、ISO9001(品質マネジメントシステム)、ISO14001(環境マネジメントシステム)については、原則、NACEコード(経済活動分類)に基づいて、産業分類が特定できる表記で登録証を発行しています。

 

経済活動分類表を見たことがある方ならご存知だと思いますが、この経済活動分類は、39分類に区分されており、主な産業分野を下記に示すと、

1:農業、林業、漁業

2:鉱業、採石業

・・・

12: 化学薬品、化学製品及び繊維 

13: 医薬品

・・・

17: 基礎金属、加工金属製品 

18: 機械、装置

19: 電気的及び光学的装置 

・・・

28: 建設

29: 卸売業、小売業、並びに自動車、オートバイ、個人所持品及び家財道具の修理業

30: ホテル、レストラン

31: 輸送、倉庫、通信 

32: 金融、保険、不動産、賃貸

33: 情報技術

・・・

37: 教育 

38: 医療及び社会事業

39: その他社会的・個人的サービス

というようになっています。

 

一般的に、企業や団体が、ウェブサイトで自組織の事業を紹介するときには、

「○○の関する事業」

「○○に関する広報業務」

などと表記するでしょう。

しかし、ISO9001や14001の場合の「登録証における登録範囲の表記」は、「顧客に提供することを意図した製品及びサービス名」を表記することが原則です。

 

一般的に組織の活動を表現する「○○に関する業務」という表現では、「顧客に提供する製品及びサービス」なのか「自社内部の活動・プロセス」なのかわかりません。

ISO認証の登録証の表記では、あくまでも「顧客に提供することを意図した製品及びサービス」で登録範囲を特定するために「登録証の表記を明確に表現」するわけです。

 

分かりにくいので、具体例を挙げれば、大企業であれば、社員に対する教育研修を専門に実施している「教育部門」があると思います。その教育部門の業務は、「教育研修の企画、提供」です。

しかしこれは「顧客に提供することを意図した製品及びサービス」ではありません。

したがって、登録証の表記に「教育研修の企画、提供」という文言があらわされることはありません。

 

ややこしいですが、その教育部門が自社の社員教育で培った知見を活かして、外部向けに「教育研修の企画、提供」を実施していれば、これは「顧客に提供することを意図した製品及びサービス」ですので、組織が認証範囲としていれば、登録証に表記されることになるでしょう。

 

実際に、ISO認証を取得している組織だと差し障りがあるので、「認証を取得していない、かつ、比較的公益性のある組織」を実例として考えてみたいと思います。

例えば、「一般財団法人東北電気保安協会」という組織があります。

http://www.t-hoan.or.jp/

 

この組織のウェブサイトで「サービス内容」のページを見ると、(ざっくりとまとめますが)

・調査業務

・保安業務(保安管理業務、試験業務、技術開発と研修)

・広報業務(例:電気の上手い使い方の相談業務)

・保安コンサルティング業務

とあります。

 

パッと見た感じでは、殆どの業務が「顧客に提供することを意図したサービス(製品)」です。

ただ、「自社内部の活動・プロセス」と思われるのが、「技術開発と研修」です。

ウェブサイトでは、「電気保安に関する技術開発と研修カリキュラムにより職員の技術力向上に努めております」旨の記述があるので、おそらく「内部プロセス」であることは間違いないでしょう。

 

以上の観点から、東北電気保安協会が、顧客に提供することを意図している「製品及びサービス名」(登録証の表記)は、

1)一般用電気工作物の調査(分野35

2)事業用電気工作物の維持及び運用に関する保安及び試験(分野35

3)電気の使用及び安全に関するコンサルティングサービス(分野35

というような感じになるのではないかと思います。

 

39の経済活動分類を使用するのは、品質マネジメントシステムと環境マネジメントシステムですが、少なくとも、品質、環境に関しての登録証の表記は、前述してきたルールで表記されています。

 

ただ、組織は、こうした「登録証表記」の仕組みを理解されていない方も多くいらっしゃいます。

(※機関及び機関職員の中にもこのような認識が弱い方が少なからずいらっしゃいます)

要は、「顧客に提供する製品なのか、製品を提供するまでの組織内部のいちプロセスなのか」混同しているわけです。

認証機関、特に、上流工程である「営業」や「見積」段階で、認証機関は組織の「製品及びサービス」を理解され、組織にしっかりと理解していただくよう説明をしておくことが肝要でしょう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ630号より)

 

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 07:30
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ISOマネジメントシステム(事業プロセスとの統合)(後編)

JUGEMテーマ:ビジネス

 

(前編からの続き)

ただ、「事業プロセスとの統合」といっても、正直に言えば「この程度の話」なのです。

つまり、現状「ISOマネジメント規格を経営マネジメントシステム規格として過度に期待することは無理」、要は、「会社の事業そのものと統合することはできない」のです。

 

例えば、企業は生き物ですから「現在の主力製品が金属加工」であったとしても、社会環境の変化とともに「プラスチック加工業」や「金属部品組み立て業」、あるいは「モノづくりから離れた全く違う業態」に事業の軸足を移していくのが企業経営です。

 

しかし、ISOマネジメントシステムの場合(特にISO9001)は「適用範囲を決める」…要は「適用する製品・サービス(品名やプロジェクトではない)を特定してからマネジメントシステムを構築・運用」することになります。

つまり、「対象としている製品・サービス以外の新規事業プロジェクト」については、現在のISOマネジメントシステムでは「適用条項がない」のです。

 

「適用範囲」を決める前の活動として「4.1 組織及びその状況の理解」や「4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解」という要求があるので、実際の組織経営では、「(全く別の)新規事業プロセスを開発するプロジェクト」を検討・決定する活動を適用させればいいでしょう。

ただ、実際には、「その新規事業はある程度、実績が出てから適用範囲としてマネジメントシステムに組み込むとするか」という話になるのが通常ですから、「ISO規格の要求事項外の活動」となるわけです。

 

新規事業について、「社運をかけて実施する」場合は、例えば、営業戦略としてターゲットをどこにするか、とか、技術開発はどこと組むか、とか、生産拠点は、現状の自社国内工場を再編する、あるいは国内製造委託先を新たに開拓する、とか、この事業に投資してくれそうな会社と合弁工場を作る、とか、国内はコストが高く為替リスクもあるから、生産拠点は海外自社工場にするとか、現地法人を作るor海外生産委託先を開拓する・・・などさまざまな「事業戦略・計画」があります、会社としては「非常に重要な仕事」です。

 

しかし、「事業プロセスとの統合」は、あくまでも「適用範囲を決めた以降」のプロセスなので、「適用範囲を決める以前の(重要な)事業活動」については、規格要求事項の範疇外になってしまいます。

ISO14001(環境マネジメント)の場合は、「6.1.2環境側面」に環境側面を特定するプロセスに「新規のプロジェクト」云々が少しでてくるので、「会社の業務すべて」をマネジメントシステムに組み込む(完全な事業プロセスとの統合)ことは可能かもしれませんが、ISO14001も基本は、「適用範囲を決めてからスタート」なので、「完全に会社経営とマネジメントシステムを一致させること」は難しいでしょう。

 

いわずもがなかもしれませんが、現状のISO規格でいう「事業プロセスとの統合」とは、「会社経営そのものと一致」というレベルではなく「適用範囲(事業領域)を決めた範囲における事業プロセスとの統合」という意味であることを理解しておくべきでしょう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ593号より)

 

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 10:24
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ISOマネジメントシステム(事業プロセスとの統合)(前編)

JUGEMテーマ:ビジネス

 

組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「事業プロセスとの統合」について。

 

品質マネジメント規格(ISO9001)と環境マネジメント規格(ISO14001)が2015年に大幅に改定され、その改定の中核的なひとつとして「事業プロセスとの統合」という思想があります。

 

ただ、このことが規格で明確に記述されている要求事項は「5.1リーダーシップ及びコミットメント」に「トップマネジメントが、要求事項を組織の事業プロセスに統合することによってリーダーシップとコミットメントを実証しなければならない」ぐらいです。

ただ、「事業プロセスとの統合」の意味するところは大きく、大変重要な変更点です。

 

では、「要求事項の事業プロセスへの統合」とは何をどんな意味として考えればよいのでしょうか。

この場合の「事業プロセス」とは、簡単に言えば、

「組織で実際に運用されている仕事の流れを、規格の要求事項と対比して、組織で実際に運用しているプロセスの中に組み込んで適用してください」

ということです。

 

今までISOを構築・運用する中で問題となってきたのが、ISOの規格要求事項に適用させるために構築されたマネジメントシステムと組織の実際の運用が整合していないことです。

例えば、「教育訓練」に関して、「教育ニーズを明確にして、教育訓練結果を記録に残す」という要求があれば「ニーズを明確にしたものとして力量表」を作り「記録として教育訓練実施記録」を作るとします。

もちろん、明確な文書類がこれまでいっさい存在しなかったような組織や規格の意図として不足している部分を補う目的で、ISO規格に適用させる形で新規にこうしたものを作ることはやぶさかではないです。

しかし、しっかりした組織であれば、部門の役割を明確にした職務分掌規定や業務に必要な資格リスト、教育を実施すれば議事録等があります。

こうしたもので、事足りていたのに、新たに「ISOに合わせて」力量表や教育記録を作れば、それは、「実態とかけ離れた運用」となり形骸化することは必至でしょう。

 

つまり、マネジメントシステムの形骸化を防ぎ、有効な運用をするために、ISO規格の要求事項を組織の実際の「事業プロセス」に組み込むひつようがある、というのが2015年版改訂規格に込められた熱く強いメッセージなのです。

(後編に続く)

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ593号より)

 

 

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