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ISO認証(公平性に対する潜在的な脅威)について(後編)

JUGEMテーマ:ビジネス

 

(前編からの続き)

そのようなわけで、認証機関は、社会に認められた存在となるために、認定機関からの審査(認定審査)を国際的な認定基準にしたがって受審します。

そして公平性に関する認定基準には、

 

(以下、認定基準より引用)

「認証機関は、他との関係をもつことから生じるいかなる利害抵触をも含む、認証の提供から生じる利害抵触に関連するリスクを現状に即して特定し、分析し、評価し、対応し、監視し、文書化するためのプロセスをもたなければならない。

公平性に対する脅威が存在する場合、認証機関は、どのようにその脅威を排除又は最小化するかを文書化し、実証し、また、残留リスクを文書化しなければならない。

この実証は、脅威が認証機関の内部から生じるか、他の個人、団体又は組織の活動から生じるかにかかわらず、特定される全ての潜在的な脅威を網羅しなければならない」

(引用ここまで)

 

という規定があります。

要は、認証機関に関連する機関や役職員など個人が、認証機関の公平性を損なうことがないか否かを分析、評価し、監視することが求められているのです。

例えば、認証機関が、認証以外の別のサービス(例えば試験サービスや準法定検査など)を提供していれば、被認証組織は、ISO認証以外のサービスでの結果を期待して審査を依頼するかもしれませんし、また、認証機関側もその組織の期待を認識して認証活動を実施すれば、ひらたくいえば、「双方によこしまな気持ち」があるわけで、そのこと自体が「公平性を損なう可能性がある」わけです。

 

ただ、元も子もない話ですが、認証機関が、司法の世界でいえば、裁判所のように唯一の機関であり、その財源が税金であるようなケースであれば、この「公平性」に関しては、ほぼ一挙解決するでしょう。

購買する側が認証されていることを組織に求めるのであれば、購買する側がお金を拠出してそれが認証機関の財源となり、被認証組織は、基本的に審査費用を負担しない仕組みにしなければ、いくら公平性担保の仕組みを認証機関側が構築したところで、「審査される側が審査する側に対価を払っているという潜在的な脅威」は、取り除くことは難しいよな、と思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ581号より)

 

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 09:08
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ISO認証(公平性に対する潜在的な脅威)について(前編)

JUGEMテーマ:ビジネス

 

組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISO認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステム審査について、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「公平性に対する潜在的な脅威」について。

 

言わずもがなですが、ISO認証制度は、「マネジメントシステム」(仕事の仕組み)に対する外部保証の制度です。

マネジメントシステムの種類によって、その目的は、少し変わりますが、基本的には「顧客からの信頼を得るための制度」です。

 

例えば、部品を組み立てて完成品を製造・出荷するメーカーがあるとした場合、完成品を製造する会社は、部品を協力会社から購買します。

その部品購買が、1回だけの取引であったり、JIS規格品など信頼性の高い市販品であれば、サンプルで部品を取寄せて、仕様に適していると現物を見て判断すれば、協力会社から部品を購買して終了です。

 

しかし、部品購買が大量かつ長期に及び、その都度、部品仕様が異なるような場合は、購買する部品そのものの品質に加え、その協力会社の生産体制、経営管理体制がしっかりしているか否かをチェックする必要性が生じます。

こうした協力会社の経営管理体制のチェックが、数社であれば、手間はそんなにかかりませんが、購買先が数千社に及べば、調達側が自らチェックすることは、膨大な資源が必要になります。また、部品を提供する会社にとっても、部品の提供先が数百社に及べば、提供先毎に経営管理体制のチェックを受けることも相当な負担です。

 

そこで、こうした組織の経営管理体制のチェックは、専門の第三者の認証機関に任せて認証してもらい、部品を購買する組織は、その認証を利用することで、自らが膨大な購買先の経営管理体制のチェックを軽減することが可能になるわけです。

 

ただ、この場合、組織を審査する第三者認証機関に審査料金を支払うのは、認証を必要とする組織自身になります。

したがって、組織側は、認証機関を「選ぶ側」になり、認証機関としては、「審査を実施する」という立場的には優位にありながら、その収入は組織から得る審査料に依存しているため、被認証組織に対して弱腰になることも考えられます。

 

こうした性質が第三者認証制度にはあるため、認証機関が信頼される審査を提供するためには、なんといっても「公平であること」が最大のポイントになります。

そして、「公平性に対する最大の脅威」は、「認証機関は依頼者(被認証組織)からの審査料を収入源としていること」であるといえるでしょう。

(後編に続く)

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ581号より)

 

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 06:32
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環境経営マネジメントシステムの管理すべき守備範囲

JUGEMテーマ:ビジネス

 

言い尽くされた話ですが、最近の企業の常識として「環境を無視した経営はできない」時代です。

世間一般にわかりやすい「企業が取り組む環境への取組内容」は、節電やエコ運転、廃棄物の削減やリサイクル率の向上、あるいは、環境団体や環境政策へ寄付や植樹活動といった社会貢献でしょう。

 

ただ、「企業が取り組む環境対策」ですから、例えば「こまめに電気を切ります」的な、単純な節電や「できるだけ裏紙を使います」、「資料をプリントアウトするのではなくできるだけプロジェクターに投影して紙の使用量を減らします」的な取組は、企業が「環境経営をする」と宣言すれば、1〜2年で周知徹底されるでしょう。

 

今の時代は、節電や燃料の削減、ごみの削減といった取り組みも、こうした「節約しましょう」的な取組みではなく「業務改善や改革」レベルで取り組むケースがメインになってきました。

廃棄物の削減であれば、材料を加工する際に発生する端材を減らすために設計や生産プロセスを見直した取組や単純に埋め立て処分にする廃棄物の処理方法から、リサイクルできる業者の開拓などです。

 

また、「節約レベルの取組」は、製造メーカーであれば、出荷するまでの自社のエネルギー削減だけですが、「製品自体が使われる段階や廃棄する段階での環境負荷削減」に対する取り組みまで考慮すれば、社会全体で環境負荷を削減する取り組みになります。

 

少し前に、ある会社に訪問して、緊急事態への取り組みをお聞きすると、敷地内の業務や設備由来の事故や災害といったことを想定し、対応手順を定め、しっかりと訓練を実施していました。

しかし、その企業は、敷地外の彼らが責任を有する緊急事態は、あまり特定されていませんでした。

例えば、顧客に引き渡し前の製品や半製品の運搬は協力会社に発注しています。

また、製品のテストは、敷地外の施設で実施しています。

廃棄物の収集運搬、処分についても、専門業者に委託していますが、作業が完了して、排出業者がマニフェストでその処理を確認するまでは、排出者の責任です。

しかし、そういったプロセスで生じる緊急事態は、特定されていませんでした。

 

ラジオで、道路公団の交通情報が流れていました。

聞き流していたので、うろ覚えですが、毒劇物指定のホルムアルデヒドを積載したタンクローリーが横転したというニュースでした。

このタンクローリー輸送の会社はもちろんですが、タンクローリー輸送を発注した会社を含めて、「環境上の緊急事態として想定」していたのかな、と思いました。

 

「環境経営」=「エネルギー使用量や廃棄物排出量削減や法令順守」、だけでなく、考慮すべき守備範囲は、製品特性や業務特性に応じて、相当広い(どのレベルで管理するかどうかは別にして)ということを認識しておかなければ、片手落ちの環境マネジメントシステムになってしまうことを認識する必要が、環境経営に取り組む企業にはあるのです。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ572号より)

 

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 07:28
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三菱ケミカルホールディングスグループの有害物質検出はなぜ報告されなかったのか

JUGEMテーマ:ビジネス

 

「三菱グループの化学製品工場で基準値“1万倍”の水銀検出 これまで県に報告なし」

こんな見出し記事を、2018219日付の東海テレビが報じていました。

 

このニュースによると、

◆岐阜県大垣市にある三菱グル―プの工場の土壌から、基準値のおよそ1万倍の水銀が検出されていた

◆三菱グループの工場は、「日本合成化学工業 大垣工場」

201510月に、国の基準の1200倍の水銀が土壌から検出されていた

1964年まで工場で水銀を使っていたことから汚染されたとみられる

◆この土壌は撤去されたものの、別の場所からも基準値の620倍の水銀や16倍のヒ素が検出された

◆工場内の井戸水からは基準値を超える水銀は検出されていない

といった状況のようです。

 

おそらく、井戸水からは、基準値を超える水銀は検出されていないので、土壌汚染による敷地外部への環境影響は、限定的でしょう。

 

日本合成化学のウェブサイトを確認すると、昭和40年以前に、酢酸の原料としてアセトアルデヒドを製造しており、その製造プロセスにおいて、水銀を触媒として使用するので、環境管理が弱かった当時、使用していた水銀が土壌に染み込むか、廃棄されていたのでしょう。

http://www.nichigo.co.jp/csr/environment/index.html

 

調べてみると、岐阜県の環境に関する要綱では、「土壌や地下水の調査で有害物質による汚染を

確認した場合は速やかに報告すること」を規定されています。

つまり、日本合成化学は、「201510月」に土壌汚染を認識しつつ、外部への環境影響がほとんどないとの認識で、岐阜県への報告を怠っていたわけです。

 

ちなみに、今回の件について、日本合成化学のウェブサイトでは、219日付で「大垣工場の土壌調査結果と今後の対策について」と題した文書を公表しています。

http://www.nichigo.co.jp/news/file_info/jpi1802191.pdf

 

詳細は、この公開文書に譲りますが、土壌汚染が判明したきっかけは、新プラント建設候補地の土壌調査をしたことによりわかったそうです。

ここからは予想ですが、もともとは、201510月に基準値を超える土壌汚染を認識し、その汚染された土壌は撤去されましたが、岐阜県には報告しませんでした。

今回、報告に至ったのは、きっと、新プラント建設候補地の土壌調査をしたことで、土壌調査会社が「岐阜県への報告が必要じゃないですか?」と助言したのでゃないかと思います。

もしそうだとすると、土壌調査会社のファインプレーでしょう。

 

日本合成化学工業は、品質と環境のマネジメントシステムについて、認証(ISO9001ISO14001)をSGSという外資系の大手認証機関から受けています。

マネジメントシステム的に気になるのは、

◆日本合成化学工業の環境法規の担当者の力量は適切で、適切に管理される仕組みがあったのか

◆認証機関であるSGSは、なぜ、岐阜県への報告が必要であることを指摘しなかったのか

(少なくとも201510月以降、2回の認証審査が実施されている)

という点です。

 

日本合成化学工業が公表している「大垣工場の土壌調査結果と今後の対策について」については、詳細な調査結果が記されていますが、「マネジメントシステムの観点」(例:会社や担当者の法令の認識不足が生じた原因など)からは、再発防止についてあまり触れられていません。

認証審査を担当したSGSは、ぜひとも、このあたりの再調査はもちろんのこと、なぜ、認証審査で気づかなかったのか、についても深く調べて欲しいものだと思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ582号より)

 

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 14:14
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ISO認証(登録範囲の製品及びサービス名称)について

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組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISO認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステム審査について、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「登録範囲の製品及びサービス名称」について。

 

言わずもがなですが、ISO認証制度は、「マネジメントシステム」(仕事の仕組み)に対する外部保証の制度です。

マネジメントシステムの種類によって、その目的は、少し変わりますが、基本的には「顧客からの信頼を得るための制度」です。

 

極めて、単純化して表現すれば、「A社と取引したい」と考えたB社があったとします。

B社は、A社について、会社経歴や業務実績、取引先実績のある会社からの評判・・・などを情報を入手し、「取引対象」として俎上(そじょう)に上がれば、見積もりを取り、製造業であれば、製品サンプルを、サービス業であれば、お試しでサービスを提供してもらったりして、本契約するか否かを判断するでしょう。

 

ただ、「1回こっきり」の仕事であれば、そんな感じで問題ないでしょうけれど、継続して、しかも、それなりの規模の取引がある場合は「結果だけでなく業務プロセスやシステムの信頼性」に対する「担保」が必要になります。

 

例えば、A社に注文や苦情情報を連絡しても、確実に処理される業務プロセスが確立されていなければ、「安心して継続的な取引」はできません。

そこで、多くの取引先を抱える大企業では、「二社監査」といって、「取引先を訪問して、受注プロセス、製造プロセス、設備管理プロセス、検査プロセス、出荷プロセス、クレーム処理プロセス・・・」などを自ら確認して、「安定取引の担保」を得ようとします。

 

ただ、この「二社監査」も監査に関する業務コストや監査員のレベル維持コストを考えると、自らすべての取引先を監査して回るのは、効率的ではありません。

そこで、「第三者監査」となる「ISO認証制度」を活用するわけです。

つまり、「マネジメントシステムの適切性や有効性のチェック」を専門家(認証機関)に任せるのです。

 

さて、前置きはこのぐらいにして、今回のコラムのテーマである「登録範囲の製品及びサービス名称」についてです。

詳細は省きますが、例えば、「自動車用部品の設計、製造」、「レストランサービスの企画、提供」という「製品及びサービス」の名称で認証されている組織があるとしたら、認証機関が、「お墨付き」を与えたのは、当たり前ですが、「その製品(またはサービス)に対する業務プロセスやシステムの適合性」です。

 

少しややこしいのは「製品」なのか「プロセス」なのか、という問題です。

例えば、上記の例で、「レストラン」に、仮に「キャラクターグッズ」があり、「レストラン利用者向けにおまけとしてキャラクターグッズ」を配付していたとします。

この場合が、あくまでも製品は「レストランサービスの企画、提供」であり、「おまけのキャラクターグッズ」は、「本業に付帯するサービス」です。

けれども、キャラクターに人気が出て、キャラクターグッズの種類を増やし、本格的に「製品」として捉えれば、そのレストランの製品は、

◆レストランサービスの企画、提供

◆キャラクターグッズの企画、販売

となります。

 

仮に、上記の「2種類の製品(サービス)」での認証が必要であれば、実態の仕事としては、同じ部門が業務を担当していても、「それぞれの製品毎にマネジメントシステムが構築されて運用されているか」をチェックし、認証機関は「認証した製品を明確に特定する必要」が出てきます。

 

けれども、組織が「うちの製品はレストランサービスで、キャラクターグッズはあくまでもレストランサービスの中の一環」として捉えれば、認証基準で要求されるフルスペックをキャラクターグッズに適用させてチェック(監査)することはありません。

 

「レストランが、実態としてやっていること」はほぼ一緒でも、「製品の特定」の方法で、「審査内容も認証された製品も」全く、変わってくるわけです。

少々マニアックになってきましたが、もう少しお付き合いいただければ、このレストランが、ウェブサイトやパンフレットで「ISO認証を受けていること」を表明したとします。

その際に、認証のルールとしては、「認証を受けた製品や組織の範囲を明確に表明すること」が認証企業には求められています。

 

しかし、認証登録された企業のウェブサイトをよーく観察してみると「この製品(サービス)では認証登録を受けていないんじゃないの?」という表記が結構あります。

しっかりした審査員であれば、審査で訪問する前にしっかりウェブサイトを確認しているので、「誤解される表記ですよ」と指摘できます。

けれども、「製品の位置づけ」について、よく理解していない認証機関や審査員だと、適切にジャッジできず、認証範囲と不整合な製品を「認証範囲」としての表明を許してしまっています。

 

この問題は、

◆認証機関と担当審査員の力量(製品なのかプロセスなのか)

◆組織が「自社の製品とは何か」をしっかり理解していない

という問題にほとんどが帰着するでしょう。

 

「製品とは何か?」が、監査を担当する認証機関や審査員がしっかり理解することは「ISO認証の信頼性確保」の観点からもちろんですが、「組織自体も自社の製品とは何ぞや」をよく理解することが重要なのです。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ578号より)

 

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 08:49
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ISO認証(登録製品/サービスの産業分類)について

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組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISO認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステム審査について、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「登録製品/サービスの産業分類」について。

 

ISO認証機関を認定(お墨付きを与える)するJAB(公益財団法人日本適合性認定協会)のウェブサイトでは、認定した機関が認証登録した組織を「39の産業分類」に分けて公表しています。

 

産業分類は、経済産業分類に基づいて決められており、産業分類分けすることは、一般的には、

◆一般消費者に認証された組織がどのような産業なのかを明確にする

◆組織審査をする認証機関の審査員の力量を確保するために明確にする

といった役割があると思います。

 

話が少々脱線しますが、「組織が自らの製品(またはサービス)とは何ぞや?」と位置付けることは自由だと思います。

極端な話ですが、「心療内科」は、産業分類としては「医療サービス(医療及び社会事業)」で「38」に区分されます。

しかし、「うちの心療内科は、癒しを提供するヒーリングサービスである」との位置づけることは、組織の自由かもしれません。

けれども、「ヒーリングサービス」という位置づけであるならば産業分類は「その他社会的、個人的サービス」となり「39」に区分けされます。

私の中で結論は出ていませんが、「認証組織の産業分類を消費者目線で誤解のないように区分けし公表する」ということが、認証機関や認定機関の役割であるとするならば、「実態は心療内科なのに、ヒーリングサービス」として登録するのは、間違っていると思いますし、違和感があります。

 

逆に、「施術サービス(例:音楽療法)を実施するヒーリングサービス」の組織が「うちのヒーリングサービスは治療効果がある」として「産業分類38」の医療サービスに区分されていたら、「医薬品医療機器等法」の観点から違和感があります。

 

つまり、業務プロセスとしては、似たようなプロセスが存在しても「組織が認証登録されている産業分類を適切に区分けすること」は、極めて重要だと思います。

(※一般消費者は、そこまで産業分類を理解しちゃいないから誤解を招くことはない、という議論に持ち込む方がたまにいらっしゃいますが、それはISO認証制度の信頼性を損なう発想でしょう)

 

さて、建設業(産業分類28)や不動産業(産業分類32)に精通されている方なら、「当たり前」の話ですが、この産業も「似ているプロセス」があります。

例えば、「戸建ての住宅を設計、施工管理」することを「主要業務としている建設会社」があったとします。

不動産業は、ざっくり区分すると「不動産賃貸業(管理業)」「不動産仲介業」「不動産売買業」があります。

このうち「不動産売買業」の場合、中堅会社であれば、「土地を購入→造成→建売(または売建)→引き渡し」というプロセスを踏みます。

つまり、「建売(または売建)」部分だけを切り取れば、前述した「戸建て住宅の設計、施工管理」と変わらないわけです。

 

けれども、明らかに、この二つの産業は「似て非なるもの」です。

例えば、不動産売買業であれば、「用地買付→許認可取得→造成」という前工程が非常に重要な役割を果たしますし、ここに、組織のノウハウ(組織のコア技術)が隠されています。

 

仮に、不動産売買業の組織が「全体プロセスの一部である戸建て住宅の設計、施工管理」のみを「適用製品」として認証を受けていた場合は、組織が、ホームページやパンフレットで「認証」を表明する場合は「不動産売買(要は分譲販売)」は、認証対象になっていないことを明確に表明する必要があります。

 

しかし、この適用範囲は、極めて一般消費者に誤解を招くものですし、組織にとっても認証のメリットがありません。

登録組織情報をチェックすると、主要業務が「不動産業32」なのに「住宅の設計、施工」という「建設業28」で登録されている組織がたくさんあります。

まずは、組織が「自分たちの提供している真のサービスはなにかに気づくこと」が大事ですが、「認証機関」も組織の正しい産業分類を指摘することを大事だと思います。

https://www.jab.or.jp/system/iso/search/

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ579号より)

 

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 08:48
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認証機関が作成する審査報告書の記載(一時的サイト)について

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組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISO認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステム審査について、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「認証機関が作成する審査報告書の記載(一時的サイト)」について。

 

言わずもがなですが、企業や団体など「ISOマネジメントシステム規格の認証」を取得したい組織は、認証機関(審査登録機関)の審査を受審します。

組織は、取得を希望するマネジメントシステム規格が、例えば、品質マネジメントであれば、「ISO9001」、環境マネジメントシステムであれば「ISO14001」というように「認証基準となる規格」が決まっています。

 

では、認証機関は「どんな基準のもとで認証審査を実施」するのかというと、例えば代表的な規格として「ISO17021-1JIS Q 17021-1)」があります。

ISO17021-1では、認証機関が認証業務活動を実施するにあたって、満たすべき要求事項が規定されています。

 

例えば、認証機関は、組織審査を実施すると「審査報告書」を作成します。

審査報告書には、例えば、

「認証機関の特定」

「依頼者の名称、住所及び代表者」

「審査の種類(例えば、初回審査、サーベイランス審査、再認証審査、特別審査など)」

「審査基準」

「審査目的」

「審査範囲、特に審査した組織単位若しくは機能単位又はプロセスの特定、及びその審査の時間」

「審査活動(現地又は現地以外、常設又は一時的サイト)を実施した日付及び場所」

・・・

といったことを記載(または引用)することが、ISO17021-1では求められています。

 

今回、話題にするのは「審査報告書の中で審査活動を実施した日付及び場所」についてです。

ポイントは「常設サイト」と「一時的サイト」です。

認証機関に要求されている基準文書のひとつである「IAF MD5:2015」では、常設サイトと一時的サイトについて以下のように定義されています。(基準文書より引用)

 

「常設サイト」

依頼組織が継続的に業務又はサービス提供を行う(物理的又は仮想の)場所

 

「一時的サイト」

依頼組織が限定された期間内に、特定の業務又はサービスを提供する(物理的又は仮想の)場所で、常設サイトになることが意図されていないものである

 

簡単に言えば、例えば、建設業であれば、「常設サイト」は「建設会社の本社事務所や建設機械を保管・修理する車庫、営業所など」であり「一時的サイト」は、「建設現場や現場事務所」をさしますが、それらを現地審査で訪問したなら、審査報告書に記載しなさい、ということをISO17021-1規格は言っているわけです。

 

変な話ですが「一時的サイト」が「わかりやすいケース」は、まず、問題なく「審査報告書にきちんと記載(または引用)」されています。

「わかりやすい一時的サイト」とは、例えば、建設業における建設現場やビルメンテナンス業における清掃現場です。

 

「わかりにくい一時的サイト」は、「一時的サイトに訪問するのが通常必須となっておらず、訪問するか否かが現地審査の都度、調整しているケースや常設サイト外での業務やサービスの提供が日常的すぎるケース」です。

 

例えば、前者に相当するのが、研修サービスを提供する会社が通常は常設サイト内で研修会を実施するが「客先で研修サービスを提供する」ような場合で、後者は、電力会社やガス会社が「使用量の検針業務を会社や個人宅を回って実施」をする場合や輸送会社が「積込、荷下ろしを常設サイト外で実施」する場合です。

 

これらのケースは、「認証機関が作成する審査報告書」にISO17021-1で要求された「一時的サイトの場所の特定」がされていないケースが、多々あります。

ただ、組織が認証機関から通常提供される「審査報告書」には、意図的に「一時的サイト」が特定されて記載されていないケースは、意外とあります。

「意図的に記載しないケース」はさまざまですが、たぶん、多くの場合は、「一時的サイトは特定の客先」であることが多いため、組織側が「記載しないでほしい」というケースがあるからです。

その場合、多くの認証機関は、いわゆる「申し送り書」的な認証機関内の共有情報(これらの文書も“審査報告書の一部”としていることが多い)として記載しているようです。

 

いずれにせよ、「ISOマネジメントシステム認証制度」の目的で考えると、認証機関は「組織の認証登録が適切に実施されたことを世間に示す」必要があるわけで、「常設サイト外の活動」を組織が実施していれば、程度問題はありますが、なんらかの頻度と方法で「一時的サイト」を訪問して審査する必要があります。

したがって、認証機関は、「審査報告書(または関連記録)」の中で、訪問して審査した一時的サイトを明確にしておくことは、重要なのです。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ554号より)

 

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設計のアウトソースと適用範囲/認証範囲及びそれを示す証拠について

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組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISO認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステム審査について、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「ISO9001における設計のアウトソース」について。

 

2015年版では、明確に(文言は正確ではないですが意図として)、組織の内部外部の課題を明確にして、利害関係者のニーズ・期待を理解して適用範囲が論理的に決まってくる、というように規定されています。

つまり、例えば、食品製造業の場合、顧客の要求を具現化した食品を企画開発し製造していれば、「食品の企画開発部門を適用範囲から除外する」というマネジメントシステムは、基本的に、あり得ないでしょう。

 

ISO9001の黎明期には、食品の企画開発をしていても「製造している工場だけを適用させて認証を取得する」というケースはよく見られました。

この場合は、食品を製造している工場長をマネジメントシステム上の経営トップにして、同一法人ではあるが、食品の企画開発部門は「社内顧客」という位置づけで、「企画開発部門(顧客)の要求に従って食品を製造する」というマネジメントシステムを構築して、認証取得するケースでした。

 

しかし、2015年版では、マネジメントシステムと事業との統合ですし、利害関係者のニーズ・期待を考慮して適用範囲を決めるべき、という議論を基本に考えれば、「社内顧客」という位置づけは変でしょう。

(理論上は、ダメとは言い切れないですが、相当な理論武装が必要でしょう)

 

また、マネジメントシステム上の経営トップを工場長ではなく、社長にして、かつ、企画開発部門は「食品の仕様を決めるアウトソース(外注)先」という位置づけにしてはどうか、という議論があります。

これならば、「アウトソース(企画開発部門)先を管理しているのは、適用範囲とした自社であり、企画開発には責任も持ちますが、実質的に企画開発している部門は外注という位置づけです」というロジックです。

う〜ん、なくはないですが、ふつうに考えれば、これも適用範囲から除外するのはおかしいと思います。

 

では、「あり得るマネジメントシステムの構築と認証手段」(ウルトラC)ですが、あくまでも私見としてですが、

◆適用範囲は企画開発部門を含めて、基本、全組織対象にする

(明らかに異なる事業に関連する部門は除く)

◆認証範囲から企画開発部門を外す

というやり方でしょう。

 

意味があるのか、ないのかは別にして、要は、組織としては「マネジメントシステムは全社に適用しています、しかし、一部の部門は認証範囲からは除外します」というロジックです。

ただその場合、組織は、認証機関に対して、

・認証範囲から外した部門もマネジメントシステムの適用範囲には含めていること

・マネジメントシステムに含めて運用している証拠を示すこと

・マネジメントシステムの運用の証拠とは、目標管理や内部監査、マネジメントレビュー等

などをきちんと示す(立証責任、説明責任)ことが必要です。

 

でも、理論上は「適用範囲と認証範囲をわけること」はあり得ますし、認証工数削減や守秘義務があるといっても技術上、認証機関に情報開示して、ほじくられまくりたくないといったメリットはあるとおもいますが、一般的には、あまり良いマネジメントシステムの活用ではないかな、と思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ544号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 11:04
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新幹線台車問題“川崎重工、お前もか”

JUGEMテーマ:ビジネス

 

201831日のニュースで各メディアが報じていましたが、新幹線「のぞみ」の台車に亀裂が見つかった問題について、台車を製造した川崎重工業の“ずさんな品質管理”が明らかになっていました。

 

各メディアの報道によると、

◆台車枠と軸バネ座と呼ばれる部品を組み立てる際、接着面を平らにするため表面を削って溶接していた

◆表面を削ることは強度が低下するため社内規定で禁止されているが、そのことを責任者が現場の作業員に十分伝えていなかった

◆完成した台車について、責任者や別の部署が品質をチェックする体制にもなっていなかった

◆「加工不良という認識は職場にないので、職場にとどまっていた。事務所部門に対しても申告はなかった」(川崎重工 小河原誠常務)

◆表面を削ったことで鋼材の厚さが基準を満たしていない146の台車について、順次交換する

ということだそうです。

 

この状況から、つっこみどころは「満載」です。

・なぜ、社内規定で禁止されている部品の表面を削っていたのか?

・なぜ、社内規定が現場作業員に伝達されていなかったのか?

・なぜ、社内規定と異なる製造方法なのに「加工不良」という認識がなかったのか?

・なぜ、完成品の品質チェックをする体制になっていなかったのか?

・なぜ、JRは、こんなずさんな生産体制の工場に発注していたのか?

などです。

 

外部監査といえば、品質マネジメントシステムを認証するISO認証制度が有名ですので、JABのウェブサイトで、「川崎重工業」の認証状況をチェックしてみました。

https://www.jab.or.jp/system/iso/search/

品質、環境で併せて10の事業部が認証登録されていましたが、今回車両の台車を作っていたとされる兵庫工場は対象になっていないようでした。

 

ISOの認証は受けていないようですが「天下の川崎重工さま」です。

「品質チェック体制がない」ということがあり得るでしょうか?

ひと昔前の時代なら、川崎重工クラスの工場ならば、完成品であれば、必ず、「製造した部門とは違う他部門のチェック」が入っていたはずです。

いつの間にか、社内の平和ボケか、検査コスト削減かわかりませんが、「他部門によるチェック」というシステムがなくなったのでしょう。

 

また、「現場作業員に伝達されていない」は、構内外注業者が、実際の作業を請け負っていた気がします。

そうなると、現場責任者は、川重社員でも、作業自体は、外注ですから、社内規定が教育されていなかった可能性は、なんとなく想像がつきます。

しかし、「川重が外注作業レベルをきちんと評価できない」なんていうことがあるのでしょうか?

相当、日本のモノづくりは「劣化している」としか言いようがありません。

 

そして、JRです。

JRには、調達基準があるはずです。

ISO認証がないのであれば、自ら工場監査を実施して、指摘するべきだし、購買品の検査を定期的に工場に訪問して自ら実施し、基準を満たしたものか確認するべきです。

 

航空宇宙・防衛産業では、「JIS Q 9100」規格があり、これは、航空宇宙・防衛産業に特化した品質マネジメントシステムに関する国際規格で、この中では、この業界に必要な製造や検査体制などが規定されています。

自動車の世界も、「ISO/TS 16949」 という「自動車産業向けの品質マネジメントシステムの技術仕様」があり、これによる認証制度があります。

JRにしっかり調達先を管理する能力がないのであれば、鉄道分野も「鉄道産業向け規格」を作って、認証を受ける、あるいは、システム構築して調達先からの2社監査を受ける仕組みにしなければ、私たちの安全は守られないように思います。

 

それにしても、川崎重工業のような大手企業がこのレベルです。

急速に日本の製造現場の能力が低下しているのかもしれません。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ583号より)

 

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 05:25
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ISO認証(適用範囲の決定)について

JUGEMテーマ:ビジネス

 

組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISO認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステム審査について、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「適用範囲の決定」について。

 

ISO90012015年度版では、適用範囲を決定するために、以下のことが要求されています。

 

1)「外部や内部の課題」「密接に関連する利害関係者の要求事項」「組織の製品及びサービス」を考慮し(ISO 9001:2015 4.3項引用)

 

2)「ある要求事項が、組織の品質マネジメントシステムの適用範囲でどのプロセスにも適用できないことを決定できるが、製品及びサービスの適合が達成されないという結果を招かない場合に限る」(ISO 9001:2015 A.5項引用)

 

3)「適用不可能なことを決定した要求事項が、組織の製品及びサービスの適合並びに顧客満足の向上を確実にする組織の能力または責任に影響を及ぼさない場合に限り、この国際規格への適合を表明してよい」(ISO 9001:2015 4.3項引用)

 

一般的には、上記1)については、「現状分析表」とか「組織を取り巻く内部外部の課題一覧表」とか「リスクと機会分析表」「SWOT分析」といった資料を組織は作成し、組織内で検討し、対象範囲を「全社」にするか「一部の組織」にするか、「一部の製品及びサービス」にするか、といったことを決めます。

 

2015年版改訂の目的の一つに、「ISO規格に基づくマネジメントシステムの構築による弊害防止」、つまり「二重帳簿」と言われるような「実態としての経営管理の仕組み」と「ISOにより構築された経営管理の仕組み」の二重構造にならないことがあります。

 

日本に限ったことではなく、世界的に、経営管理の仕組み(マネジメントシステム規格=ISO9001ISO14001など)に基づいて、組織のマネジメントシステムを構築すると、

◆もともと組織に自然発生的に存在したマネジメントシステム

ISO規格に基づいて新たに作られたマネジメントシステム

の二本立てになって、要は、「審査用のマネジメントシステムが形骸化している」事例が多発したそうです。

 

こうした反省もあり、2015年版では「組織の事業とISOの統合」をテーマに、「適用する範囲が組織に都合よく構築されている」、あるいは、「市場に認証された組織の事業内容が誤解されない」ように、「組織の事業全体を対象に現状分析して適用する範囲を決定してください」(文書化要求あり)ということを要求しています。

 

しかし、実際のところ、「適用範囲を決定するための現状分析が、限定された範囲で分析・検討されている事例」が多発しています。

組織全体、または、組織の事業全部が適用範囲であれば、問題ないですが、「一部の組織で認証を受けたい」、「一部の事業(製品及びサービス)で認証を受けたい」ということであれば、例えば、「職員は営業窓口だけで、実質的な業品質に影響を与える権限を有していない」とか「売り上げが極端に少なくてISOを適用させる必要性が薄い」といったような理由が「組織で正式に決定され文書化されている必要性」があるでしょう。

 

案外、組織、コンサルタント、認証審査員は、このあたりを明確にしないで、適用範囲をなんとなく決め、システム構築し、審査している事例が結構多いです。

もう一度、2015年版の意図を理解して効果的なマネジメントシステムを構築、あるいは構築支援、審査をしていただきたいものです。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ579号より)

 

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 11:15
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