- ISO認証(適用範囲の決定)について
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2018.03.01 Thursday
JUGEMテーマ:ビジネス
組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISO認証制度がある。
このISOマネジメントシステム審査について、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「適用範囲の決定」について。
ISO9001の2015年度版では、適用範囲を決定するために、以下のことが要求されています。
1)「外部や内部の課題」「密接に関連する利害関係者の要求事項」「組織の製品及びサービス」を考慮し(ISO 9001:2015 4.3項引用)
2)「ある要求事項が、組織の品質マネジメントシステムの適用範囲でどのプロセスにも適用できないことを決定できるが、製品及びサービスの適合が達成されないという結果を招かない場合に限る」(ISO 9001:2015 A.5項引用)
3)「適用不可能なことを決定した要求事項が、組織の製品及びサービスの適合並びに顧客満足の向上を確実にする組織の能力または責任に影響を及ぼさない場合に限り、この国際規格への適合を表明してよい」(ISO 9001:2015 4.3項引用)
一般的には、上記1)については、「現状分析表」とか「組織を取り巻く内部外部の課題一覧表」とか「リスクと機会分析表」「SWOT分析」といった資料を組織は作成し、組織内で検討し、対象範囲を「全社」にするか「一部の組織」にするか、「一部の製品及びサービス」にするか、といったことを決めます。
2015年版改訂の目的の一つに、「ISO規格に基づくマネジメントシステムの構築による弊害防止」、つまり「二重帳簿」と言われるような「実態としての経営管理の仕組み」と「ISOにより構築された経営管理の仕組み」の二重構造にならないことがあります。
日本に限ったことではなく、世界的に、経営管理の仕組み(マネジメントシステム規格=ISO9001やISO14001など)に基づいて、組織のマネジメントシステムを構築すると、
◆もともと組織に自然発生的に存在したマネジメントシステム
と
◆ISO規格に基づいて新たに作られたマネジメントシステム
の二本立てになって、要は、「審査用のマネジメントシステムが形骸化している」事例が多発したそうです。
こうした反省もあり、2015年版では「組織の事業とISOの統合」をテーマに、「適用する範囲が組織に都合よく構築されている」、あるいは、「市場に認証された組織の事業内容が誤解されない」ように、「組織の事業全体を対象に現状分析して適用する範囲を決定してください」(文書化要求あり)ということを要求しています。
しかし、実際のところ、「適用範囲を決定するための現状分析が、限定された範囲で分析・検討されている事例」が多発しています。
組織全体、または、組織の事業全部が適用範囲であれば、問題ないですが、「一部の組織で認証を受けたい」、「一部の事業(製品及びサービス)で認証を受けたい」ということであれば、例えば、「職員は営業窓口だけで、実質的な業品質に影響を与える権限を有していない」とか「売り上げが極端に少なくてISOを適用させる必要性が薄い」といったような理由が「組織で正式に決定され文書化されている必要性」があるでしょう。
案外、組織、コンサルタント、認証審査員は、このあたりを明確にしないで、適用範囲をなんとなく決め、システム構築し、審査している事例が結構多いです。
もう一度、2015年版の意図を理解して効果的なマネジメントシステムを構築、あるいは構築支援、審査をしていただきたいものです。
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- 相次ぐ企業の品質不正に対する経団連の動きは手緩い
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2018.02.22 Thursday
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2018年2月6日に、経団連は、神戸製鋼所などで品質管理が問題となったことを受け、1500の会員企業や団体に呼びかけた自主的な不正調査の結果を発表したそうです。
毎日新聞の報道によると、以下の通りです。
◆不正が見つかった5社は、「東北電力」、「日立製作所と子会社の日立ビルシステム」、「三菱電機」、「ガラス最大手の旭硝子の子会社AGCテクノグラス」、「石油元売り大手コスモエネルギーホールディングスの子会社丸善石油化学」
◆日立は国土交通省が認定した基準に適さないエレベーターを製造、販売するなどしていた
◆三菱電機は荷物用エレベーターの安全装置に不具合が見つかった
◆東芝グループの東芝エレベータも2017年12月26日に、国交省の認定に必要な申請に不備があったと発表したが経団連には「不適切な事例には当たらない」として報告しなかった
◆経団連はいずれも「安全性に問題はなく、再発防止に取り組んでいる」としている
(記事からの引用ここまで)
ひとことでいえば、「経団連も会員企業に呼び掛けて、問題があった企業は公表して、社会的責務を果たしていますよ」というポーズにしか見えません。
というのも、東芝エレベータのように、勝手に「経団連が言う不適切事例ではない」と勝手な判断をして報告していない会社もあるわけで、「とりあえず、経団連も何かやっていますよ」というレベルのものになっているからです。
つまり、「呼びかけ」は、形骸化していると思います。
また、経団連が公表したからと言って、経団連としての品質不正に対する取り組み方針や施策が発表されたわけでもありません。
経団連が基本財産を拠出して設立されている認証機関を審査する認定機関(JAB)があるわけですから、品質不正に対する取り組みやISO認証に対する信頼性確保など、「産業界の強力なご意見番」としてのリーダーシップを経団連には取ってもらいたいものです。
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- 三菱マテリアル子会社のISO認証の取り消し
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2018.02.16 Friday
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「三菱マテリアル子会社のISO認証が取り消しになった」
そうです。
2018年2月6日のフジテレビによると、
◆製品データの改ざんが発覚した三菱マテリアルの子会社2社のISO9001認証が認証機関に取り消された
◆認証が、取り消されたのは、三菱電線工業の箕島製作所(ゴム製パッキンなど)と三菱伸銅の若松製作所(銅製品など)
◆取り消しの決定は、認証機関であるJQAが特別審査を実施した
◆JQAによると、取消理由は、「適合性に重大な懸念があると認められたため」と説明している
ということだそうです。
少々専門的な話になりますが、組織にお墨付きを与える認証機関に対しては、「マネジメントシステムの審査及び認証を行う機関に対する要求事項」(ISO17021-1)という要求事項があり、その要求事項では、以下のような規定があります。
(以下、要求事項を一部抜粋)
9.6.5 認証の一時停止,取消し又は範囲の縮小
9.6.5.1 認証機関は、認証の一時停止、取消し又は範囲の縮小に関する方針及び文書化された手順をもち、それに付随する処置を規定しなければならない。
9.6.5.2 認証機関は、例えば次に示す場合には、認証を一時停止しなければならない
− 依頼者の認証されたマネジメントシステムに、その有効性に関する要求事項を含む認証要求事項に対し、常態化した不適合又は深刻な不適合があった
− 被認証組織が、要求された頻度でのサーベイランス又は再認証審査の実施を受け入れない
− 被認証組織が自発的に一時停止を要請した
9.6.5.4 もし一時停止の原因となった問題が解決した場合には、認証機関は一時停止した認証を復帰しなければならない。被認証組織が、一時停止の原因となった問題を、認証機関が設定した一定期間内に解決できないときは、認証の取消し又は範囲の縮小をしなければならない
9.6.5.5 認証機関は,認証範囲のいずれかの部分に関し,認証要求事項について常態化した不適合又は深刻な不適合があった場合、要求事項に適合しないこれらの部分が除外されるように被認証組織の認証範囲を縮小しなければならない。このような縮小は,認証に使用される規格の要求事項の意図に沿ったものでなければならない。
(要求事項の引用ここまで)
一般的には、通常の認証審査、あるいは、マスコミ報道や内部や関係者の通報により特別審査を実施し、「認証要求事項について常態化した不適合又は深刻な不適合があった場合」は、認証の「一時停止」や「範囲の縮小」といった処置が認証機関によって実施されます。
検査員資格を持たないものが検査をして、出荷していた日産自動車の場合は、「範囲の縮小」という措置が取られています。
しかし、今回の三菱伸銅と三菱電線については、特別審査によって一気に「取消」という措置になっているということは、相当根深く深刻な不適合が、特別審査によって検出されたということでしょう。
ひと昔前であれば、マスコミ報道で、品質不正が発覚して、認証機関による特別審査が実施されても、「不正はコンプライアンス上の問題であり、マネジメントシステムととの関りは低い」というような調査結果から、「認証に与える問題はない」とか、せいぜい「一時停止」という対応になっていたように思います。
しかし、これだけ、ISO認証の信頼が失墜するような各社の品質不正が報道されると、
◆長い間審査を認証機関は実施しているのに問題を検出できないとは何なんだ
◆不正があったという事実から認証付与を継続することは困難である
という判断を認証機関はするようになったのではないかと思います。
通常の審査は、「不正を暴き出すというより、要求事項の適合性を積極的に見出す」という側面があり、要は、組織が回答した内容や提示した記録について、性善説の視点で評価しているので、「回答内容は嘘をついていた」「審査員に見せるために都合よく記録を作成していた」という「認証審査の信頼感を損なう事実」があったなら、その時は「取消しますよ」というのは、当然の流れなのかもしれません。
個人的には、認証機関は「認証の取消」をしただけでなく、「長年の審査で不正が検出できなかった理由と対策」についても、発表して欲しいと思います。
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- 内部監査において「観察事項」はどう対処するべきか
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2018.02.15 Thursday
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マネジメントシステム監査の世界では、監査をした結果を、「適合」「不適合」「観察事項」という区分に分けている。
(※マネジメントシステム監査には、内部監査のような第1者監査、発注先が調達先を監査するような第2者監査、認証機関が実施するような第3者監査がある)
一般的には、これらの区分は、以下のように定義されていると思う。
◇適合:要求事項を満たしていること
◇不適合:要求事項を満たしていないこと
◇観察事項:1)現状では不適合ではないが、放置しておくと不適合となる可能性のあるもの
2)不適合ではないが、更によい効果をあげるための提案(改善の機会)
3)特筆すべき良い点で、水平展開が期待できるもの
これも一般的であるが、監査証拠が適合であると判断した証拠は、内部監査などは、チェックリスト等に残すのみであるが、第三者審査(認証機関や認定機関の審査等)では、報告書にも記載しているケースが多い。
つまり、監査依頼者に報告される事項は、内部監査の場合は、不適合と観察事項は具体的な内容が報告されるが、内部監査の場合は、実質報告されず、第三者監査の場合は、適合の証拠もある程度、報告される。
これは、よく考えれば、当たり前で、内部監査の場合は、経営者が自社のマネジメントシステムを自社で選定した内部監査員に調査させるのであるから、不適合や観察事項を明確に報告すれば、監査の目的は内部的にはほぼ満たす。
しかし、第三者監査の場合は、監査した結果を、直接監査した監査員を含まない監査員や有識者などで構成された判定会議等で監査の適合性をチェックするから、適合と判断した証拠もある程度の情報量が必要になるからだ。
監査をした人間の立場から言えば、適合の証拠に関しては「監査員を信じてほしい」といいたいが(笑)、認証機関や認定機関は、組織形態は「民間組織」とはいえ、世間に「あの組織はマネジメントシステム規格に適合した組織運営をしていましたよ」と公表する立場であるから仕方がない。
仮に、企業不祥事が起きた時など、その不祥事を発生させた企業のマネジメントシステム監査を担当していれば、世間さまから「どんな審査をしてOKと判断してきたんだ」と突っ込まれること必至だから、マネジメントシステム審査は「製品保証の審査ではなくシステムの審査だ」と言っても、システムが適合していた証拠を外部に示せなかったら、マネジメントシステム審査の信頼性が揺らぐことになってしまうだろう。
さて、冒頭の「指摘区分」に話しを戻すと、「不適合」と判定された事象は、是正処置を実施することが必須であるが、観察事項は、監査された側(被監査部門)の自由裁量とされていることが一般的だ。
「観察事項」の取り扱いについて、第三者監査の場合は、「被監査側の自由裁量」とすることは当然だろう。
不適合と判断しなかったもの(観察事項)に対して、強制力を持たせたら、第三者としての性格性が薄くなってしまう。
ただ、監査員教育の講習会講師をしていて、よく質問を受けるのは、「内部監査(第1者監査)や第2者監査でも観察事項は自由裁量でいいのか」、とか、「そもそも観察事項はすべて対処してもらうべきものではないか」といった点である。
確かに、おっしゃるべきだとは思う。
第2者監査の場合は、調達先に対して実施するのだから、発注者が「監査基準上は不適合ではないが、観察事項についてもなんらかの手を打ってほしい」と要求することは当然で、自由裁量にしたら、何も手を付けない恐れがある。
また、第1者監査の場合も同様で「指摘したらな是正までを求めなくても対応はするのが当然」と考えるのもわかる。
しかし、私の個人的意見としては、現実的に、内部監査の場合は、日常の立場としては、平社員(監査員)が他部署の管理職に対して出した観察事項に対応を求めることは難しいだろうし、内部監査員にそこまでの権限は持たされていないだろう。
しかたがって、内部監査の場合も、観察事項は被監査部門の自由裁量として指摘し、依頼者(経営者や監査責任者)に報告すればよいと思う。
したがって、内部監査員が指摘した観察事項に対して、「組織として対応を打つべき」と判断する必要性は、監査依頼者が判断すればいいと思う。
話題は変わりますが、観察事項は、冒頭で述べたように、マイナス面の事象とこれは良いことだからどんどん水平展開してもらうべきというようなプラス面がある。
観察事項は、認証機関によっては、改善の余地とか、推奨事項と呼ぶケースもある。
ただ、この「推奨事項」という言葉は、「お役所用語」としては、「褒めたたえられるプラス面の意味だけで、マイナス面のイメージは指摘された側にはない」とある役所組織に言われたことがある。
白黒の判定がつきやすい不適合と違って、観察事項は、相手組織の習慣を考慮しながら伝えなければ、監査側の指摘の意図が伝わらないものになってしまう、とつくづく思う。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ499号より)
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- 非JAB認定の海外認証機関の日本法人が審査した組織の品質不正について
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2018.02.13 Tuesday
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三菱マテリアルは、子会社である三菱電線と三菱伸銅の認証がISO認証機関のJQAによって取り消されたことで、世間の話題を集めています。
そんな折に、2018年2月8日のテレビ朝日の報道では、新たに子会社など3社で、品質不正(データ改ざんなど)が発生していたことを発表したそうです。
テレビ朝日の報道では、
◆子会社など3社では、データを改ざんして製品を出荷していた
◆データを改ざんしていたのは、アルミ製品を製造する三菱アルミニウム、立花金属工業と自動車部品を製造するダイヤメットの3社
◆3社は、いずれも顧客と取り決めた数値に適合しない検査データを規格内になるよう改ざんしていた
◆3社は2017年11月にグループの不正が発覚した後も、データの改ざんを続けていた
◆今回の新たな不正を受けて三菱マテリアルは、2月末を予定していた特別調査委員会の最終報告を3月以降に延期するとしている
ということだそうです。
それにしても、この3社には、三菱マテリアルのグループ会社という自覚は薄かったのかもしれません。
グループ他社でこれだけ、品質不正が問題になり、マスコミ報道されていれば、経営陣は、三菱マテリアルから送り込まれた人間もいるでしょうから「チェック体制の強化」など、管理体制の引き締めが少なからずあったはずです。
しかし、不正をやり続けていたというのは、内部統制が効いていなかった証拠でしょう。
ちなみに、認証機関を認定するJABのウェブサイトでは、この3社は、ISO9001や14001を取得しています。
認証機関は、複数になりますが、該当する認証機関は、これからチェックを掛けて、場合によっては「特別審査を実施」することになるでしょう。
個人的に気になるのは、「ISO14001」のお墨付きを与えている認証機関の対応です。
ひと昔前であれば、「品質不正はISO9001に影響を与えるものであり、ISO14001の認証には影響がない」との見解を認証機関は示しそうです。
しかし、今の時代、「事業活動と認証の信頼性」は大きく関与しています。
また、認証制度自体が「信頼」の上に成り立っているものですから、無傷のまま「環境に与える影響はない」では、世間が納得しないでしょう。
ちなみに、この3社のうち、立花金属工業のウェブサイトをチェックしてみました。
http://www.tachibana-metal.co.jp/kankyou.html
ウェブサイトのトップページには、
《不適合品への対応について》
このたびは、多くの皆様に、多大なるご心配、ご迷惑をおかけしていることにつきまして、深くお詫び申し上げます。
当社では、今後、このような事態が再び発生することがないよう、品質管理体制の強化を図り、再発防止に努めてまいります。
(※ウェブサイトより引用)
と表示されています。
「品質不正についてスルー」するよりは、よっぽどましですが、このようなお詫び文をウェブサイトに記載するならば、せめて「社長限界でしょ」にそって、品質不正の原因、対象製品の調査、再発防止策、賠償などについて、触れなければ、あまり意味のない「お詫び文」だな、と思います。
また、この会社の品質マネジメントシステム(ISO9001)の認証は、エスエーシージャパン(SACジャパン)というアメリカ(ANAB)やオランダ(RvA)の認定を受けている認証機関の日本法人のようです。
海外に主たる法人がありその現地法人が認証活動を実施しているケースは、かなり最近は増えており、一説には、「JABで認定を受けている認証機関に認証されている組織よりも非JAB系認証機関に認証された組織数の方が多い」とも言われています。
このような組織の不正があった場合、JAB認定の認証機関には、少なくとも次回審査で、品質不正が発覚した組織に対して認証機関がどのような対応を取ったのか、チェックが入ります。
しかし、非JAB認定系の認証機関であり、かつ、現地法人の場合、アメリカやオランダの認定機関が組織の品質不正情報をキャッチしているとは思えませんから、認定審査で認証機関の対応状況をチェックしているとは思えません。
海外認定を受けている認証機関の日本法人が審査した案件について、認証機関みずからが、チェックする体制になっていればいいのですが、ちょっと気になるなぁ、と思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ580号より)
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- 同業他社の事業統合後のマネジメントシステムについて
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2018.02.09 Friday
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組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISO認証制度がある。
このISOマネジメントシステム審査について、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「同業他社の事業統合後のマネジメントシステム」について。
銀行や保険会社といった金融機関の事業統合は、この25年ほどの間に活発に行われてきた印象があります。
余談ですが、先日、銀行のキャッシュカードを整理していたら、現在は「みずほ銀行」ですが、統合前に作った「第一勧業銀行」のキャッシュカードが2枚出てきました。
また、現在は「三菱東京UFJ銀行」になりましたが、「三菱銀行」時代に作ったキャッシュカードも出てきました。
これらのカードをここ数年、使用した記憶がなかったので、「今でも使えるのだろうか?」と恐る恐るコンビニのATMに入れて残高照会をしてみると、それぞれの口座に数万円ずつあり、「まだ没収されることなく使えるんだ」と安心しました。
しかし、経営統合により、支店名が変わっているケースもあり、例えば、「これらの口座に振込する場合、支店名はなんと入力(選択)すればいいのだろう」と思いました。
余談はここまでにして、話を戻しますが、企業がグローバル化し、市場での競争力を保つために、金融機関以外の業界でも、どんどん経営統合が進んでいます。
身近な事例だと、コンビニエンスストアは、大手三社(セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン)とミニストップ、デイリーヤマザキなどに集約されてしまいました。
製造業の場合もそうで、例えば製紙会社は、板紙生産量で世界第7位の王子製紙と第9位の日本製紙グループに集約されたイメージがあります。
ちなみに、王子製紙は、苫小牧製紙、本州製紙、日本パルプ工業、東洋パルプ、北日本製紙、神崎製紙などがもとの会社ですし、日本製紙は、十條製紙、東北パルプ、山陽国策パルプ、大昭和製紙などがもともとの会社ですね。
製造業の場合、組織が大きくなればなるほど、本社機構、営業部門、製品開発部門、製造拠点がはっきりとサイト的に分かれているケースが多いです。
要は、「経営管理」「営業」「製品開発」「製造」が機能的に明確に分離されているので、ISO9001を構築・認証する場合「製造拠点毎に構築し認証取得している」というケースが多いわけです。
もともと、ISO9001規格が誕生(初版)した1987年は、現在のような「経営マネジメントシステム」という側面ではなく「品質管理、品質保証」という世界でした。
したがって「製品開発部門から指示された製品仕様にしたがった製品を忠実に製造し、安定的に供給することを保証する仕組み」として「製造拠点(工場)ごとに認証取得」していたわけです。
つまり、若干専門的な話になりますが、「営業部門や製品開発部門」をマネジメントシステム上の「顧客」として、「顧客の要求に従って製品を供給する工場の品質保証」という意味合いで認証を取得するケースが多いのです。
しかし、「品質保証」は、製造部門が単独で頑張っていても実現できません。
要は、製造部門は、あくまでも組織全体のひとつの機能であり、設備投資計画や人材戦略、コンプライアンスといった観点は、組織全体で捉え経営管理部門がグランドデザインしているのが通常です。
そうなると、そもそも「その製品を利用するエンドユーザーの対する品質保証」として組織全体でマネジメントシステムを捉えて構築しなければ、実質的な価値を持ちません。
そのため、「ISO9001認証=製造部門の品質保証」という捉え方では、おかしいので、「システム上の顧客」という概念をやめて、「製造部門に加え、経営管理、営業、製品開発部門を含めてマネジメントシステムを構築するのが本来の姿」として「ISO9001認証」に取り組むケースが増えてきました。
そして、昨今は、企業競争力を高めるために、ライバル他社と合併して、共通する機能をスリム化するケースが増えてきました。
もともと「工場単位で認証取得していた組織同士が合併」すると、認証は、そのまま、経営統合しても「工場単位」での認証を継続しているケースが多いです。
しかし、一般的に「経営統合後の工場単位の認証はちょっと変」と考えた方がいいと思います。
なぜならば、経営者サイドの視点とすれば、経営統合の目的は、「経営の効率化による競争力向上」です。
したがって、本社や販売、製品開発機能をスリム化するのと同時に、製造部門も製品毎の専門工場としたり、ある工場は、製品全体で捉えれば「中間製品製造専門工場」だったり「最終製品主体の工場」というようにどんどん「生産機能が再編される」わけです。
私の経験では、もともとライバル他社として同種の製品を作っていた工場が「原料供給工場」、「最終製品製造工場」、「他工場の廃棄物を原料として新たな製品を製造する工場」などに再編されているケースがありました。
このように「同業他社が経営統合」すると、「企業全体で事業を考えて効率的な業務が実施できるよう」業務運営をするので、詳細解説は省きますが「統合前に取得していた工場単位での認証のまま」だと、どうもマネジメントシステムとして不都合が生じてくるのです。
個人的には、組織が「ISO9001に取り組むことによってエンドユーザーや市場、あるいは社会から信頼されるためにはどのような組織(適用範囲)でマネジメントシステムを構築するべきなのか」をしっかり議論し、「製造拠点だけでなく組織全体でマネジメントシステムを構築しなければ意味がない」と気づいてくれることが望ましいと思います。
けれども、組織がそれを認識していない場合は、ISO認証機関が、きちんと、「ISO認証制度の価値や社会の期待と変化」を説明して「御社の場合は、工場単位での認証は、本来の事業活動と整合しないので、適用範囲の見直しを検討した方がいいです」と促すことが必要だと思います。
繰り返しますが、「同業他社の事業統合後のマネジメントシステム」については、「経営統合の目的」が「経営の効率化による市場競争力の向上」ですから、「組織全体でマネジメントシステムも再編する必要がある」という視点でとらえ直す(再構築する)必要があるといえるでしょう。
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- 「SUPER! FRIDAY」企画で大渋滞を引き起こした吉野家のマネジメントシステム
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2018.02.06 Tuesday
JUGEMテーマ:ビジネス
2018年2月5日に、牛丼チェーン店の吉野屋は、ソフトバンクユーザーを対象にした
「SUPER! FRIDAY」
に関して、自家用車での来店を控えるお願いやお詫びを発表した。
CMでバンバン流れているので、ソフトバンクユーザーでなくても、ご存知の方も多いと思いますが、「SUPER! FRIDAY」は、2月中の金曜日(2日、9日、16日、23日)の午前10時〜午後10時に牛丼並盛り1杯を提供するサービスです。
(25歳以下の学生は2杯無料)
各メディアの報道によると、サービス初回の2月2日は、全国の店舗に多数が来店し、イベントは大盛況だったようです。
しかし、吉野家のドライブスルー店舗では、入店待ちの交通渋滞が何キロにも及んだ店舗や駅ナカや駅周辺にあるある店舗では、行列が長蛇になり、駅利用者に迷惑が起きる現象も発生したそうです。
これを受け、吉野家は、
・車の来店の自粛
・混雑緩和のため『牛丼並盛り無料引換券』配布
・販売品目を牛丼、牛鮭定食、牛すき鍋膳等に限定
・ドライブスルー販売休止
の4項目を発表したそうです。
この企画は、おそらく、ソフトバンクと吉野家のタイアップ企画と思われます。
マネジメントシステム的に気になるのは、「イベントに伴う店舗の集客予測とそれに伴う影響」に関する読みの甘さです。
メディアの報道では、渋滞を引き起こした店舗では、渋滞をフォローするスタッフや警備員はいなかったそうですが、集客予測がしっかりしていれば、近隣住民に迷惑を掛けないよう、スタッフの増員手配をしていたはずですが、できていなかったのでしょう。
このイベントは、あと3回あるわけで、1回目がくしくも「企画の妥当性確認の場」となってしまいました。
しかし、本来であれば、1回目を開始する以前に、想定される影響や問題点を予測し、不測の事態に備えるオペレーション手順を決めておくべきですが、ソフトバンクも吉野家も、十分に「想定と対策&シュミレーションによる訓練」は実施していなかったのではないかと思います。
「たかが牛丼の無料配布じゃないか」ともし、吉野家やソフトバンクが考えていたら、それは、認識が甘すぎます。
たとえ話が古いですが、2001年に発生した「明石花火大会歩道橋事故」では、兵庫県警の警備体制の不備が裁判の争点となりました。
イベントは「群集が集まるので細心の対策が必要」なのは、「イベンターの常識」です。
ソフトバンクも吉野家も「コラボ企画」というアイディアはいいのですが、「不測の事態に備えるマネジメントシステムが確立していなかった」といえるのではないでしょうか?
ちなみに、吉野家は、日本最大のISO認証機関である「JQA」(日本品質保証機構)により、環境マネジメントシステムの認証を受けています。
こうした「イベントに伴う環境影響」がしっかり環境影響評価され、対策されていたのか、自ら検証するべきではないかと思います。
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- 「決められたことが適切か」という観点での内部監査
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2018.01.19 Friday
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組織のマネジメントシステムについて「内部監査」を実施する場合、よく誤解があるのが、
「決められたことが適切に実施されているか」
という観点でのチェックするのが「内部監査」であると考えることである。
もちろん、間違いではないですが、それだけでは、真の目的は果たせません。
要は、
「決められたことが適切に実施されているか」
という観点に加えて、
「決めたことが(現時点でも)適切か」
という観点伝でチェックすることが重要なのである。
例えば、製造や施工現場で、
「始業前に、チェックリストに基づいて安全パトロールを実施する」
というルールがあった場合、「決められたことが適切に実施されているか」という観点のみの内部監査では、
◇規定された人(パトロール実施者)
◇規定された時間(始業前)
◇チェックリストの項目確認
といった点が適切に実施されているかどうかを見るだけになる。
もちろん、「決められたルールが現場で理解されておらず実施が不十分」な場合は、この観点での内部監査は重要である。
しかし、単発的な記入もれ程度で、基本的には、決められたルール通り実施されている場合は、この観点のみでの内部監査ではほとんど意味がない。
つまり「決められことが適切か」という観点でのチェックである。
日常生活に当てはめれば、生活習慣が変化して、スポーツをするようになった場合は、食事のレシピも塩分多めとか鉄分多めの食事にするというように「今までの食事のレシピの適切性が失われ見直しが必要」になるケースはあるだろう。
前記した安全パトロールの例でいえば、例えば、
◇規定されたパトロール実施者の力量は適切か
◇規定されたパトロール回数や時間帯は適切か
◇規定されたチェック項目は適切か
◇記録様式は書きやすくチェック基準は適切か
といったような観点でのチェック(検証)である。
国際的なマネジメントシステム規格が日本に浸透し始めて、すでに20年以上が経つ。
生みの苦しみで会社の明文化されていないルールを明文化してきた企業内の「第一世代」は引退し、いまや、第二世代や第三世代となって、「なぜそのようなルールを決めたのか」という根拠さえ、理解が不十分な組織もある。
つまり、「社内ルールの成り立ちが不明なので、見直しても大丈夫なのか否かの判断がつかず放置している」という組織も多く、「実態に合わない無意味なルール」を多く抱えている企業も多い。
わかっている人には、常識的なことであるが、内部監査の意味合いを振り返って、組織の業務改善に真に内部監査を役立ててほしいものである。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ410号より)
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- 旭硝子100%子会社のAGCテクノグラスの品質不正問題
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2018.01.18 Thursday
JUGEMテーマ:ビジネス
またまた、大手企業の「品質不正」問題が発覚しました。
2018年1月10日付のNHKのニュースによれば、
(以下、引用)
「国内最大手のガラスメーカー、「旭硝子」の子会社が、製品の試験管を一部の品質検査を実施したように偽って、およそ80の研究機関に出荷していたことがわかりました。
品質検査を行ったと偽って試験管を出荷していたのは、「旭硝子」の子会社で、静岡県に本社がある「AGCテクノグラス」です。
発表によりますと、「AGCテクノグラス」は、試験管を製造する際、実験を妨げるおそれのある成分が含まれていないかを調べる独自の規定に基づく検査をしていました。しかし3年前の平成27年2月以降一部の検査に必要な薬品が入手できなくなったにもかかわらず、検査を実施したように偽って、出荷を続けていたということです。
旭硝子によりますと、去年12月に子会社の社員からの指摘で問題が発覚し、検査を行ったと偽った製品は、およそ80の研究機関に出荷されたということです。
会社では、同じ時期に製造した試験管を別の方法で検査した結果、製品の品質や安全性に影響はないとしています。
これについて、AGCテクノグラスは、「ご迷惑をおかけして、深くおわび申し上げます。品質保証体制全般の見直しを進めていきます」とコメントしています。
今回の問題を、「AGCテクノグラス」は、去年12月27日に会社のホームページで公表した一方で、東京証券取引所の1部に上場する親会社の旭硝子は、投資家に迅速に情報を提供する適時開示などの対応はとりませんでした。
これについて旭硝子は「業績への影響は軽微なため、適時開示の必要はないと判断した」としています。」
(引用ここまで)
この記事を知って、以下の「二つの点」が気になりました。
◆親会社の旭硝子の投資家への情報開示の判断
◆AGCテクノグラスが実施した「別の方法での検査結果」
です。
前者に関しては、
・旭硝子100%出資の子会社であること
・問題が「検査の過失」ではなく「検査の不正」であったこと
という観点からも「適時開示の必要性がないとなぜ判断したのか?」について、旭硝子の見解をお聞きしたいところです。
さて、後者ですが、AGCテクノグラスのウェブサイトを見に行くと、「品質保証について」の説明文が掲載されていました。
http://www.atgc.co.jp/pdf/DNase_guarantee20180109.pdf
詳細は、この説明文に譲りますが、この説明によると、
◆当該遠沈管はDNaseを使用しない製品設計である
◆クリーンルームを使用した自動ラインによりDNaseが混入しない工程で製造している
◆現在の生産工程・製造管理となった2012年9月以降、2015年1月までの2年5か月の間に実施された検査におけるDNase検出値は、いずれも「1×10-7Kunitz units/μl以下」である
◆(検査を実施しなかった)2015年2月以降も関連因子であるRNase、DNA(ヒト・マウス)、エンドトキシンの検査結果は、保証値以下を維持している
◆DNase検出値につきましても「1×10-7Kunitz units/μl以下」を維持していると考える
というロジックで、要は「決められた検査はしていないけど製品自体は要求品質を満たしていたはずです」という論法です。
ロジックだけで、突っ込めば、「ちゃんと検査していた時は問題なかった」、「検査をサボっていた期間も他の関連因子は保証値以下だからスペックは満たしているはず」とAGCテクノグラスは言っているわけですが、「組織に保存してあるサンプル品の検査で問題なかった」と言っているだけで、出荷した製品すべての品質保証がされているわけではありません。
また、「関連因子の検査結果が保証値以下=DNaseが保証値を満たしていたこと」が本当に保証されるのかわかりませんし、仮に、それで問題ないのであれば「検査試薬がなくなった今、検査方法を変えて元の検査基準のレベルで出荷すればよく、品質保証基準を落とすことはない」と思います。
それにしても、今回も、言い訳は「決められた検査はやっていなかったけど、製品品質には影響なかった」という「結果がいいから問題ないでしょ」的な「コンプライアンス軽視」の「説明文」です。
この文面を見る限り「罪の意識」「顧客の信頼を失墜させてしまった」という後悔の念は、まるで感じられません。
また、
「検査試薬が手に入らなくなったのに検査方法等を見直さなかった点」
「決められた検査を実施していなかったのに、出荷が長期間に亘ってされ続けた理由」
「検査試薬の調達管理がずさんだった理由」
などについては、全く触れられていませんし、この点に関する今後の再発防止(の方向性)についても記載がありません。
天下の旭硝子の100%子会社が、「品質不正」に対するこの程度の説明では、なんだか情けないです。
ちなみに、AGCテクノグラスは、ISO9001の認証を国内最大手の認証機関であるJQA(一般財団法人日本品質保証機構)で取得しています。
認証機関として、どのような対応を取るのか、注目のしたいと思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ576号より)
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- 組織ぐるみの不正と第三者審査で担保できる組織の信頼性
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2018.01.17 Wednesday
JUGEMテーマ:ビジネス
2017年12月28日付の朝日新聞デジタルによると、
(以下、引用)
「非鉄金属大手の三菱マテリアルは(12月)28日、子会社による品質データ改ざん問題に関する中間調査報告書を公表した。
「三菱伸銅」の改ざんについて報告書は、シェア拡大や検査での不適合による損失回避などが原因だと指摘。
「製造業の基本的な事項がないがしろにされていた」と批判した。」
(引用ここまで)
と報じていました。
記事によると、
◆三菱伸銅では遅くとも2001年までには、改ざんを指南する「ポイント表」が存在していた
◆三菱電線工業でも「シルバーリスト」と呼ばれる同じような書類があることが確認された
◆12月1日付けで辞任した村田博昭三菱電線工業前社長も認識していた
◆2013年頃には、顧客から製品の品質に苦情があったが、その後も改ざんは続けられた
という。
振り返ると、三菱マテリアルは、11月23日に、三菱伸銅と三菱電線が、自動車や航空・宇宙分野向けなどの部材で検査データを改ざんしていたと公表し、その後、子会社の三菱アルミニウムでも同様の改ざんが明らかになっていた。
今回の調査報告から言えることは、「会社ぐるみで品質データの改ざん」をしていたことになります。
製品が完成し、検査結果が、顧客要求や社内基準を満たさなかった場合、その製品が、実際に使用される用途によっては「許容できる基準」であれば、顧客に承認をもらうことで「特別採用(特採)」されることが、通常はルールとして認められている。
今回の件の詳細はわかりませんが、仮に「結果として問題がない(だから改ざんしても実質的に影響はない)」との理屈であるなら、「特採」を申請すればよい話である。
なぜ、特別採用という手段をとらずに、「検査データの改ざんをしていたのか」については、朝日新聞デジタルの報道では不明ですが、この理由が解明されなければ、組織の体質もマネジメントシステムもしっかりと改善されることはないでしょう。
それにしても、「現場が上に報告するのは手間がかかり面倒くさい」というような「現場の勝手な判断」ではなく、「経営層が不正を認識していた」問題ですから、当たり前ですが「徹底した原因究明」が求められます。
それにしても、神戸製鋼所、日産自動車、三菱マテリアル・・・など2017年に顕在化した「品質不正」については、「信頼性」というものについて考えさせられる問題です。
これらの企業は、日本を代表する企業で、ウェブサイトを見れば、「コンプライアンスへの取組」や「ISOマネジメントシステムへの取組」などがされています。
つまり、「企業規模や企業ブランドだけでなく、しっかりと信頼される事業活動も行っています」と外にアピールしており、ISOに関しては、第三者の監査も受けているわけです。
ちなみに、「信頼性」の定義は、日本工業規格のJIS-Z8115:200では、
「アイテムが与えられた条件で規定の期間中、要求された機能を果たすことができる性質」
と定義されています。
つまり「一定の条件下で、安定して期待される役割を果たすことのできる能力」とも定義できるわけです。
これを「信頼度」という定量的な観点で捉えようとすると、
「システムなどの障害や不良品の発生がしにくく、製品やサービスの提供が確実にされる確率」ですから、事例を挙げれば、
◆故障率
◆平均修復時間
◆稼働率
◆耐用寿命
といった指標で技術的には評価することができるのかもしれません。
ただ、上記指標は、「製品実現やサービス提供プロセスの信頼性」であって、「組織の信頼性」(組織が誠実に仕事を実行できる能力)という視点では不十分です。
解決策はできませんが、会計監査を含めて、マネジメントシステムの第三者審査などのあり方や信頼性担保にも、これら一連の品質不正問題は一石を投じる2017年の出来事だったと思います。
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