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ISO認証制度:組織におけるISOマネジメント教育

JUGEMテーマ:ビジネス

 

組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、クライアントや知り合いの経営者からよく質問されるテーマについて、備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「ISOマネジメントシステム教育」について。

 

2012年にISOマネジメントシステム規格の共通構造(ハイレベルストラクチャー)が作成されて以来、「ISOマネジメントシステムと事業の統合」ということが盛んに言われるようになってきました。

ざっくりと表現すれば、「ISOと事業の統合」とは、本来はいわずもがななことですが、1980年代後半から始まったISOマネジメントシステム認証制度は、「ISO要求事項を最優先した管理システム構築(文書・記録の作成)という側面が強かった反省に基づくものだと思います。

 

例えば、規格要求事項で「外部コミュニケーション記録の保持」があれば、昔は、多くの組織が「外部コミュニケーション記録」と名付けられた社内様式を作成し、それに、記入して管理者に報告する仕組みを「ISO要求事項を意識して」構築していました。

けれども、現実的には、組織の創業と同時にISOマネジメントシステムを導入した組織でない限り、何十年も経営してきた組織であれば、「苦情記録簿」や「お問合せ記録」、「業務日報」、「協議簿」、「点検報告書」・・・といった「外部コミュニケーション」を記録する仕組みが存在するのです。

 

したがって、ISO事務局が、「外部コミュニケーション記録」を様式として制定していても、ほとんど使われていないのが現実でした。

ISO認証審査の場合、審査員が「外部コミュニケーション記録を見せてください」と組織に質問しても「この1年間で作成事例はありません」と返答されるのがオチで、記録の「あるなし審査」しかしない能力不足の審査員なら、「苦情も要望も特に発生していないのですね、素晴らしい」と間抜けなお世辞を言って終了です。

しかし、実際には、例えば、公共工事であれば、発注官庁担当官と打ち合わせ事項や発注者からの指示・要望事項は協議簿に記載していますし、キュービクルや浄化槽の定期点検を外部業者に依頼すれば、点検報告書に、「漏電の恐れあり」とか「薬剤散布済み」といったコメントが書かれており、まさに「外部コミュニケーションの記録」です。

 

このように、元々組織が管理していた仕組みと、ISO導入で新たに作った仕組みの交通整理をしないまま、業務運営していくと、「2重帳簿状態」になり、現場からは「ISOを導入して余計な記録作成が増えた」と不満が爆発するわけです。

 

話題を、本コラムの「ISOマネジメントシステム教育」に戻すと、「ISOと事業の統合」と言い出してからは、特に顕著なのですが、以前は存在した「ISO導入教育」や「ISOマネジメント研修会」、「改善発表会」といった教育システムもいつの間にか、廃止または中断している組織が増えた気がします。

もちろん、前述した事例のように、元々、組織に「PDCA」とか「マネジメントシステムの継続的改善」といった概念と活用教育を、通常の業務教育の中で実施していれば問題ありません。

しかし、通常は、日々の仕事のやり方を教育するに留まり、マネジメントシステム用語でいえば、「是正処置」、「継続的改善」、「プロセスの監視測定」、「データ分析」、「業務の標準化」といった概念や認識の向上を図る教育は十分ではないように思います。

 

また、いわゆる組織における「ISO第一世代」は、マネジメントシステムの構築やISO導入意義を徹底的にゼロから学びましたが、認証取得から15年〜30年経過した組織は、ISO事務局も第3世代、第4世代へと移り、「前の世代がやってきたことの伝承」(結果として認証維持のための活動主体)だけで、「マネジメントシステムの導入の意義や目指すべき効用」といった点、つまり、組織の隅々まで浸透させるような取り組みは出来ていない組織が多いと思います。

 

「ISOマネジメント教育」と銘打った「個別の教育の場を必ず設けなさい」という意味ではなく、「ISOと事業の統合」を図るのであれば、「担当業務に関する教育」の中に「ISOマネジメントの本質」を理解させる内容も含めるべきだと思うのです。

元々、管理職教育の一環として、マネジメント教育が教育体系にある大企業は別ですが、こうした教育が元々組織に存在しなかった組織は、管理層の質が低下している気がします。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ694号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 06:49
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