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前田建設工業の廃棄物処理法違反の疑いはなぜ発生したのだろうか

JUGEMテーマ:ビジネス

 

2020年9月6日付の産経新聞が、

「前田建設、学校の壁内に廃材不法投棄か 石膏板…有毒ガスの可能性」

という見出し記事を報じていました。

 

産経新聞の記事によれば、(注:筆者要約)

・前田建設工業が学校法人日本航空学園から校舎や学生寮の建設工事をかつて請け負った

・この工事は日本航空高校石川や日本航空大学校に対するもので2002〜2004年に施工

・工事で発生した廃石膏ボード(端材)が校舎などの壁の隙間に廃棄されていた

・石膏ボードは水分を含むと硫化水素(有毒ガス)が発生する可能性がある

・環境省は廃棄物処理法違反(不法投棄)の恐れがあるとしている

・廃石膏ボードは、2020年4月に建物の水漏れ対策工事の際に見つかった

・この水漏れ対策工事は、東京都港区の建築コンサルタント会社「ウトロン」が担当

・ウトロンによると前田建設側は、石膏ボードの除去や修繕工事を行うと学園側に申し出した

・しかし、学園側は信用できないとして拒否し、ウトロンに修繕工事が依頼された

・前田建設は、石膏ボードが工事の過程で出たものだと認めている

・前田建設は「工期短縮のため学園と協議し同意を得ている」と説明

・日本航空学園は、「前田建設と同意したかについては調査中」としている

・寮には現在、高校・大学に通う生徒や学生計約900人が居住している

・現在、健康被害などは確認されていない

・現在、学園と前田建設は国土交通省に設置された機関で協議中

・協議は、裁判外紛争処理機関「中央建設工事紛争審査会」を通じて実施されている

・・・・・

とのことです。

 

それにしても、前田建設工業と言えば、品質管理や経営品質、コンプライアンスなどに関して造詣の深い企業です。

私も所属する品質管理学会では、長年にわたり、役員を輩出しています。

建設関係者の方には、申し訳ないですが、確かに、昔の建設業界には、工期や工事予算の都合上、施主との合意で、こうした「法規上グレーな取り決め」があったようです。

 

しかし、2002〜2004年当時は、世間の環境意識やコンプライアンス意識は相当高くなっていました。

前田建設工業のこの施工現場の現場代理人や管理技術者が、廃棄物処理法違反の可能性がある合意を施主(日本航空学園)と普通に考えれば、するはずがありません。

仮に、施主から「完成は予定工期に間に合わせて欲しい」と強く要望されても、建設廃材の処理をいい加減にすることで、後々、問題が出ることは明らかなので、「合意」は「文書ではなく双方の担当者間の口約束」ではないでしょうか。

 

また、今回、壁の隙間に廃材があったということですが、設計監理者は、施工段階で、チェックしていたのでしょうか?

 

報道では、廃材の投棄は、「工期短縮」とのことですが、廃石膏ボードを廃棄する際に、産業廃棄物許可を持つ収集・運搬業者や処分業者に委託しますが、受入予定の中間処理業者が処理能力を超えて、受け入れできない状態だったのでしょうか。

廃棄物の受け入れ先の状況という可能性もありますが、「処分費用をケチっていた」可能性も否定できません。

いずれにせよ、前田建設工業の「工程管理と原価管理がずさん」だったことも、この問題の要因のひとつでしょう。

 

結果論ですが、内部監査等でこの現場をチェックすれば、「廃棄物処理実績が異常に少ない」ことに気づけたのではないかと思います。

そういう観点では、「内部監査等、組織内部のチェック体制」も有効に機能していなかったことなります。

 

ちなみに、前田建設工業は、マネジメントシステムの国際規格である「品質マネジメントシステム」(ISO9001)、「環境マネジメントシステム」(ISO14001)を1990年代に取得し、現在も登録されています。

担当の認証機関(JUSE-ISO Center)は、組織のマネジメントシステムが適切に機能していたのか、および、そうした観点の認証審査を実施できていたのか等について、検証し、対処して欲しいものです。

 

なお、今回、工事を担当(おそらく設計と施工管理)したのは「東京港区のウトロン」という建設コンサルタント会社だそうですが、ウェブサイトがみあたりません。

また、石膏ボードの不法投棄は、かつて、某大手ビジネスホテルチェーンの創業者が廃棄物処理法違反で逮捕されたこともあり、「建設会社での法規違反定番」です。

今後の動向に注目したいと思います。

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 11:18
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