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“ボウガン”は企業名・商品名であって一般名詞ではない

JUGEMテーマ:ニュース

 

2020年6月4日に、大学4年生により、兵庫県宝塚市の住宅で4人がクロスボウで撃たれ、3人が死亡、1人が重傷を負う凄惨な事件が発生しました。

 

被疑者と被害者4人は、被疑者の男と被害者は祖母、母、弟、伯母という親族だそうなので、報道だと被疑者は「4人を殺そうと思った」と自供していることから、親族間のトラブルが事件の原因かもしれません。

 

この事件のニュースが速報で流れた際に、私が気になったのは、

◆凶器は、ボーガン(ボウガン)という報道

◆クロスボウの販売、保管に関する規制

の2点です。

 

少し話はそれますが、正式名称ではなく、商品名で一般には、知れ渡っているものは、数多くあります。

代表的なのは、

・ホッチキス→正式には「ステープラー」

・シャチハタ→正式には「インキ浸透印」

・宅急便→正式には「宅配便」

・バンドエイド→正式には「絆創膏」

・テトラポッド→正式には「波消しブロック」

・エスカレーター→正式には「階段式昇降機」

・ウォシュレット→正式には「温水洗浄便座」

・セロテープ→正式には「セロハンテープ」

などがあります。

 

よくテレビ番組で、出演者が「宅急便」というと司会者の局アナが「宅配便ですね」と発言を修正するシーンを見かけますね。

この手の事件が起きると、マスメディアは、「ボーガン」または「ボウガン」という言葉を平気で使用しますが、実は、この「ボウガン」も企業名であり、商品名であって「一般名詞」ではないのです。

今回凶器に使われたものの正式名称は、「クロスボウ」または「洋弓銃」というのが正確です。

ちなみに、「ボウガン」は、クロスボウが日本に入ってきた時に、「弓式の銃」といわれ、和製英語で「ボウ(弓)ガン(銃)」という名称を株式会社ボウガンの創業者が名付けました。

その後、株式会社ボウガンが企業名として商標登録し、クロスボウを自社製造して「ボウガン」という商品名で販売していたのです。

 

したがって、報道では、「クロスボウ」または「洋弓銃」として報道しなければ、「株式会社ボウガン」にとってみれば、「不利益な報道」となるわけです。

 

次に「クロスボウの規制化」ですが、結論から言えば、今の時代、ある一定の規制は必要でしょう。

ただし、このクロスボウは、古くからある銃器です。

私たち日本人にとってなじみのある話は、「弓の名手、ウイリアム・テル」伝説です。

スイスを独立に導いた英雄ウイリアム・テルの逸話を紹介すると、

 

(Wikipediaより引用編集)

「代官が、中央広場にポールを立てて自身の帽子を掛け、その前を通る者は帽子に頭を下げてお辞儀するように強制した。

しかし、テルは帽子に頭を下げなかったために逮捕され、罰を受けることになった。

代官は、クロスボウの名手であるテルが、テルの息子の頭の上に置いた林檎を見事に射抜くことができれば彼を自由の身にすると約束した。

テルは、息子の頭の上の林檎を矢で射るか、それとも死ぬかを、選択することになった。

テルはクロスボウから矢を放ち、一発で見事に林檎を射抜いた。(以下省略)」

 

というお話です。

そして、この伝説で使用された弓が「クロスボウ」なのです。

その後、クロスボウは、「スポーツ競技」として進化し、スイスやオーストリアでは、ライフル射撃の一部門として発展していきます。

一方、イギリスやアメリカでは、アーチェリーの一部門として成長しました。

詳細は省きますが、要は、欧米やオーストラリア、ニュージーランドでは、比較的よく知られた競技スポーツとなっています。

 

一方、日本の場合は、一般には「銃の所持」が認められていないので、「玩具」としてマニアの間では広がりました。

悲しいことに、日本では、競技としての「クロスボウ」は極めてマイナーなので、このような事件が起きると

「凶器になるのに規制されていないのはおかしい」

「規制しても社会生活に影響はない」

といった声が上がります。

しかし、競技スポーツをしている人から見たら、死活問題なのです。

 

したがって、私としては、日本における競技スポーツ団体の統括組織である日本ボウガン射撃協会とクロスボウ販売の団体は、例えば、

・競技スポーツとして所持する場合のガイドラインを作る

・指導員から取り扱いの講習会を受けたものしか所持・保管できない仕組みにする

・販売のガイドラインを定める

(国内店舗からではなく通販で海外メーカーから直接購入するケースもある)

・販売するクロスボウの弓の強度を規制する

・販売する場合は、買主、持ち主の身分と住所を明確にする

・転売等で購入し所持する場合は、業界団体に届け出る

・・・

といった基準を早急に設けるべきでしょう。

 

それにしても、今回の事件はショッキングすぎます。

1993年に発生した通称「矢ガモ事件」によりクロスボウは有名になりましたが、これまで、「死者は出てこなかった」と記憶しています。

死者が出なかった理由は、クロスボウが矢を装填するまでに時間がかかり、連射できないし、貫通力はあっても、急所でない限り、からだに穴が開くのみ」で、「殺傷能力のある武器としては使えないもの」という実情があったからです。

しかし、3人も一度に亡くなるとなると、「殺傷能力がある武器」と考えることは明らかと考える人が多くなるのは当然でしょう。

 

心配なのは、「クロスボウ」に対して、国民全体に「悪印象」が広がったことです。

現在、スポーツとしてクロスボウの練習をする場合、専用練習場を持っている一部の大学、一部の民間クラブを除き、一般の弓道場や運動場を借り、全日本選手権などの公式大会を開催する場合は「特設会場」を設置しています。

今後、こうした競技としての大会が、開催しにくくなり、練習の場もどんどん減少するのではないかと思うのです。

クロスボウは、競技者が少なく、マスメディア等のスポンサーとなる大規模メーカーが製造していないし、競技団体等には、政治家などもいません。

つまり「弱者」なので、一気に規制が強化されると、「国内からスポーツとしてのクロスボウ競技」が滅亡していってしまうのではないかと、危惧する次第です。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ701号より)

 

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author:有賀正彦, category:ニュースを題材にした話, 14:46
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