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“ヘディングと脳への影響”に関する新聞記事

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2020年1月6日付の読売新聞(夕刊)で、

「サッカー選手死因 認知症が3倍以上」

という見出し記事がありました。

 

2018年8月に雑誌「サッカーダイジェスト」で、

「繰り返し頭部に衝撃を与えることが慢性外傷性脳症を引き起こす」

「いずれはプロレベルでヘディングを制限することが必要だと信じている」

と英国公共放送「BBC」のインタビューで脳の専門医(ベネット・オマル医師)が指摘したとする記事を見たので、「いよいよ、日本でも、こうした議論がされるようになったのか?」と感じながら、記事を読みました。

 

読売新聞の記事では、(以下、引用抜粋)

・英国グラスゴー大学の研究チームが認知症など神経変性疾患で死亡するリスクが高いと発表

(米医学誌「ニューイングランドジャーナル・オブ・メディシン」に論文は掲載されている)

・死亡リスクが一般人より3倍以上高い

・1900〜1976年に生まれたスコットランドの元サッカー選手7676人と2万人の一般人を比較

・すでに死亡していた1180人の死因を分析すると神経変性疾患は一般の3.5

・アルツハイマー5.1倍、アルツハイマー以外の認知症3.5倍、パーキンソン病2.2倍

・肺がん、心筋梗塞のリスクは、一般人より低かった

・東京医科歯科大の成相直准教授は、

「運動の効果で長生きすることで、神経変性疾患にかかるリスクが高まった可能性もある」

と指摘

・アメリカサッカー協会は、10歳以下のヘディングを全面的に禁止している

・成相教授によると、現時点でヘディングが脳機能に悪影響を及ぼす科学的証拠はない

・日本臨床スポーツ医学会の脳神経外科部会長の獨協医大の荻野雅宏准教授は、

「海外でも注目を集めている結果だが、過度に不安になる必要はない。

ヘディングが脳に与える影響について日本でも議論を始めるきっかけにして欲しい」

と話している

・・・

(記事の引用、ここまで)

ということだそうです。

 

私が記事を読んで、「あれ?」と思ったのは、読売新聞が取材した「脳医学に関する学識経験者」として登場した2人の医師がいずれも「ヘディングと神経変性疾患の因果関係に否定的」であることです。

成相准教授にいたっては「科学的根拠はない」としていますが、「科学的である」というのは「考え方や行動のしかたが、論理的、実証的で、系統立っているさま」をいうので、調査対象数から考えても「ヘディングと神経変性疾患の因果関係は高い」と言っても決しておかしくありません。

「医学的根拠」「生物学的根拠」というのであれば、まだ理解できますが。

 

ちなみに、国立がん研究センターの予防研究グループがまとめたレポートによると

https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/252.html

・たばこを吸う人の死亡率は、男性では 1.6倍、女性では1.9倍高い

・たばこを吸う人の死亡率は、

がん(男性 1.6倍、女性1.8倍)

心臓病や脳卒中などの循環器疾患(男性1.4倍、女性2.7倍)

その他の死因(男性1.6倍、 女性1.4倍)

だそうです。

 

もちろん、たばこの死亡率の統計データは、英国グラスゴー大学研究チームと違うので、一概に比較はできませんが、「たばこの死亡リスク」は、2倍弱にもかかわらず、全世界的に健康被害が「常識」と化し、喫煙習慣が健康という観点では望ましいものではない、という価値観になりつつあるのに、たばこよりもそれよりも高い割合でヘディングの影響の可能性が論文発表されたのに「過度に不安になる必要はない」と言えちゃう専門家って何?という感じがします。

 

高校野球の世界でも、ようやく球数や登板間隔制限ができましたが、極論を言えば、肩や肘の故障は、野球選手としての生命は絶たれても、日常生活に大きな影響を与えるわけではありません。しかし、「脳への影響」は、死亡リスクはもちろん、日常生活に影響の大きい認知症リスクもあるので、「医学的根拠が明らかになってから対策は考えればいい」と専門家が見解を述べるのは、個人的には少し疑問です。

しかも、読売新聞がコメントを掲載したひとりの医師は、日本臨床スポーツ医学会の脳神経外科部会長です。

むしろ、将来的には「杞憂でした」と仮に「医学的に証明」されたとしても、少なくとも成長期における一般スポーツ活動(例:高校までの体育授業におけるサッカーのヘディング禁止)において予防医学的に警鐘を鳴らすべき立場ではないでしょうか。

 

また、マスメディアとして、通常は、ある主張に対して、学識経験者のコメントを掲載するなら、「賛否」を一般紙は掲載するべきと思うのですが、その辺りは、読売新聞はどう考えているのかな、と感じた記事でした。

 

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author:有賀正彦, category:ニュースを題材にした話, 16:58
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