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ISO認証制度:複数メンバーからなる審査チームの審査員の力量

JUGEMテーマ:ビジネス

 

組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「複数メンバーからなる審査チームの審査員の力量」について。

 

ISO認証の世界では、2000年代にISO認証組織の企業不祥事が発生した際に、「審査員の専門性をより強化するべき」という議論が沸き上がったように記憶しています。

つまり、専門性の高い審査員が審査を担当したのであれば、企業不祥事を未然に防止できたのではないかという論法です。

 

一義的には、「審査員の専門性が高くなれば審査を通じて不祥事に繋がる遠因を指摘できる可能性は高い」と考えていいでしょう。

某大手ビジネスホテルチェーンの創業社長がかつて産業廃棄物処理法違反で逮捕された事件がありました。

この社長は、廃棄物処理法以前には、「障がい者の利用者は少ないから無駄だ」という理由でハートビル法を無視した客室の違法改造をしていたことでもニュースになりました。

このような不祥事は、廃棄物処理法やハートビル法を熟知している審査員が審査を担当していれば、問題点に気づけた可能性は確かにあると思います。

 

話題は少し変わりますが、国際認定フォーラム(IAF)の基準文書の中で、以下のような規定があります。

 

(以下、引用)

IAF MD1:2018 7.2.3 いずれの時点においても、複数のメンバーからなる複数の審査チームを使用する場合、審査の各部分及び各サイトに要求される専門的力量を特定し、かつ、審査の各部分に対して適切なチームメンバーを割り当てることは、チームリーダーと共に認証機関の責任でなければならない。

(引用ここまで)

 

この規定は、2人以上の審査員で構成する審査チームの場合、審査を担当する部門やプロセスに必要な専門的力量を特定して、適切な審査員を審査に割当てなさい、という意図です。

 

ざっくりした事例ですが、建設会社を審査する2人体制の審査チームで審査する場合、一般的には、建設会社での業務経験がある審査員を2名揃えて審査を実施すれば、仕組み上は、審査チーム及び各審査員の専門的力量には、まず問題がありません。

 

しかし、ひとりは建設会社出身、もう一人は電機メーカー出身という審査チームの場合、どう考えるか?です。

認証機関によっては、「審査チーム全員が建設業経験者であること」と自社基準を設けているでしょう。

またある機関は「審査員の専門性はチームで担保していればよい」と規定している機関もあるでしょう。

どちらの認証機関の規定が正しいということは、一概には言えません。

というのも、「餅は餅屋」という考えもありますが「業界の常識は世間の非常識」という考えもあるからです。

つまり、「業界経験者でなければ、企業実態はわからないでしょ」という考えもあれば、「業界経験者だけで審査チームを構成すると、消費者目線が薄れる可能性があり他の産業経験者もチームに入れるべき」という考えも成り立つからです。

 

したがって、上記に引用した基準は、「この部門やこの業務プロセスは専門性がないと審査が適切にできないよね」を決めておきなさい、ということなのです。

認証機関の立場に立てば、認定審査で指摘を受けにくい、という観点で捉えれば、「専門性がある審査員だけで審査チームを構成します」という運用をするでしょう。

しかし、それでは、先にも述べたように「消費者目線が弱い審査になる」かもしれないし、また、審査される組織によっては「違う業界経験のある審査員はどんな指摘をするか審査を通じて気づきを得たい」という期待もあるでしょう。

 

ケースバイケースで考えなければならないのかもしれませんが、組織が認証機関を選ぶ場合、どのような審査方針なのか、審査チームはどんな考えて編成しているか、について機関に確認しておく必要があると思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ665号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 17:47
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