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J-オイルミルズ静岡工場における農薬紛失事故

JUGEMテーマ:ビジネス

 

20191017日付の時事通信社の報道で、

Jオイル、毒物指定の農薬紛失=静岡事業所が台風19号被害」

という見出し記事が報じられていました。

 

記事によると、

(以下、記事より概要をピックアップ)

・味の素グループのJ−オイルミルズは、特定毒物に指定されている農薬を紛失した

・農薬を紛失したのは静岡市にある静岡事業所で、薬物保管庫が台風19号の高潮被害に遭った

・この農薬は、病害虫駆除に用いる農薬(製品名フミトキシン)

・紛失した量は、1キログラム入りのアルミボトル3

・フミトキシンは毒物及び劇物取締法で特定毒物に指定されている

J−オイルミルズによると、台風通過後、14日に保管庫の扉が壊れているのを確認

・フミトキシンのボトル3本が所在不明となり、静岡県警に届けたことを1017発表

・ボトルは未開封で特殊な用具がないと開けられない

・フミトキシンは錠剤で、水分と反応して発生するガスを大量に吸い込むと生命の危険がある

J−オイルミルズは、見つけた場合は触らず同社や県警に連絡するよう呼び掛けている

(記事の概要、ここまで)

 

J-オイルミルズのウェブサイトを確認してみました。

すると、

「当社静岡事業所における台風19号による農薬遺失に関するお詫びとお知らせ」

と題した文章が掲載されていました。

https://www.j-oil.com/notices_20191017.pdf

 

この文章によると、J-オイルミルズ静岡工場において、フミトキシンは、サイロ内での穀物の燻蒸の際に病害虫の発生を防ぐ防虫剤として使用されているそうです。

私は仕事柄、食品工場を訪問することがありますが、フミトキシンは、燻蒸(くんじょう:害虫駆除や防カビ・殺菌の目的でいぶすこと)で使用する薬品の名前としてよく耳にします。

 

また、J-オイルミルズの説明によると、「フミトキシン遺失の経緯」について、

・サイロ脇の保管庫で施錠の上収納していた

・台風19号接近に伴い、保管庫の補強と、土嚢を配して対策をした

・台風通過後の14日に確認したところ、高潮により土嚢とともに扉が流出

・保管していた6 本のうち4本が不明となった(後日、敷地内で1本を発見)

・警察、消防、保健所、海上保安庁、植物検疫局、市環境局に報告し、現場検証と指導をされた

・購入先にも協力してもらい取扱い等についての協議をし、現在も継続して探索している

とのことです。

 

ちなみに、J-オイルミルズ静岡工場は、1999年に品質マネジメントシステムと環境マネジメントシステムの国際規格であるISO9001ISO14001の認証を取得しています。

また、2009年に食品安全マネジメントシステムも取得しています。

これらの規格を活用して工場を運営すれば、

・緊急事態の想定と手順の訓練及び有効性確認

・農薬管理の有効性の確認

を定期的に、構内パトロール、提案活動、内部監査、マネジメントレビューなどを通じて実施しているはずです。

 

例えば、

・農薬の保管庫のロケーションは妥当だったのか

・保管庫の扉や鍵の強度は適切だったのか

・ボトル6本なら、室内の金庫などに一時避難できなかったのか

といった検討は、品質、環境、食品安全マネジメントシステムを通じて、これまで議論や意見提言があったのか、なかったのかの検証もして欲しいところです。

 

J-オイルミルズの場合は、大企業でコンプライアンス意識が高く、こうした各種のマネジメントシステムが確立しているので、関係機関に農薬紛失が適切に報告されています。

けれども、今回の台風19号の影響で各地の河川が氾濫し、町工場が浸水して、例えば、メッキ工場が被害にあったニュースなどが数多く報道されています。

こうした工場では、もっと有毒な薬品や化学物質が使用されている可能性があり、かつ、表に出てこない紛失(組織が薬品等の在庫管理がずさんであれば無くなったことも把握できていないはず)もあるのではないかと思います。

逆説的に言えば、「J-オイルミルズは、マネジメントシステムを導入していたから、紛失も的確に把握できた」ということも可能だと思います。

 

マネジメントシステム認証の世界では、

・静岡工場を担当した認証機関による聞き取り調査(場合によっては臨時審査)

J-オイルミルズの他の工場(千葉、横浜、浅羽、神戸、若松、倉敷)への水平展開

・静岡工場の審査を担当した認証機関による他の組織に対する審査における農薬管理の妥当性

・静岡工場の審査を担当した認証機関以外の認証機関の審査において、他社事例の水平展開的検証

といったことが実施されるでしょう。

各認証機関の対応に注視したいと思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ668号より)

 

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author:有賀正彦, category:経営・ビジネスに関する話, 07:41
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