- かんぽ生命の不正販売はコンプライアンス重視の価値観の変化に対するリスク認識が甘かった
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2019.08.11 Sunday
JUGEMテーマ:ニュース
金融庁と総務省が、持ち株会社の日本郵政に対して、保険業法などに基づき、報告徴求命令を出したそうです。(2019年8月10日付共同通信より)
理由は、メディアを通じて相次いで実態が明らかになっている、かんぽ生命保険の不正販売問題です。
共同通信の報道によると、現在までに、かんぽ生命の不正販売を巡っては、顧客に不利益となった恐れがある契約が、過去5年で18万3千件存在していることがわかっているそうです。
ひとことで言ってしまえば、かんぽ生命の不正な保険販売が、これほどまでに大きくなってしまったのに、長年放置されてきたのは、日本郵政の統治体制に不備があったことは間違いないでしょう。
あくまでも、各メディアの報道情報からですが、
・違法まがいの研修(営業力養成センター)が行われていた
・辞めることを前提に渉外社員(営業)を大量採用していた
・給与を2割カットし、カット分は営業手当で賄う仕組みにさせられていた
・2015年11月の上場に向けて「組織として成長力」が求められていた
・単に営業成績を競わせていて、顧客満足、コンプライアンスの視点が欠けていた
という状態であったにもかかわらず、経営陣は「こうした状況下におけるリスク」を「認識せず、または認識していなかったとしても放置」していたわけですから、辞任など、経営責任は負うべきでしょう。
そもそも、幹部職員や経営陣は、現場での営業がどのように行われているか、また、営業現場の辛さを理解していないので、「売上」や「利益率」といった経営指標しか見えておらず、そこに潜む「リスクの認識」は、まるで重視していなかったようにも思います。
それにしても各都道府県にある「営業力養成センター」は、報道情報によると、酷い世界です。
・成績優秀者による講師が、昔ながらの保険募集の仕方を指導する
・保険業法違反に相当する/しないをしっかり教えていない
・単に営業成績を競わせ、顧客第一という視点は全く教育しない
・営業力養成センターでは、入院手続きなどは教えず、ただ営業方法だけを教える
・・・・・
といった状況だったようです。
営業手当が無ければ、家族を支える収入が得られず、営業手当は、新規に適用されるので、常に新規を撮り続けなければならないので、「顔見知りの顧客を欺く営業」が行われる土壌はそろっていたわけですが、経営陣は放置したわけです。
ネットの声を拾うと、民営化前の保険営業も、同じようなことをやっていたようです。
しかし、昔は、保険募集に関して契約者からクレームがあると、保険募集人として個人の責任で処理するための予算を用意していたそうです。
つまり、危ない橋をギリギリのラインでわたり、稼ぎたい人は個人でリスクテイクしていたようです。
しかし、今の時代、コンプライアンス重視の世界ですから、生き残れない人が大量にいることを前提とした採用、保険契約者の利益を無視した募集、過酷な給与体系、新規契約を重視し保険継続率や提案営業といったサービスの質向上を軽視する体制・・・などは、世間から厳しく糾弾されて当然です。
仮に(まずないでしょうけれど)、保険業法上の違反がなかったとしても、コンプライアンス面では、酷い実態です。
現経営陣は、経団連所属の大企業や金融機関出身者、総務省など役所出身者などが多いようですが、今までの経歴上、こうした組織内における問題点を真に理解できるのだろうか、と思います。
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