RSS | ATOM | SEARCH
ISO認証制度:一時的サイトの審査

JUGEMテーマ:ビジネス

 

組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「一時的サイトの審査」について。

 

ISOマネジメントシステムの審査は、大雑把に言って、初回登録時は、文書によるマネジメントシステムの構築状況の確認と組織の業務活動を実際に行っている現場における作業や記録、聞き取りによる確認によって行われます。

その後は、大きな組織またはシステム変更、あるいは事故や報道になるような品質問題など企業不祥事が発生しなければ、1年に一度、組織の変化点や継続したマネジメントシステムの運用状況の確認(一般的に定期審査や維持審査、サーベイランス審査という)が実施され、3年毎に再認証審査(更新審査)が実施される仕組みです。

 

一般的に、製造業の場合は、審査対象となる組織の事務所がひとつの敷地内に、例えば、事務棟や第一工場、第二工場・・・第一倉庫・・・という具合に立地されているので、審査は、経営者や事務局に対する聞き取りを会議室で実施し、総務部門、設計部門、製造部門、出荷部門などは、それぞれの執務場所に訪問することが容易です。

 

ただ、製造業でも「建設業」の場合は、設計や積算、資機材の管理などを除けば、住宅工事や下水道配管布工事など、発注者が指定する現場で主な業務が実施されます。

ISO認証審査の世界では、このような現場のことを「一時的サイト」といいます。

ちなみに、IAF MD5:2015では、一時的サイトの定義は、

「依頼組織が限定された期間内に、特定の業務又はサービスを提供する(物理的又は仮想の)場所で、常設サイトになることが意図されていないものである。」

とされています。

 

さらに、IAF MD5:2015では、「一時的サイト」について、

 

「認証の申請者又は認証を受けた依頼者が、その製品又はサービスを一時的サイトにおいて提供している状況では、そのようなサイトは、審査プログラムに組み込まれていなければならない。」

 

「一時的サイトは、大規模なプロジェクトマネジメントサイトから小規模なサービス/据付サイトまであり得る。このようなサイトを訪問する必要性及びサンプリングの程度は、QMSが製品又はサービスアウトプットの管理に失敗するリスクの評価、又は依頼者の運営管理に伴いEMS が環境側面及び影響管理に失敗するリスクの評価に基づいていることが望ましい。(以下省略)」

 

という規定があります。

 

話を少し戻しますと、このような「一時的サイト」について、IAF MD5が規定される以前は、認証機関や担当する審査員によって「ケースバイケースで一時的サイトを訪問」して審査を実施していた、ケースも多かったように思います。

よく言えば「臨機応変」ですが、悪く言えば「審査計画した時期に現場があったら訪問する」という場当たり的な認証機関もありました。

 

今では、このIAF MD5の規定がありますから、認証機関は、審査プログラムの中で、訪問頻度や現場の規模や工種を計画して、事前に工事一覧表を組織から提出してもらって、前もって、審査計画に一時的サイトの訪問を組み込んでいます。

 

一時的サイトについて「建設業」の場合(特に工期が一定期間あるプロジェクト)は、比較的、認証機関も審査を受ける組織も「分かりやすいケース」なので、あまり問題はありません。

議論となるのは、「小規模なサービス、または据付サイトなど」の一時的サイトです。

 

一時的サイトの業務として、具体的に思いつくものを挙げれば、

・ビルメンテナンスなど清掃業

・警備業

・製造業における据付や保守メンテナンス

・水道メーター、ガスメーター、電気メーターなどの検針業務

・依頼者の敷地にある電気工作物など法律に基づく点検、検査、試験

・訪問医療、健康診断、介護

・運送業、航空貨物・海運業における積込、荷降ろし、運行中

・鉄道、航空、バス、タクシー、船舶などの旅客サービス

・情報システムの運用管理・保守メンテナンス

・税理士など士業、専門コンサルタントの巡回指導

・イベントの開催、開催支援サービス

・外部の会場を使用して実施する講演会、講習会、セミナー

・塾の訪問指導

・自動車教習所の路上教習

・環境調査、地質調査(ボーリング)、測量など

・保険サービス

・・・・・

など、ありとあらゆる業種について一時的サイトは発生します。

 

ただ、IAF MD5によれば、

・製品又はサービスアウトプットの管理に失敗するリスクの評価

・環境側面及び影響管理に失敗するリスクの評価

に基づいて訪問の必要性やサンプリングの程度を計画してください、とあります。

つまり、「その組織において発生する一時的サイトすべてを毎回訪問しなさい」ということではありません。

ざっくりいえば、

「訪問しないことで認証の信頼性が損なわれる」

「組織のMS上の問題が発生した場合、訪問審査していないことがリスクとなる」

という点を考慮して、訪問の有無と頻度を決めてください、ということになります。

 

私の個人的感覚では、認証機関は、建設業やビルメンの清掃現場は、審査プログラムで一時的サイトを明確にし、審査計画にあらかじめ組み込んでいるケースが多いですが、その他の上記に挙げたような一時的サイトは、そもそも「一時的サイトとして認識していない」ケースも多いように感じます。

また、組織に「一時的サイトがある場合は現場リストを出してください」と認証機関が依頼するケースがありますが、そもそも、組織も一時的サイトは「建設現場のような場所」としか認識していないケースもあります。

 

訪問するしない、あるいは、訪問頻度や訪問した際に何を見る(審査する)べきか、という議論以前に「個々の組織毎にどのような一時的サイト(発生の可能性を含めて)があるか」をまずは、整理して、適切な審査プログラム作りに反映させていくべきなんでしょうね。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ631号より)

 

【好評発売中!】
『ちょロジ ニュースで学ぶ
7
つの思考法』(パブラボ刊)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4434176552/bloglogcom-22/ref=nosim/

【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】
(パソコンでアクセスしている方)

author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 07:43
comments(0), trackbacks(0), - -
Comment









Trackback
url: http://blog.logcom.jp/trackback/867817