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食品安全マネジメントシステム認証審査における「改善の機会の禁止」の影響

JUGEMテーマ:ビジネス

 

ご存知の方も多いと思いますが、食品安全マネジメントシステム規格のひとつに「FSSC 22000」があります。(Food Safety System Certification

FSSC」とは、オランダのFFSCThe Foundation of Food Safety Certification:食品安全認証団体)が、ISO 22000ISO/TS 22002シリーズを組み合わせて開発した規格です。

 

FSSC 22000の構造をざっくり言えば、

1)PRP(前提条件プログラム)を定める

2)危害分析を行って、管理すべき点を明確にする

3)HACCPプラン等により管理する

という構造です。

 

私の理解ですが、食品安全マネジメントシステムとしては「ISO22000」がありますが、なぜ「FSSC22000」が多くの食品産業関連企業に要求されているかといえば、イオン、コカコーラ、ウォルマート、英テスコ、仏ダノンなどといっら世界の食品大手や流通大手企業約650社が加盟しているGFSIGlobal Food Safety Initiative)が、自社の取引先のレベルを一定以上であることを確実にすることを目指しているからです。

そして、FSSC22000は、GFSIに認められた認証スキーム規格だからです。

 

ISO 22000FSSC22000との違いを簡単に説明すれば、FSSC 22000の方が、すべき項目がより具体化されています。

特に、「前提条件プログラム」の内容については、ISO 22000では、各組織が自由に前提条件プログラムを選ぶことができまます。

しかし、FSSC 22000ではISO 22002シリーズを採用することが定められています。

そして、ISO 22000ではカバーできなかった食品安全対策(フードテロ、アレルギー物質の管理など)が定められていることも、大手食品会社が要求する理由のひとつでしょう。

 

さて、このFSSC22000ですが、規格(第IV -附属書III:不適合の格付け)で、

「認証機関は不適合を以下の3段階に格付けする」ことが要求されています。

a) 軽微な不適合

b) 重大な不適合

c) クリティカルな不適合

そしてさらに、

FSSC22000 審査において、改善の機会を使用することを禁止する」

という要求事項もあります。

 

これも私の理解ですが、「改善の機会」というのは、「審査を受ける組織にとってはもちろん、認証審査チームにとっても便利な指摘ツール」です。

その理由は、一般的に、審査を受ける組織からすれば、「どうせ審査を受けるのであれば、外部の専門家に問題点を指摘してもらって、顧客から信頼される仕組みを構築し、改善していきたい」と思うのは当然です。

しかし、その一方「指摘はありがたいが、是正処置を実施するとなると、調査、原因究明、再発防止、教育訓練など結構大変」と組織は考えます。

つまり、是正処置要求を義務としない「改善の機会」は、組織にとってありがたいわけです。

 

また、審査側にとっても、不適合指摘を出すとなると、しっかり証拠集めをして、十分な確信をもって指摘する必要が出てきます。

しかし、認証審査の時間は限られた時間内にいろいろなことを聞かなければなりません。

そのため、「問題点になりそうだなぁ」というものも、審査の中で、時間切れ、組織の説明不足や資料開示遅れなどで、しっかりとした「白黒」(適合か不適合)が判別しなかったものを「改善の機会」とすることができたわけです。

 

でも、FSSC22000では「改善の機会」が禁止されました。

理由は「ソフトクレーディング」といわれる「指摘すべきものを格落ちさせて不適合としない」ことを防止することが狙いでしょう。

理屈で考えれば「認証機関が不適合を指摘せずに審査を終了する」ことは、顧客(GFSI)からすれば、「勘弁して欲しい、取引際に要求する一定のレベルが担保できないじゃないか」となります。

 

しかし、「改善の機会の禁止」により、おそらく、認証機関の審査員の判断としては、

・不適合っぽいが確認が持てる証拠が収集できなかったから改善の機会にしておこう

・本来改善の機会でもいいレベルだが、禁止されているから格上して軽微な不適合にしておこう

という判断が起きると思います。

つまり、改善の機会として表面化していたものが「軽微な不適合になる」(ある意味、格上)か「改善の機会自体を口頭など公式には残らないもの」(ある意味、格下げ)にするかに分かれると思います。

 

少し怖いのは、「よくよく調べてみたら不適合ではないのに不適合と判断してしまったケース」でしょう。

予想としては「認証機関が不適合として判断したが、組織が後々調べたら不適合ではありませんでした」という是正処置回答が機関に提出されるケースが生じるのではないか、と思います。

 

したがって、認証機関側、受審組織側は「改善の機会の禁止」によって生じる可能性を想像し、理解して、対処する必要が出てくると思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ619号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 07:31
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