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KYBの検査データ改ざん問題はISO認証審査で検出できたのだろうか?

JUGEMテーマ:ビジネス

 

オイルダンパー大手のKYBの検査データ改ざん問題の影響が、どんどん大きくなっています。

10月25日付のNHK「クローズアップ現代+」でも、この問題が取り上げられていましたが、免震ダンパー、制振ダンパーともに、施工後の物件で部品を交換することは、極めて困難であると報じていました。

 

一般的に免震ダンパーの方が、建物の地下に設置されているため、交換が制振ダンパーに比較して容易といわれていますが、それでも、地下には、さまざまな配管が張り巡らされており、取り外し・交換にともなう作業は、相当時間が掛かるそうです。

 

制振ダンパーの場合は、もっと強烈で、壁の内部に埋め込まれているケースが多く、マンションやオフィスビルの場合、入居者は、一時的に退去しなければ、工事ができません。

したがって、その費用負担をKYBはもちろん、施工会社なども一部を負担することになると、膨大な時間や費用が掛かることは間違いありません。

 

2018年10月26日付の日刊工業新聞では、記者の渡辺光太氏が、以下のような見方をしていました。

 

(以下、“記者の目”より引用)

 <記者の目>

  KYBによれば、問題の検査データ改ざんは、検査工程で引っかかった製品の数値を、記録し、再検査で通過できるように係数を加え改ざんしていたという。

免震ダンパーのような大型製品は内部の部品搭載も多く、再検査のために、部品をばらして、最初から点検するのは大変であり、その間の作業ももちろんやり直しとなる。

実際、一つの製品の再検査には3―5時間近くかかるようだ。

 

 そのため、再検査の対象が多ければ、現場の負担は比例して重くなる。

実際、不正行為の理由については会見で「なかなか製品の適切な性能が出づらく、改ざんしてしまったないか」と説明している。

再検査になってしまうこと自体は製造現場では仕方ないことだ。

だが、検査を通過しづらい、もしくはバラツキが大きすぎる製品を投入したことは問題の要因だった可能性がある。

もちろん、免震用ダンパーは自動車用ダンパーほどの生産量はないため、生産の自動化による品質改善などは難しかったのかもしれない。

 

 だが、KYBは17年には免震ダンパーの検査合格率86%まで改善している。

改ざんをしなくても、初回検査を通過させる性能とその技術は潜在的にはあったとみられ、当初からもう少しバラツキを抑えた製品を市場投入すべきだったのかもしれない。

または、検査通過率に合わせて、検査に人員を割くなど現場の負担を減らすことはできなかったのかと悔やまれる。

 (引用ここまで)

 

つまり、渡辺記者は上記に、

「不合格になった場合のやり直しに相当の時間が掛かる(煩わしい)のが問題」

「製造プロセスでバラツキが大きすぎる製品投入がそもそも問題の要因」

「検査合格率に対して現場の負担を減らす人員配置が必要」

といったことを述べていますが、私も、これらが問題だったと思います。

 

ISOマネジメントシステム監査の観点でいえば、

【機会】

「東日本大震災などを通じて防災意識が高まっている→オイルダンパーの受注増」

「建築基準法改正により新規物件の耐震基準強化→オイルダンパーの受注増」

・・・

【リスク】

「検査現場の負担が大きい→再検査をやりたがらない→検査データ改ざんの可能性」

「検査現場の要員が少ない→検査の不正を監視するチェック体制が弱い」

「製品のバラツキが多い→再調整、再検査の件数が増える→現場の負担増」

・・・

といったことが懸念されるので、こうした点について、経営層は、しっかり認識して、事業計画や目標、内部監査の重点事項として反映していたかどうかが、ポイントになります。

 

ただ、実際の認証審査の中では、こうした観点で審査をし切れていないのではないかと思います。

経営層が「リスクに感じているので、経営資源を追加投入しています」などと審査員に説明すれば「認証機関としては審査していたこと」になります。

しかし、経営層が、上記に挙げたようなリスクを認識していなければ、認証機関の審査員は、組織の経営層から、こうした説明を聞きませんから、審査記録には当然記録されません。

(経営層がその他のリスクとして認識していた事実はもちろん記録されます)

 

「組織不祥事」に関して、ISO認証に対する市場の期待は、このようなケースの場合「認証審査員が、検査現場の実情について、経営者サイドが気づいていないリスクについて、インタビューを通じて気づかせたり、リスクを想定して質問する、といった審査技術です。

でも、殆どの場合、経営者サイドには「うちの経営について第三者機関の審査員がわかるわけがない」と思っていますし、審査員も「そこまで踏み込めない」あるいは「踏み込む実力がない」でしょう。

 

オイルダンパーについては、KYBと系列子会社や川金ホールディングスのデータ改ざんがすでに明らかになっており、認証機関は、これまでの審査がしっかりと実施されたのか検証する段階に入ると思います。

各機関が、どのようなジャッジを下し、今後の糧とするのが注目したいと思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ617号より)

 

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author:有賀正彦, category:経営・ビジネスに関する話, 08:05
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