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マネジメントシステム認証における申請範囲の適切性

JUGEMテーマ:ビジネス

 

組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISO認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステム審査について、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「マネジメントシステム認証における申請範囲の適切性」について。

 

今回のテーマでよく話題になるのが、

◆工場単体の取得は、適用範囲として適切なのか

です。

 

まず、少々、長くなりますが、認定機関であるJAB((公財)日本適合性認定協会)が発行している文書(JAB NS512:2011マネジメントシステム認証に関する基本的な考え方−認証範囲及びその表記-)を以下に一部引用しますので、確認することにしましょう。

 

(以下、一部引用)

(省略)

4.認証範囲の基本的な考え方

 

4.1 認証範囲

組織が該当するマネジメントシステム規格を適用して認証を申請する範囲(以下、申請範囲という)に対して、適用規格の要求事項に対する適合性が証明された場合に授与される又は授与した認証の範囲を認証範囲という。

認証範囲は、適用規格が取り扱う利害関係者に関連する、製品・サービスの一連の業務プロセス全体を含むこと。

 

4.2 認証範囲の確認

機関は、組織の申請範囲で、そのマネジメントシステムが適用規格の要求事項に適合し、当該規格の意図を実現できるように機能していることを確認するが、申請範囲は組織の判断で設定されるため、機関は、組織のプロセス、製品・サービス、関連サイト、事業部、事業所など、適用規格の取り扱う側面に関連する直接/間接の影響を考慮し、申請範囲の適切性を確認する必要がある。

組織が、その直接的な管理下にある活動範囲のうち、本来認証範囲に含めるべき活動を申請範囲から除外している場合、機関はその正当性を評価し、正当と認められない場合は、認証を与えない。

組織が、適用規格の要求事項への適合に影響を与えるようなプロセスを外部委託している場合などには、機関は、その管理が適切に行われているかを十分に確認する。

また、認証範囲に適用を除外されている規格要求事項がある場合、その要求事項の箇条が明確になっていなければならない。機関は、その適用の除外に正当な理由があり、適切であることを確認する。

認証範囲が、適用規格の意図に沿って適切に設定されるよう十分に配慮し、そのマネジメントシステムが全体として適用規格の要求事項に適合しているといえるかを判断することは、機関の責任である。

(省略)

(引用ここまで)

 

上記からわかるように、

「申請範囲は組織の判断で設定される」

との記述がありますが、

「認証範囲は、適用規格が取り扱う利害関係者に関連する、製品・サービスの一連の業務プロセス全体を含むこと」

と規定されています。

 

つまり、

◆申請範囲の適切性を確認するのは認証機関である

◆本来認証範囲に含めるべき活動を申請範囲から除外しており正当性がなければ認証を与えない

ことが認証機関の責務なのです。

 

感覚的には、ほとんどの認証機関で、ISO9001140012015年版が発行されて以降の新規の認証申請に関しては、しっかり、認証機関は、申請範囲の適切性を確認しているように思います。

問題は、初回認証から10年以上経過している組織です。

1990年代のISO認証の意義は「品質管理から品質保証へ」の意味合いが強く「狭義の製品品質を確保するための組織」単位で認証範囲は設定されていました。

要は、製造業であれば、「工場単位での認証取得」が殆どでした。

しかし、「製品品質には設計プロセスも関与する」という概念が強くなり、規格の2000年版発行によって「製品品質は組織レベルでマネジメントするべき」という概念になり、経営戦略や営業、人事、財務部門も含めた範囲で認証範囲を設定するようになってきました。

 

その結果、比較的大きな組織で、「一部の工場組織」でもともと認証取得を開始した組織は、せいぜい「設計部門を追加した」程度の範囲で認証取得しているケースが多々あります。

個人的には、2000年版発行以降、徐々に、本社機能(例:経営戦略、営業、人事、財務など)のマネジメントシステムに対する関りも組織に認識させつつ、真綿で締め付けるように、徐々に範囲を拡大していくべきだったと思います。

 

ただ実際には、「こうするべき」と認証機関の誰もが考えていても、「組織の首に鈴をつけるのは誰か?」となると、「誰も鈴を付けずに放置している」ケースが、意外と多く見られます。

どうしても、範囲を拡大するということは、「認証コスト」にも関わってきますので、「認証機関はもちろん、組織側も適切な認証範囲ではない」と考えていても、手を付けにくい部分なのです。

 

また、ある認証機関が、市場や世間への信頼性を高めるために「着実な認証範囲」を組織に求めれば、「そういわれるなら、他の機関に移転する」と言われる恐れがあり、大きな組織であればあるほど、売り上げ減少にもつながりますので、言い出せません。

私の考えとしては、「どこの認証機関も毅然として同様レベルで認証範囲を判断」してくれるのであればいいのですが、「うちだけ厳しく運用して利益を損なうのは嫌だ」と認証機関が考えるのは当然です。

したがって、それを、「この組織の認証範囲はおかしいのではないか」といえるのは、「市場」と「認定機関」だと思います。

 

認定機関が認定審査で、認証機関と、制度の信頼性確保のためにいい意味で闘ってもらうのは当然のこととして、個人的には、「市場ももっと認証された組織の範囲をチェックして苦情や問い合わせをじゃんじゃん認証機関や認定機関に情報提供するべき」と思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ606号より)

 

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 07:53
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