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特許庁が「自らの出願を自ら審査した商標権』について

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2018913日付の神戸新聞に、

「商標登録を審査する特許庁が、出願者として商標権を得た」

というニュースが報じられていました。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180913-00000002-kobenext-l28

 

ご存知のように、経済産業省の外局である「特許庁」は、発明(特許)、実用新案、意匠、商標など工業所有権に関する政府機関です。

歴史としては、1884年に「商標登録所」として設立され、歴史の教科書にもしっかり記述されている第20代内閣総理大臣を務めた高橋是清が、初代所長をされている設立から134年に亘る歴史的な政府組織です。

 

今回、「初出願、初商標権」となったのは、特許庁が推進する特産品のブランド化施策「地域団体商標制度」のロゴマークだそうです。

記事によると、特許庁は、「ロゴの役割を重視した極めて例外的な措置」としているそうです。

 

この話題がニュースになるポイントは、

「審査機関が自らの出願をチェックし、権利を登録するという手続き」

に関する信頼性、公平性でしょう。

 

基本的に役所の役割は、所掌する認可、許可、登録、届出等に対して「許可を与える側」です。

 

例えば、飲食店を開業する場合、最低限必要となる許可は、

◆保健所の許可(飲食店営業許可等)

◆消防署への届出(防火対象物使用開始届)

でしょう。

 

さらに、これは、飲食店に限りませんが、税務署への開業届が必要になりますし、飲食店の業務内容によっては、警察署への届出や許可(深夜酒類提供飲食店営業開始届出もしくは風俗営業許可)が必要になるかもしれません。

 

今回の「特許庁の事例」で考えると、

「保健所自体が飲食店を開業する場合」

「警察署自体が居酒屋やスナックを経営する場合」

に相当する話ですが、おそらく、「許可等を与える組織が自ら許可が必要になるケース」は、これまで、ほとんど例がないのではないかと思います。

 

ただ、仮に、保健所が、地域の夏祭りで、「模擬店」を出店する場合は、おそらく、「自らが自らに対して営業許可」を出しているのかもしれません。

(注:このあたりの事情に詳しい人がいたら教えてください)

 

国や都道府県、自治体など「許認可等を与える組織」は「唯一無二」ですから、その許可が「適切で公平で信頼され得るものか否か」が、「お手盛り」にならないポイントです。

つまり、例えば、

「上が許可を出せって言っているから、サクッとハンコ押してよ」

という状況が実質的に生じることはまずいのは言うまでもありません。

したがって、許可等のプロセスにおいては、審査する人間に不当な圧力が掛からないようなプロセスを確保し、他の申請のように、不備があれば「不許可」という審査結果が導き出される仕組みでなければ、「自らが自らに許可を出すなんてお手盛りだ」と批判されても仕方がないでしょう。

 

記事によると、

(特許庁は)「審査は通常の手続きで実施された」といい、(特許庁の)担当者は「予断を排して適切に判断しており、異議申し立てなどもない」

と発表しているそうです。

 

気になるのは、「予断を排して適切に判断」が具体的に、どのようなプロセスで実施されたのかです。

具体的な審査プロセスは業務上の守秘性もあるのかもしれませんが、「世間に対して信頼性を担保するために必要な外形的なプロセス」の公表は、するべきでしょう。

また、仮に、それも公表できないのだとしたら、公正取引委員会?会計検査院?オンブズマン?などによる業務チェックの仕組みが、特許制度の信頼性確保のためにも必要だと思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ611号より)

 

 

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author:有賀正彦, category:ニュースを題材にした話, 09:40
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