RSS | ATOM | SEARCH
建設中の多摩市ビル火災とISO認証

JUGEMテーマ:ビジネス

 

2018726日に、東京都多摩市の建設工事中のビルで火災が発生しました。

各マスメディアで大きく取り上げられていますが、火災に概要を下記にまとめておきたいと思います。

 

(火災概要)

◆火災の発生日時は、20187261345分頃

◆場所は、東京都多摩市唐木田1-22-1

◆工事名称は、(仮)多摩テクノロジービルディング新築工事(用途は事務センター)

◆建物は、S造で、地下3階、地上3階、塔屋1

◆工期は、201610月〜201810

◆建設現場の元請工事会社は、「株式会社安藤・間」(安藤ハザマ)

◆火災により5人が死亡し、約40人が負傷

◆火災は、出火から約9時間後の26日午後1040分頃に鎮火

◆警視庁によると、地下で作業員がガスバーナーを使って鋼材を切断中に、近くのウレタンに引火した

◆作業員2人が火を消そうとしましたが、消えなかったために消防に通報

◆消防車など75台が出動

◆出火当時、建物の中では321人が作業をしていた

 

テレビで、火災の映像を見ましたが、黒煙が建物の高さよりはるか高くまで立ち上り、近隣の住宅街を黒煙が覆っていました。

おそらく、洗濯物を干していた家庭は、洗濯物が煤で汚れ洗濯のし直しは必須ではないかと思います。

 

発火原因とみられるウレタンですが、寝具や家具、車のソファのクッション、緩衝材、ブラジャーのパッドなど日常的によく目にする素材です。

建設現場ですから、おそらく、断熱材用に施工するウレタン素材だったのでしょう。

ウレタン自体は、自然発火しませんが、一度火が付くと煙が発生するので、消火の際に、火点を見失う可能性が高いのが特徴です。

なお、消火に効果的なのは「水消火器」で、火災初期の段階では「粉末消火器」も効果的(注:ウレタンフォーム工業会)だそうです。

 

もちろん、火災を未然に防ぐことが重要で、一般的には、

◆接着剤には水系のものや難燃性溶剤系を使用する

◆シンナー、ガソリン、ベンジン、アルコール等の低引火点溶剤を液体または蒸気でウレタンフォームに染み込ませたり、近接させることは避ける

◆作業所内の可燃性溶剤の蒸気濃度を下げる

◆加湿等による静電気発生抑制や除電をする

といった「引火防止対策」が必要です。

 

報道では、引火の原因は「鋼材切断中」とのことですから、おそらく「火花が引火」したのでしょう。

元請工事業者は、ゼネコン大手の「安藤ハザマ」ですから、朝礼で当日作業の「KY確認」事項として「鋼材切断の火花による火災の発生」というのは、おそらく想定して、現場監督から入構作業者に注意喚起されていたはずです。

 

また、安藤ハザマは、ISO取得企業(QMSEMSは全社で取得)ですので、こうした「KY活動」や「ヒヤリハット」、「火災発生時の対応訓練」といった仕組みは整っていたものと考えられるので、言わずもがなですが「この現場においては、これらの仕組みに有効性がなかった」ということになります。

したがって、審査を担当したISO認証機関(一般財団法人建材試験センターISO審査本部)は、こうした点が「なぜ機能しなかったのか?」についてしっかり調査し、認証の有効性についても言及する必要があるでしょう。

 

ただ、個人的には、少々むなしくもあります。

そもそも、ISO認証は、こうした緊急事態発生のリスクを低減させるために有効な仕組みのはずです。

理屈で考えれば、「仕組みがない企業よりも仕組みがある企業の方がリスクが低く、再発防止体制もしっかりしていて、発注者に対する安心感は高いはず」なのは明白です。

しかし、問題は発生するたびに、仕組みの有効性について、当該組織はもちろん、認証機関によって再検証され、不備がある仕組みの見直しが行われます。

ただ、発注者や世間からしたら「認証取得効果は本当にあるのか?」という疑問が湧くのは当然です。

こうした「発注者や世間一般の疑問と認証の信頼性」について、現状では、ISO認定・認証業界としては、しっかり回答できていない現状があるように思います。

そのため、「ISOなんてぼったくりのシステムだろ」とか「第三者が仕事の仕組みを保証することなどできるはずがない」という世間の声が噴出しているのだと思います。

 

ちなみに、安藤ハザマのウェブサイトをチェックすると「2018726日付」で、「弊社の工事現場での火災発生に関するお知らせ(第1報)」と題した文章が掲載されています。

まだ、この中では、「出火原因」「被害の状況」については、ともに「不明」とのことなので、続報の内容に注目したいと思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ604号より)

 

 

【好評発売中!】
『ちょロジ ニュースで学ぶ
7
つの思考法』(パブラボ刊)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4434176552/bloglogcom-22/ref=nosim/

【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】
(パソコンでアクセスしている方)

author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 09:34
comments(0), trackbacks(0), - -
Comment









Trackback
url: http://blog.logcom.jp/trackback/867510