RSS | ATOM | SEARCH
内部監査において「観察事項」はどう対処するべきか

JUGEMテーマ:ビジネス

 

マネジメントシステム監査の世界では、監査をした結果を、「適合」「不適合」「観察事項」という区分に分けている。

(※マネジメントシステム監査には、内部監査のような第1者監査、発注先が調達先を監査するような第2者監査、認証機関が実施するような第3者監査がある)

 

一般的には、これらの区分は、以下のように定義されていると思う。

◇適合:要求事項を満たしていること

◇不適合:要求事項を満たしていないこと

◇観察事項:1)現状では不適合ではないが、放置しておくと不適合となる可能性のあるもの

      2)不適合ではないが、更によい効果をあげるための提案(改善の機会)

     3)特筆すべき良い点で、水平展開が期待できるもの

 

これも一般的であるが、監査証拠が適合であると判断した証拠は、内部監査などは、チェックリスト等に残すのみであるが、第三者審査(認証機関や認定機関の審査等)では、報告書にも記載しているケースが多い。

つまり、監査依頼者に報告される事項は、内部監査の場合は、不適合と観察事項は具体的な内容が報告されるが、内部監査の場合は、実質報告されず、第三者監査の場合は、適合の証拠もある程度、報告される。

 

これは、よく考えれば、当たり前で、内部監査の場合は、経営者が自社のマネジメントシステムを自社で選定した内部監査員に調査させるのであるから、不適合や観察事項を明確に報告すれば、監査の目的は内部的にはほぼ満たす。

しかし、第三者監査の場合は、監査した結果を、直接監査した監査員を含まない監査員や有識者などで構成された判定会議等で監査の適合性をチェックするから、適合と判断した証拠もある程度の情報量が必要になるからだ。

 

監査をした人間の立場から言えば、適合の証拠に関しては「監査員を信じてほしい」といいたいが(笑)、認証機関や認定機関は、組織形態は「民間組織」とはいえ、世間に「あの組織はマネジメントシステム規格に適合した組織運営をしていましたよ」と公表する立場であるから仕方がない。

 

仮に、企業不祥事が起きた時など、その不祥事を発生させた企業のマネジメントシステム監査を担当していれば、世間さまから「どんな審査をしてOKと判断してきたんだ」と突っ込まれること必至だから、マネジメントシステム審査は「製品保証の審査ではなくシステムの審査だ」と言っても、システムが適合していた証拠を外部に示せなかったら、マネジメントシステム審査の信頼性が揺らぐことになってしまうだろう。

 

さて、冒頭の「指摘区分」に話しを戻すと、「不適合」と判定された事象は、是正処置を実施することが必須であるが、観察事項は、監査された側(被監査部門)の自由裁量とされていることが一般的だ。

 

「観察事項」の取り扱いについて、第三者監査の場合は、「被監査側の自由裁量」とすることは当然だろう。

不適合と判断しなかったもの(観察事項)に対して、強制力を持たせたら、第三者としての性格性が薄くなってしまう。

ただ、監査員教育の講習会講師をしていて、よく質問を受けるのは、「内部監査(第1者監査)や第2者監査でも観察事項は自由裁量でいいのか」、とか、「そもそも観察事項はすべて対処してもらうべきものではないか」といった点である。

 

確かに、おっしゃるべきだとは思う。

第2者監査の場合は、調達先に対して実施するのだから、発注者が「監査基準上は不適合ではないが、観察事項についてもなんらかの手を打ってほしい」と要求することは当然で、自由裁量にしたら、何も手を付けない恐れがある。

また、第1者監査の場合も同様で「指摘したらな是正までを求めなくても対応はするのが当然」と考えるのもわかる。

 

しかし、私の個人的意見としては、現実的に、内部監査の場合は、日常の立場としては、平社員(監査員)が他部署の管理職に対して出した観察事項に対応を求めることは難しいだろうし、内部監査員にそこまでの権限は持たされていないだろう。

しかたがって、内部監査の場合も、観察事項は被監査部門の自由裁量として指摘し、依頼者(経営者や監査責任者)に報告すればよいと思う。

したがって、内部監査員が指摘した観察事項に対して、「組織として対応を打つべき」と判断する必要性は、監査依頼者が判断すればいいと思う。

 

話題は変わりますが、観察事項は、冒頭で述べたように、マイナス面の事象とこれは良いことだからどんどん水平展開してもらうべきというようなプラス面がある。

観察事項は、認証機関によっては、改善の余地とか、推奨事項と呼ぶケースもある。

ただ、この「推奨事項」という言葉は、「お役所用語」としては、「褒めたたえられるプラス面の意味だけで、マイナス面のイメージは指摘された側にはない」とある役所組織に言われたことがある。

 

白黒の判定がつきやすい不適合と違って、観察事項は、相手組織の習慣を考慮しながら伝えなければ、監査側の指摘の意図が伝わらないものになってしまう、とつくづく思う。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ499号より)

 

 

【好評発売中!】
『ちょロジ ニュースで学ぶ
7
つの思考法』(パブラボ刊)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4434176552/bloglogcom-22/ref=nosim/

【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】
(パソコンでアクセスしている方)

author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 07:29
comments(0), trackbacks(0), - -
Comment









Trackback
url: http://blog.logcom.jp/trackback/867344