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同業他社の事業統合後のマネジメントシステムについて

JUGEMテーマ:ビジネス

 

組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISO認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステム審査について、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「同業他社の事業統合後のマネジメントシステム」について。

 

銀行や保険会社といった金融機関の事業統合は、この25年ほどの間に活発に行われてきた印象があります。

余談ですが、先日、銀行のキャッシュカードを整理していたら、現在は「みずほ銀行」ですが、統合前に作った「第一勧業銀行」のキャッシュカードが2枚出てきました。

また、現在は「三菱東京UFJ銀行」になりましたが、「三菱銀行」時代に作ったキャッシュカードも出てきました。

これらのカードをここ数年、使用した記憶がなかったので、「今でも使えるのだろうか?」と恐る恐るコンビニのATMに入れて残高照会をしてみると、それぞれの口座に数万円ずつあり、「まだ没収されることなく使えるんだ」と安心しました。

しかし、経営統合により、支店名が変わっているケースもあり、例えば、「これらの口座に振込する場合、支店名はなんと入力(選択)すればいいのだろう」と思いました。

 

余談はここまでにして、話を戻しますが、企業がグローバル化し、市場での競争力を保つために、金融機関以外の業界でも、どんどん経営統合が進んでいます。

身近な事例だと、コンビニエンスストアは、大手三社(セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン)とミニストップ、デイリーヤマザキなどに集約されてしまいました。

 

製造業の場合もそうで、例えば製紙会社は、板紙生産量で世界第7位の王子製紙と第9位の日本製紙グループに集約されたイメージがあります。

ちなみに、王子製紙は、苫小牧製紙、本州製紙、日本パルプ工業、東洋パルプ、北日本製紙、神崎製紙などがもとの会社ですし、日本製紙は、十條製紙、東北パルプ、山陽国策パルプ、大昭和製紙などがもともとの会社ですね。

 

製造業の場合、組織が大きくなればなるほど、本社機構、営業部門、製品開発部門、製造拠点がはっきりとサイト的に分かれているケースが多いです。

要は、「経営管理」「営業」「製品開発」「製造」が機能的に明確に分離されているので、ISO9001を構築・認証する場合「製造拠点毎に構築し認証取得している」というケースが多いわけです。

 

もともと、ISO9001規格が誕生(初版)した1987年は、現在のような「経営マネジメントシステム」という側面ではなく「品質管理、品質保証」という世界でした。

したがって「製品開発部門から指示された製品仕様にしたがった製品を忠実に製造し、安定的に供給することを保証する仕組み」として「製造拠点(工場)ごとに認証取得」していたわけです。

 

つまり、若干専門的な話になりますが、「営業部門や製品開発部門」をマネジメントシステム上の「顧客」として、「顧客の要求に従って製品を供給する工場の品質保証」という意味合いで認証を取得するケースが多いのです。

 

しかし、「品質保証」は、製造部門が単独で頑張っていても実現できません。

要は、製造部門は、あくまでも組織全体のひとつの機能であり、設備投資計画や人材戦略、コンプライアンスといった観点は、組織全体で捉え経営管理部門がグランドデザインしているのが通常です。

そうなると、そもそも「その製品を利用するエンドユーザーの対する品質保証」として組織全体でマネジメントシステムを捉えて構築しなければ、実質的な価値を持ちません。

 

そのため、「ISO9001認証=製造部門の品質保証」という捉え方では、おかしいので、「システム上の顧客」という概念をやめて、「製造部門に加え、経営管理、営業、製品開発部門を含めてマネジメントシステムを構築するのが本来の姿」として「ISO9001認証」に取り組むケースが増えてきました。

 

そして、昨今は、企業競争力を高めるために、ライバル他社と合併して、共通する機能をスリム化するケースが増えてきました。

もともと「工場単位で認証取得していた組織同士が合併」すると、認証は、そのまま、経営統合しても「工場単位」での認証を継続しているケースが多いです。

しかし、一般的に「経営統合後の工場単位の認証はちょっと変」と考えた方がいいと思います。

 

なぜならば、経営者サイドの視点とすれば、経営統合の目的は、「経営の効率化による競争力向上」です。

したがって、本社や販売、製品開発機能をスリム化するのと同時に、製造部門も製品毎の専門工場としたり、ある工場は、製品全体で捉えれば「中間製品製造専門工場」だったり「最終製品主体の工場」というようにどんどん「生産機能が再編される」わけです。

私の経験では、もともとライバル他社として同種の製品を作っていた工場が「原料供給工場」、「最終製品製造工場」、「他工場の廃棄物を原料として新たな製品を製造する工場」などに再編されているケースがありました。

 

このように「同業他社が経営統合」すると、「企業全体で事業を考えて効率的な業務が実施できるよう」業務運営をするので、詳細解説は省きますが「統合前に取得していた工場単位での認証のまま」だと、どうもマネジメントシステムとして不都合が生じてくるのです。

 

個人的には、組織が「ISO9001に取り組むことによってエンドユーザーや市場、あるいは社会から信頼されるためにはどのような組織(適用範囲)でマネジメントシステムを構築するべきなのか」をしっかり議論し、「製造拠点だけでなく組織全体でマネジメントシステムを構築しなければ意味がない」と気づいてくれることが望ましいと思います。

けれども、組織がそれを認識していない場合は、ISO認証機関が、きちんと、「ISO認証制度の価値や社会の期待と変化」を説明して「御社の場合は、工場単位での認証は、本来の事業活動と整合しないので、適用範囲の見直しを検討した方がいいです」と促すことが必要だと思います。

 

繰り返しますが、「同業他社の事業統合後のマネジメントシステム」については、「経営統合の目的」が「経営の効率化による市場競争力の向上」ですから、「組織全体でマネジメントシステムも再編する必要がある」という視点でとらえ直す(再構築する)必要があるといえるでしょう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ547号より)

 

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 07:12
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