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ISO認証制度で気になる点(ISO9001の登録範囲の表現について)

JUGEMテーマ:ビジネス

 

組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISO認証制度がある。

このISOマネジメントシステム審査について、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

今回のテーマは、「ISO9001の登録範囲の表現について」について。

 

品質マネジメントシステム(ISO9001)の登録範囲は、一般的には、

「〇〇製品の設計、製造」

「〇〇サービスの企画及び提供」

というように「組織が提供する製品(またはサービス)」を明確にする必要があります。

 

規格自体が、「製品を提供する顧客や利害関係者へ信頼性保証」なので、「顧客関連

プロセス」「設計・開発プロセス」「購買プロセス」「製造(またはサービス提供)プロセス」「知識、力量、認識関連プロセス」など対象製品(またはサービス)の各プロセスがどのような仕組みで担保されているのかが要求事項となっているからです。

 

だから、登録範囲の製品(またはサービス)が複数ある場合、例えば、「ビルメンテナンス事業」、「介護サービス事業」、「飲食事業」を対象とする場合は、

・ビルメンテナンスサービスの企画及び提供

・介護サービスの企画及び提供

・飲食サービスの企画及び提供

というような表現になり、審査は、「それぞれのサービス毎に、各要求事項を満たした仕組みが構築、運用されているかどうか」を確認することになります。

 

したがって、いわゆる「品質マニュアル」を構築するときは、対象とする製品(またはサービス)共通のルール以外は、「各サービス毎、場合分けして仕組みを規定しておく必要」があるでしょう。

余談ですが、「ビルメン事業は顧客仕様の元でサービスを提供する責任しかないから設計・開発は適用不可能」だが、「介護と飲食はサービス内容の企画(設計・開発)もしている」というような場合、品質マニュアルでは、「ビルメン事業における設計・開発は適用不可能」とまず、記述されていません。

審査員が、「ビルメンについてはなぜ適用不可能なんですか?」と質問し、組織にその理由を説明させ、確認している場合はいいのですが、「たいていの審査員」は、「品質マニュアルを見て、すべての要求事項が規定されている(ように一見すると見える)からOK」として、「製品(またはサービス)によっては、実は適用させていない要求事項」があることを見抜けていません。

 

個人的見解ですが、規格では、

“適用範囲では、対象となる製品及びサービスの種類を明確に記載し、組織が自らの品質マネジメントシステムの適用範囲への適用が不可能であることを決定したこの規格の要求事項全てについて、その正当性を示さなければならない”

と規定されているのですから、「対象製品(またはサービス)毎に適用が不可能である要求事項があるか否かをはっきりと品質マニュアルやその他の文書で明確にすべき」ですが、「要求事項が製品毎にチェリーピッキングされていても全体としては品質マニュアル等に全要求事項が記載されているので適用不可能はこの組織にはない」と考える審査員もいて、認証制度の信頼性向上のためには、まずいよなぁ、と感じています。

 

私は仕事柄、認証登録組織の登録範囲を眺めるのが好きです。

ある認証機関の登録組織リスト(ISO9001)を見ていたら、

(注:機関と組織が特定できてしまうので、若干脚色します)

「飲料に関する以下の業務」

 ・商品開発及び品質設計

 ・製造及び製造委託管理

 ・輸入品の管理

 ・需給及び物流管理

 ・お客様対応サービス

 ・販促品の品質管理

と登録範囲がなっていました。

 

これも、個人的見解ですが、上記の表現は、おかしいと思います。

理由は「顧客に提供する製品(またがサービス)が特定されていない」からです。

おそらく、この飲料メーカーでは、上記に記載した「業務活動」を実施しているのでしょう。

しかし、組織が「製品(またはサービス)を特定する」ことをしなければ、規格要求事項への適合性が確認できません。

 

例えば、病院で「売店」、「食堂」、「駐車場」があったします。

もともとは、「入院患者(やその家族)のための施設であり、医療サービスに付帯する業務だった」とします。

その場合の製品(またはサービス)の表現は、

「医療サービスの企画、提供」

でしょう。

 

しかし、「売店」「食堂」「駐車場」を「入院患者(やその家族)だけでなく、一般利用もできるサービス」として捉えれば、その病院が提供する製品(またはサービス)の表現は、

「医療サービスの企画、提供」

「売店の運営管理」

「飲食サービスの企画、提供」

「駐車場の運営管理」

となるでしょう。

 

「業務」としてやっていることは一緒でも、「製品(またたはサービス)」として捉えるか「単なる製品(またはサービス)に付帯する業務」として捉えるかどうかで、適用される要求事項も全く違ってくるわけです。

 

2015年版審査は「事業とマネジメントシステムの統合」や「プロセスアプローチ」に基づくものとなっています。

しっかり業務実態と適用規格を頭の中で照らし合わせながら確認している審査員もいますが、現状を見ていると、なかには、「単に業務プロセスを頭からお尻まで見た」だけで、適用規格との照らし合わせは不十分な事例が多い気がします。

 

2015年版審査は「事業として実施していることがマネジメントシステムとして位置づけられ、要求事項を満たした運用がされているかどうか」という視点でも、しっかり確認してほしいものだと思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ535号より)

 

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 07:50
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