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ISO認証制度で気になる点(製品及びサービスの設計・開発の適用可能性について)

JUGEMテーマ:ビジネス

 

組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISO認証制度がある。

このISOマネジメントシステム審査について、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

今回のテーマは、「製品及びサービスの設計・開発の適用可能性」について。

 

《製品及びサービスの設計・開発の適用可能性について》

本件について、JAB(公益財団法人日本適合性認定協会)では、2015 年7 月14 日及び23 日に実施されたISO 9001 改訂セミナー(FDIS 9001に基づく)での説明、質疑応答をもとに、講師の監修をいただき、JAB が作成したQ&Aをウェブで発表しています。

 

以下に、Q&Aで示された「製品及びサービスの設計・開発の適用可能性」に関する記述をまず引用したいと思います。

 

(以下、Q&Aより引用)

<質問>

設計・開発の定義が、「要求事項を、製品、プロセス又はシステムの、規定された特性又は仕様書に変換する一連のプロセス」から、「対象に対する要求事項を、その対象に対するより詳細な要求事項に変換する一連のプロセス」(FDIS 9000/3.4.8)と変更になる。

「設計・開発」の適用可能性(適用除外)の考え方に影響が出るのか。

また、建築・土木業で、施工のみを請け負う場合、顧客の図面で業務を行うので、設計・開発は適用除外するという場合があるようだが、これは認められるのか。

 

<回答>

8.2 で明確にした製品・サービスに関する要求事項だけで、8.4 以降に関わる製品・サービスの提供がそのまますぐにできるという状態であるなら、設計・開発プロセスは無く、8.3は適用不可能(適用除外)と言えるだろう。現実的には、多くの組織では、8.2 で明確にした要求事項を「より詳細な要求事項に変換するプロセス」を経なければ、8.4 以降に関わる製品・サービスの提供を行うことはできないだろう。

 

建築・土木業で施工のみ行う組織の場合、その組織にとっての製品・サービスとは何かを考える必要がある。その組織が顧客に提供している製品・サービスが「施工」というサービス提供であり、自身で施工計画を作っているような場合、設計・開発の適用除外は認められないだろう。

なお、8.3 は製品・サービスの設計・開発に適用されるが、工程設計(製造及びサービス提供に関するプロセスの開発)に適用することもできる。

(引用ここまで)

 

わかっている方にとっては、当たり前すぎる話ですが、まず、組織の業務において「製品及びサービスの設計・開発」に該当する業務は、「その組織が提供する製品、あるいは、サービスにおける設計・開発」であるということが基本中の基本です。

 

つまり、「製品」を「物性的なモノ」とした場合、例えば、電気製品や自動車、化学製品といった場合、「製品仕様を設計・開発する業務」が、「製品及びサービスの設計・開発」業務に相当します。

したがって、電気製品や化学製品など「製品である物性的なモノ」を効率よく作り込む生産技術を開発したり、企画する業務は、「工程設計」となり、基本的には「設計・開発」の適用となりません。

ただし、 ISO規格で「8.3製品及びサービスの設計・開発は工程設計にも適用することができる」と言っているので、組織が「工程設計のプロセスをISO規格の設計・開発に適用させてマネジメントシステムを構築する必要性がある」と判断すれば、それは組織の自由裁量ですから、適用させることはなんの問題もありません。

 

わかりづらくしているのは、「サービス」です。

まずは、「サービス」の中でも「設計・開発」がわかりやすいケースです。

例えば「輸送」というサービスの場合、ルーチンワーク的にA地点からB地点に荷物を輸送する場合、その輸送プロセスはすでに確立されていますから、ドライバーや日程、時間などの輸送計画を立てることは、単なる工程計画です。

しかし、今まで経験がない形状や特性のある荷物を安全かつ時間通りに輸送する場合は、輸送経路、梱包仕様、積み込み荷下ろし方法、乗務員の技術教育といったことを企画して、問題ないことを確認して、実際のサービスを提供します。

したがって、このようなケースの場合の「輸送企画」は、まさに「提供するサービスの設計・開発」となります。

 

「建築物や土木構造物の施工」の場合は、少々、考え方の難易度が上がります。

「建築物」や「土木構造物」といった「ハコモノ」自体を「製品」と捉えれば、「設計・開発」は、いわゆる「設計事務所」や官公庁工事でいえば「発注者側」が実施する業務であり、「施工のみを実施する組織」にとっては「設計・開発に該当する業務は当社には存在しない」(適用不可能)というのは、当然でしょう。

ただし「施工自体を製品」あるいは自社の製品は「施工サービス」であるとした場合、例えば、「単純な電球の取り換え工事」のような「施工手順が確立している施工」(この線引きは難しいですが)の場合を除き、いわゆる「施工計画書」を作成するような場合は、安全・品質・予算・工期を発注者の要求通りに実施する施工技術を設計・開発していることになるので「設計・開発」が適用ということになるわけです。

 

もう少し難易度の高い例では「めっきや熱処理」があります。

ご存知のように、「めっき」は「素材に薄い金属膜をつけるプロセスおよびその技術」であり、「熱処理」は「鉄鋼その他の金属に、必要とする硬度や性質を与えるため行う加熱および冷却の操作」です。

この「めっきや熱処理」について例えば「めっき加工された金属部品」「熱処理された金属部品」そのものが「製品」である、とするならば「めっきや熱処理」は金属部品を作り込むいちプロセスとなり「工程」であり「製品」ではありません。

しかし「めっきサービス」「熱処理サービス」が「当組織の製品である」と定義するならば「めっき加工」や「熱処理加工」といった加工技術そのものが製品となります。

「めっき」や「熱処理」会社が、ISO9001を取得する場合「設計・開発は適用不可能」としている組織が私の感覚では9割以上、残り1割程度が「設計・開発」を適用していると思われます。規格の2015年版改訂をきっかけに「当社の製品はなんなのか??」を再度深く掘り下げて、顧客の要求、利害関係者の期待、といった点を含めて、「設計・開発の適用可能性」を再確認する必要性が多くの組織であるといえると思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ530号より)

 

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 06:58
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