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アスクル物流倉庫の長期化した火災

JUGEMテーマ:ビジネス

 

2017年2月16日に、通販会社の「アスクル」の埼玉県三芳町にある物流倉庫で火災が発生し、22日午前9時半ごろにようやく鎮火した。

なぜ、これだけ火災が長期化したのか、原因究明が待たれるばかりであるが、消火活動中の21日にアスクルの社員が荷物を取りに倉庫内に入っていたという別の問題も発生した。

21日の午後の時点では、火勢は弱まりつつある状態であったが、鎮火のめどは依然たっていない状況なのに、消火活動中に社員が個人ロッカーなどの荷物を取りに行ったことは、常識的に考えれば、問題であろう。

結果として、消火活動中に社員が倉庫内に入ったことで事故など実害はなかったが、立ち入りにに関して、「消防の許可を取ったのか?」「会社の指示なのか?」「個人の判断なのか?」といったことについても、その経緯を究明し、今後に生かさなければ、「アスクル社の火災など緊急事態発生時におけるガバナンスは無法地帯」ということになってしまう。

 

ちなみに、「アスクル」は、2004年3月12日に財団法人日本品質保証機構から環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001の認証を取得している。

https://www.askul.co.jp/csr/management/ems.html

 

当然、今回、火災になった「埼玉県三芳町」の物流倉庫「ASKUL Logi PARK 首都圏」も環境マネジメントシステムの認証適用範囲に含まれている。

アスクルのウェブサイトによると、

 

(以下引用)

(省略)

「環境関連法規の順守状況」

(省略)ISO14001の第三者審査および内部監査の結果、2016年5月期は、環境関連法規に対する重大な法令違反につながる指摘はありませんでした。

(省略)

 消防法上の危険物商品については、各センターに危険物庫を設置、および外部倉庫の契約をする等により、センターごとの指定倍数管理を実施しています。2016年5月期には、MRO商品等の取扱量の増大により、各センターの危険物庫の増設など指定倍数管理の強化を行っています。

その他、環境関連法規の順守活動において、罰金や科料、訴訟および本社オフィス・各物流センターに対する重大な苦情や利害関係者からの要求は発生していません。

(省略)

「緊急事態の訓練実施状況」

本社や物流センターなど各サイトにおいて、「消防計画」「防火防災手順書」を作成するとともに、「自衛消防隊」を編成、防災意識の向上と災害発生時の適正な対応習得のため、年1回防災訓練を実施しています。 2016年5月期も引き続き、東日本大震災の教訓、特に大きな被害を受けた仙台物流センターの実例をもとに、大規模地震および津波を想定した防災訓練を行いました。各物流センターでは、各サイトの特長を取り入れ、また実際に火災発生時により近い状況で手順通りの行動をとれるよう、「防火防災手順書」を見直し、防災訓練を実施しました。

また、物流センターにはサプライヤー様の車両、お客様への配送車両等数多くの車両が発着することから、車両のオイル漏れを緊急事態として特定しています。2016年5月期にはオイル漏れが起きた場合の訓練をすべての物流センターで実施いたしました。

 今後も想定される大規模災害に対応するため、物流センターの設置場所を考慮し、より効果的な訓練のやり方を検討していきます。

(省略)

(引用ここまで)

 

・・・というようなことが記載されている。

(法令関係について)

危険物保管に関しては、指定数量の1/5以下の保管量となるように徹底管理はされる仕組みになっていたようである。

しかし、今回の長期化した火災の発生により、まずは、物流倉庫内に適用される法令や地域住民との協定などその他の要求事項に違反はなかったのか?また、法令上の違反がなかったとしても、利害関係者の不安感は増大したといえるので、住民説明会、顧客向け説明会、株主総会などによって、しっかりとした説明をしていくことが求められるだろう。

 

(緊急事態について)

「火災」と「物流倉庫でのオイル漏れ」を緊急事態として特定し、防災訓練やオイル漏れに対する対応訓練は行っていたようです。

しかし、ニュースでも報道されているように「消火活動中に社員が現場に立ち入りしている」ことから、緊急事態発生時の指示命令系統などガバナンスが機能する仕組みになっていたのか(実態としては機能していなかった)、検証する必要性がある。

また、報道によれば、「火元は鉄骨3階倉庫の1階北西の角とみられ、窓や扉が少ないため内部に水が思うように届かず消火作業が難航した」ということだから、消防法の規定は守られていたとしても、

◆火災になった場合のリスクの大きさが考慮された物流倉庫の建屋構造だったのか?

◆アスクルの消防計画は有効性があったのか?

◆アスクルの「防火防災手順書」は妥当性がある手順書といえたのか?

といったことはしっかり検証されるべきである。

 

今回の火災については、長期化し、地域住民も一時避難したなど社会的影響が大きかったことから、消防庁が原因究明に乗り出しているという。

個人的には、前述したとおり、アスクルは環境マネジメントシステム規格(ISO14001)の認証を受けていることから、認証機関であるJQA(日本品質保証機構)は、しっかりとこれまでの審査の適切性確認と今後の審査における審査計画での審査時間配分などの改善に着手してほしい。

また、JQAを認定している認定機関である公益財団法人日本適合性認定協会(JAB)も、ISO認証制度の社会的信頼性確保のためにも、しっかり、JABの認定審査を通じて、アスクルの審査が適切に実施されていたのか、検証してほしいと思う。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ530号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 05:56
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