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ISO認証制度で気になる点(環境マネジメントシステムの適用範囲について)

JUGEMテーマ:ビジネス

 

組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISO認証制度がある。

このISOマネジメントシステム審査について、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

今回のテーマは、「環境マネジメントシステムの適用範囲について」について。

 

《環境マネジメントシステムの適用範囲》

2015年版以前の規格から、「カフェテリア認証」とか「チェリーピッキング」による「適用範囲」で認証を受ける事例が散見され問題視されていた。

 

ご存知の方も多いと思うが、あらためて「カフェテリア認証」や「チェリーピッキング」とはどのようなものか触れておく。

 

「カフェテリア認証」

比較的環境影響が小さい一部の組織やサイトのみを対象として認証を受けているケースである。これが悪いのは、利害関係者や外部に対して、あたかも組織全体が認証を取得しているように見せかける、あるいは、誤解をあたえることである。

 

具体的な事例としては、

◇製造設備を保有すつ組織が、事務部門のみを対象とし、製造部門を対象としていない場合

◇ビルメンテナンス業の組織が、本社事務部門のみを対象とし、受託しているビル管理を対象としていない場合

といったケースである。

 

「チェリーピッキング」

組織の活動や環境負荷の一部の取り組みやすいところのみを対象とし(環境影響の大きい設備や活動を除外している)、あたかもその組織の活動全体を対象として認証を取得しているかのように見せかけることである。

 

具体的な事例としては、

◇製造メーカーが、製造部門におけるエネルギーや廃棄物を環境マネジメントの対象としていない場合

◇建設会社が、土木・建設工事に伴う廃棄物を対象としていない場合

といったケースである。

 

私見であるが、カフェテリア認証やチェリーピッキングについて、

「利害関係者や外部にあたかも組織全体が適用されていると誤解を与える意図はない」

「数年かけて組織全体で認証取得するための初期段階としてやりやすい部分から認証取得している」

というケースは、今までは、認証機関の判断で登録が認められていた気がします。

つまり、例えば、「3年後に組織全体に適用するから、1年目は本社だけ、2年目は本社と営業所だけ、3年目で製造部門を含めた組織全体」という場合は、ウェブサイトなどで現在認証されている範囲が明確に利害関係者や外部に示されれば、「まぁ、いいでしょう」、というケースがあったと思います。

 

しかし、2015年版では、規格改訂の際の議論で「2 つの観点があった」そうなので、基本的には、段階的であっても「やりやすいところから」を目的としたカフェテリア認証やチェリーピッキングでも認証は難しいと思います。

 

では、「2つの観点」とは何かですが、それは、

1)組織が宣言する適用範囲は利害関係者の誤解を招くようなものであってはならない

2)狭い範囲を適用範囲とすることはありうるが、利害関係者から見て信頼の置けるものであること

である。

つまり、利害関係者はもちろん、外部の環境マネジメントシステムに対する「期待」は、例えば、運送会社であれば、当然、「運送管理プロセスに関わる環境マネジメント」でしょう。

それが、段階的とはいえ、まずは「事務部門の本社から認証取得しました」では、その認証は、「利害関係者から見て信頼のおけるものではない」ということになります。

 

話題は少し変わりますが、ある製造会社があって、5階建ての自社ビルを保有し、5階部分は、資本関係もその自社ビルを持つ製造会社の業務とは関連しない製造会社(環境影響はそこそこ大きい活動をしている)が「テナント」として入居していたとします。

この場合、環境マネジメントシステムの適用範囲は、自社ビルを持つ製造会社が業務を実施している1階から4階までということになるでしょう。

もちろん、5階に入居する製造会社が、自社ビルを持つ会社の委託先であり、環境影響もそこそこある活動をしているならば「適用とする」ことが一般的でしょう。

 

しかし、この場合、自社ビルを持つ製造会社とは業務上の関わりもないとなった場合、私は、この5階に入居する製造会社については「全く考慮することはない」というのは少し乱暴と考えます。

ケースに分けて考えてみることにします。

 

5階に入居する製造会社が環境マネジメントシステムを単独で取得する場合」

このケースであれば、特に問題は生じないでしょう。

あとは、ビルオーナー側の責務である消防関係設備の確認、火災発生時の避難経路や避難手順の確認を、自社ビルを持つ製造会社としておけばいいでしょう。

 

5階に入居する製造会社が環境マネジメントシステムを導入するつもりが無い場合」

5階の製造会社の環境影響がそこそこ大きい」というのがキーになります。

例えば、近隣住民(利害関係者)から見て、その5階建てのビルは、自社ビルを保有する会社の活動と捉えているでしょう。

そう考えた場合、利害関係者の環境マネジメントシステム認証に対する期待は、ビル全体の活動が対象と考えるでしょう。

仮に、その5階に入居する会社から排出された排水により河川や池の魚がプカプカと浮いていることになったなら、自社ビルを保有する製造会社は、「うちには関係ありません」と法律的には言えても、利害関係者目線で見た場合、言い切れない気がします。

 

したがって、「5階に入居するビルも自社ビル保有の製造会社の環境マネジメントに包含する(要は適用範囲に含める)」か「5階に入居する環境側面を調査し、自社が管理するレベルと同等の管理を依頼し、活動に変化があった場合は、報告させる」といった対応が必要ではないかと考えます。

 

クリーンセンターや火葬場が建設されるというと地域住民から反対運動が起きます。

また、工業団地が建設されるときも近隣住民は、工業団地に入居する会社に注目しています。

あくまでも、個人的な「想い」ですが、こうした場合、地域住民への安心感という意味において、「環境マネジメントシステム認証」を利用すべきだ、と思っています。

ただ、工業団地で認証を受けようとした場合、その工業団地内の業種が多岐にわたるとしたら、認証審査チームの力量管理が大変かな、と思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ523号より)

 

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 07:25
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