- 日本陸連の長距離・マラソン強化戦略プロジェクトチームが打ち出した新方針
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2017.01.31 Tuesday
JUGEMテーマ:スポーツ
日本陸連が2020年東京五輪での男女マラソンのメダル獲得を目標に打ち出した「新方針」が話題です。
「新方針」とは「ネガティブスプリット」です。
ご存知の方も多いのであらためてですが、「ネガティブスプリット」とは、前半のペースよりも後半のペースの方が速い走り方を言います。
逆に、後半のペースよりも前半のペースが速い走り方をポジティブスプリットと言います。
日本陸連が「新方針」を打ち出した理由は、単純に言えば、昨今のレース展開が、後半型だから、です。
そのため、「後半勝負できるランナーを世界陸上代表に選びたい」というのは、「ひとつの戦略」としては、良いと思います。
ここでいう「良いと思う」は、「東京五輪でのメダルをゴール」と考えた場合、現実問題として「悠長なことは言っていられない」ですが、瀬古利彦長距離・マラソン強化戦略プロジェクトリーダーや尾県貢専務理事がいうように「選考レースは模擬試験、世界陸上は中間試験、五輪が期末試験」と捉えるならば、「今までと同じことをやっていても突破口が見えないから新しいことを試してみよう」というのは、方法論として間違っていません。
つまり、「2017年夏のロンドン世界陸上の選考レースはネガティブスプリットの走りを評価する」という新方針を試してみて、中間試験(ロンドン世界陸上)で結果が出なければ、新方針を見直すことを検討するというのは、「良いと思う」のです。
ただ、気になるのは、「単に結果的にネガティブスプリットでレースに勝てばいいのか?」というのが、今回の大阪国際女子マラソンで優勝した重友さんの結果に対するマラソンファンの「モヤモヤ感」です。
大阪国際女子での重友さんは、前半が1時間12分10秒、後半が1時間12分12秒ですから、正確には「ネガティブスプリット」ではありませんが、マラソンファンのモヤモヤ感の根本は、タイムです。
「前半抑えて後半ペースアップして勝負に出た」
といえば、聞こえはいいですが、ゴールタイムから捉えれば、「後半に急激にペースアップしたわけではなく、単に、前を走っていた選手が落ちてきて、拾っただけやないの?」という結果だからです。
日本女子マラソン界の黄金時代を知るファンからすると、例えば、「前半1時間12分、後半1時間10分でゴールタイム2時間22分」というレース展開なのです。
条件の良い冬のレースで2時間24分台では、「テストの課題をクリアしただけで本番では勝てない」と感覚的にファンはわかっているから「モヤモヤ感」があるのです。
重友選手は、せめて、中間点をトップ集団で通過した2位になった堀江美里選手(1時間11分46秒)について行って、例えば後半を1時間11分〜1時間11分30秒にまとめれたなら、ゴールは2時間22分46秒〜2時間23分16秒で、「まずまずの出来じゃないか!」と評価されたと思います。
映像的には、トップを走る堀江選手を重友選手がぐんぐん追い上げていくシーンは感動的で、「すげー」と現地で声援していた私も感じました。
しかし、堀江選手は後半を1時間12分58秒かけていて、前半より1分12秒タイムを落としていますから、結果的には重友選手が優勝しましたが、「先頭集団について行って、後半ぐんぐん上げて、結果的にも2時間22分かせめて23分台ですごいじゃん」という走りをファンは期待していたのです。
単純に「世界陸上や五輪のような夏レースと選考レースの冬レース」をタイムで比較はできませんが、世界と勝負するには、2時間22分程度のタイムが出なければ、いくらスタミナ勝負の夏レースといっても、脚力的に勝負になりません。
けれども、「東京五輪でのマラソンのメダル獲得」を一番に考えれば、日本陸連プロジェクトチームの新方針は「ひとつの戦略」であり、外野の私がケチをつけるつもりはありません。
しかし、そもそも論に帰れば、「選考レースは、ペースメーカーなしでやるべきでは」と思います。
ペースメーカーは、世界記録や日本記録更新のために、選手がけん制しあわないためと、選手の
消耗度を軽減するために配置されているのが目的です。
テレビ視聴者の期待は「好記録」ですから、ペースメーカーはそういう意味では大事です。
しかし、ペースメーカーがいない時代は、前半から一人旅のレースをする先行逃げ切り型の中山竹通選手やコバンザメ走法の瀬古利彦選手など、レース展開がいろいろあって面白かったです。
しかし、今の著名なマラソンレースは、「30キロ以降の優劣」だけですからね〜。
話は、「市民ランナーレベル」になりますが、「サブスリーランナーでも後半の脚力がないランナー」は、「ポジティブスプリットがよい」と思います。
フルマラソンは42キロと長いので、理想は「脚を温存して後半勝負」の「ネガティブスプリット」です。
スピード持久力が備わっている選手(いわゆるスタミナがあるフルマラソンを走り切る脚力のある選手)は、「余裕をもって前半は体力を温存し後半は上げるかまたは維持」がセオリーと言われています。
しかし、サブスリークラスでも、後半のスタミナに不安がある場合は、前半をかなり抑えて走っても、結果的に、30キロ以降は、頑張ることはできず落ちます。
経験則ですが、脚力不足だと、抑えても、結果的にある距離を過ぎると脚が逝っちゃって余計に遅くなり、トータルタイムとしては、むしろ遅くなるんです。
つまり、落ちることが分かっているならば、「大失速しない程度に前半から飛ばして走り、後半は耐えまくる」ことが結果的にタイムは良くなります。
もちろん、自分と同程度の実力の人との「勝負」を考えれば、「ライバルについて行って後半刺す」というのがよいと思いますが、「単にタイムとの戦いで自己ベスト狙い」ならば、「大失速しない程度に前半から攻める」方が道が開けると思います。
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