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ギネスブックの認定基準
プロ野球阪神タイガースの金本知憲外野手が2006年4月に足掛け8年掛けて904試合連続イニング出場の世界記録を達成した。
阪神球団がこの記録をギネスブック(ギネス・ワールド・レコーズ)に2度申請したところ通らなかったという。
申請を却下したギネスブック側は「偉大な記録ではあるが、現在認定しているのは連続試合出場だけ」との返答だったそうだ。

ご存知の方も多いと思うが、金本選手が記録を更新するまでの従来の記録保持者は元オリオールズのカル・リプケン内野手。
ちなみにリプケン選手は2632試合連続試合出場の世界記録を保持している。
連続試合出場と連続イニング出場の違いを整理してみると以下のようになる。

・連続試合出場:
,△襯ぅ縫鵐阿亮虍に初めから終わりまで出場
⇔櫃暴个襪アウトになって打撃を完了
・連続イニング出場:
試合の初回から最終回(通常は9回)までの出場

野球を知っている人ならば、連続イニング出場がどれだけすごいことかがわかる。
つまり、連続出場は守備固めで1イニングを守るか、代打でその打席を終了すれば「出場」となるが、連続イニングは1試合まるまる出場しなければならない。
1試合まるまる出場するというのは、「最初から最後まで試合に出て大変だね」という単純なものでない。現代の野球においてはシーズンを通して体調を維持させるために、大量得点で勝っているまたは負けているときは選手を引っ込める。
また、どうしてもその試合に勝利しないといけない場面であれば、守備に不安がある選手なら守備固めの必要な場面で、また犠打が必要な場面であれば4番打者でも代打が送られることがしばしばある。

監督は個人の記録のために(多少の温情や話題づくりはあると思うが)采配を揮うわけではないので、それらの状況をすべてクリアするだけの選手の能力が必要となる。
イチロー選手だって、松井選手だってシーズンを通して常に好調をキープし続けることは滅多にないから、気分転換もかねて時としてスタメンでなく途中出場になることが多い。
したがって、904試合達成時点で足掛け8年間も一流のコンディションを保ち続けているのは賞賛に値すると思う。

しかし、ギネスブックはこの記録を認めなかった。
ちなみに、ギネスブックは、アイルランドのビール会社であるギネスの関連会社が運営し、1951年に初版が発行(2002年にギネス・ワールド・レコーズに改称)されたさまざまな分野の世界一を認定し掲載する本である。
毎年約6万件の申請があり、そのすべての応募に必ず返事を送っている。
認定は、発行元が定める「認定されたカテゴリー」の元で「認定されたルール」に従って作られる。
例えば、下品なものの世界一(例:おならの長さ世界一など)はそのルールから外れるようで、以前テレビ番組の企画でその様子をビデオに撮って申請していたが、却下されていたのを見たことがある。
したがって「金本選手の記録は発行元が定めた認定ルールに沿っていないため却下」といわれてしまえば仕方がない。

ただ、「認定ルールがある」といっても文化的な主観が大きくその判断に働くのだと思う。
アメリカ人や日本人にとって野球は馴染みがあるスポーツで「連続出場と連続イニング出場は似ているけど性質の全く違うもの」、とその違いを捉えるが、野球に対して馴染みの薄い欧米人にとっては、「野球は連続出場というカテゴリーで世界一を認めているから連続イニング出場はそのサブカテゴリー的な記録でそこまでを世界一の枠として広げたらキリが無くなる」との判断だろう。

ギネスブックの基準は、事実上の世界一に関する世界的権威となっているが、形態は私企業基準である。私企業基準であるから「俺がルールブックだ」でもある意味問題はない。
工業製品やマネジメントシステム規格のISO規格は「公的な世界基準」ではあり、その作成過程では「さまざまな国や地域の文化や習慣を考慮」して意見徴収し制定しているとは思うが、人間が作成するものだから人によっては、「あれっ」という基準があるんだろうなぁ、と思った。
author:有賀正彦, category:一般コラム, 11:18
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