RSS | ATOM | SEARCH
監査法人の業務停止
中央青山監査法人の「業務停止」の影響は計りしえないほど大きいと思う。
ここ10年を振り返ってみても、ヤオハンジャパンの粉飾決算、山一證券の経営破たん足利銀行の経営破たん、カネボウの粉飾決算と社会的にも影響の大きい不祥事を起こしている。
カネボウ事件については粉飾に加担したとして証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪に問われている3人の公認会計士の登録抹消処分も下された。
金融庁はこの処分に対して「問題事例への厳正な対応で、資本市場の根幹を支える企業会計への信頼を取り戻す必要がある」と言う見解だ。
確かに会計監査に対する信頼性回復、再発防止のためにはなんらかの処分は必要である。

ただ、誤解を恐れずに言えば、「監査法人の体質改善や公認会計士の意識改革」は重要であるが、
_餬彜萄困鮗審する組織の「監査に対する意識」
監査の厳格性徹底のための法律を含めた「会計監査システム見直し」
が必要だと思う。

現在、業界の自主基準など制約は徐々にできているが、基本的には企業が会計監査を受ける場合、企業が監査法人を選び契約を結ぶことが出来る。
莫大な監査費用を支払うのは監査を受ける企業であり、監査法人からすれば企業は、「監査をさせていただくお客様」である。
つまり監査を受ける企業が監査を担当する会計監査法人に対価を支払っているのである。

企業が会計監査を通じて「社会への公正明大な経営体制のお墨付きと、信頼性、透明性を確保することは会計監査を受ける企業の社会的義務であり責任である」と紳士的に捉えている場合は問題ない。
しかし、「監査を受けるのは関連法規の定めだからしょうがないなぁ」と意に沿わない監査結果を出す監査法人であるならならいつでも監査法人を乗り換えてやると考えている企業とお付き合いする場合、監査結果により監査業務契約(監査法人としても会計士個人としても)に影響が出るとしたら「そうですか、ご不満でしたら監査法人を変えてください」と言うのが当然ではあるが、なかなかそうはできない構造である。

テレビのコメンテイターのトークを聞いていると「そういう真摯な態度を取るのが監査法人や会計士の責任」と簡単に言うが、裁判所の裁判官ように判定結果を下す所が「国家機関」であればそれは可能である。なぜならば、判定結果によって裁判官の身分には基本的に影響を与えない。
判定結果が正しい判断か、有効な判断かは別にして判定(監査)結果に恣意性が入らない「厳格性」を求めるのであれば、「国」またはや業界団体的ではない「公的な会計監査団体」を設立して、監査を受ける企業はその機関と契約する必要がある。
そうして、
1)監査する担当会計士は無作為に抽出された会計士が実施
2)1度担当した会計士は2度とその企業の監査を担当しない
と言ったルールを設けるべきだ。

しかし、こうすると「監査の連続性がないのは企業にとって不利益である」とか「監査対象企業の事情に精通していない会計士では会計システムの説明や監査時間が効率的でない面がある」と反論をいただくであろう。
ただ、この考えはその通りなのだが、考え方の根底に「監査を通じて会計についての学びを得よう」とか「担当会計士とつーかーの雰囲気で監査を乗り切りたい」と言うものがあると思う。

そもそも、監査に厳格性を求めるのであれば「監査の場面でご指導による学びを得たい」と言う監査に対する意識や認識に無理がある。
ご指導を得たいのであれば「真に役立つコンサルタントと別途監査契約以外に契約しなさい」と言いたい。念のため申し上げれば、もちろんここで言うコンサルタントは「無難に監査をクリアできる指導」と言う意味ではない。
また、「会計士が変わると説明が容易でない」の考えに対しては、会計士の能力の問題もあるが「どんな会計士でも理解でき、わかりやすく説明できる会計システムを持たない企業」であることが問題なのだ。

これはもちろん極端な例え話ではあるが「監査結果の厳格性」を社会が求めるのであればそのような方法を取るしか仕方がない。
繰り返すが、「監査される側が監査する側に莫大なお金を支払っている」と言う構造があるかぎりそうするしかない。

それにしても今回の処分は、監査法人界のガリバー的組織である中央青山の経営に与える影響は大きい。
しかし、金融庁や業界が、「社会が会計監査の信頼性を求めているので一応のポーズはとりましたよ」で終わると仮定したら、中央青山から離れていった顧客の争奪戦が単にその他の監査法人で繰り広げられるだけだろう。
きちんと会計監査業務を行っていた会計士やその企業にとっては、今回の「契約解除」は寝耳に水である。まったくの「連帯責任的被害」であり、企業にも真っ当な会計士にも罪はなんにもない。
もし、現在の制度で会計監査をするとしても、ちゃんと厳正にやるのであれば、どの段階かで会計監査法人と契約している企業の契約は全てチャラにして、企業が信頼性のある監査法人を選び契約しなおすべきだ。
そうすれば、監査法人も企業も「監査は単なる監査」であり「ご指導会」でも「つーかー説明会」でもなくなると思う。
author:有賀正彦, category:経営・ビジネスに関する話, 08:30
comments(1), trackbacks(5), - -
Comment
監査制度の信頼回復の好機!
, 2006/06/05 4:31 PM









Trackback
url: http://blog.logcom.jp/trackback/350610
中央青山監査法人、法定監査業務を2ヶ月停止の処分
金融庁はカネボウ粉飾決算事件で中央青山監査法人に対して法定監査業務を7月1日から2か月間停止する処分を命じました。甘い処分だろうという事前予測に反して厳しい処分です。法定監査が出来ない約2300社にとっては他監査法人に一時的にせよ乗り換えるしかなく、
日本の中心で、馬鹿を叫ぶ!, 2006/05/14 3:32 PM
中央青山監査法人:全業務停止の処分へ 金融庁が検討
中央青山に業務停止命令へ カネボウ粉飾事件で、金融庁 『カネボウの粉飾決算事件にからみ、金融庁は8日、4大監査法人の一つである中央青山監査法人に対して、今年7月からすべての業務を停止する処分を出す方向で調整に入った。 停止期間は1〜2カ月を検討し
40代の私にとっての最新情報・重要ニュース, 2006/05/12 5:51 PM
会計士の有限責任化について。
 企業の会計監査を担う監査法人の制度改革を検討している政府・与党は、幹部の公認会計士に無限連帯責任を負わせる現行制度を見直し、有限責任の組織形態を認める方針を固めた。一部会計士の不法行為で、直接は関係ない幹部会計士まで私財を失う可能性がある現制度は、
税務の片隅で。, 2006/05/12 11:51 AM
ブログのトラックバックセンター
(有)ロジカル・コミュニケーションのブログ様トラックバック、ありがとうございました。blolog〔ブロログ〕では、カテゴリー別にトラックバックを募集中です。他のカテゴリーへも、お気軽にトラックバックして下さい、お待ちしております。
blolog〔ブロログ〕, 2006/05/12 9:21 AM
中央青山監査法人、全業務停止の処分へ
中央青山監査法人:全業務停止の処分へ 金融庁が検討 カネボウの粉飾決算事件にからみ、金融庁は8日、4大監査法人の一つである中央青山監査法人に対して、今年7月からすべての業務を停止する処分を出す方向で調整に入った。停止期間は1~2カ月を検討している。近
Macでロッテりあ, 2006/05/12 9:14 AM