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ISO導入企業開拓の功罪
ISO認証企業の数も増えたが、業種も広範囲に広がってきた。
ちなみに、認証企業数は、ISO9001(品質マネジメントシステムが)が42,849件、ISO14001(環境マネジメントシステム)が17,811件である。
(注:2006/02/01現在、財団法人日本適合性認定協会(JAB)認定の審査登録機関のみ)

また、業種は大分類で39に区分されるが、分類毎の認証件数は、ISO9001とISO14001はそれぞれ下記のようになる。
(注)複数の分類にまたがる認証については、各分類に対してそれぞれ1件として集計しているので、実際の認証件数より多い。

認証制度の草創期は、製造業が製品を欧米諸国へ輸出する条件として、発展期は建設業の経営事項審査のような制度の評価点として、そして現在はサービス業など業務の効率化・組織の継続性を目的とした内部管理として導入している所が多い。
今後は、コンプライアンス意識を含めた組織の内部統制管理のツールとして活用して所が増えて行くと考える。

どんな制度でもそうであるが、組織が必要に駆られて導入する時は、組織自身が導入の目的や導入までに必要な準備体制や資源、導入後の期待される効果や継続・発展させていくための資源を調査し計画する。
しかし、制度を利用する組織が多くなると、制度に関連する産業がビジネスとしても発展を始める。
ISOで言えば、審査登録機関、教育機関、コンサルティング会社、関連書籍などソフト会社、計測器の検査・校正機関、環境調査など試験機関等である。
制度が発展し活発化してくると、ISO導入のきっかけが組織自身の積極的判断から、組織が導入することによってそれらの製品/サービスを提供することになる産業からの提案によって導入する組織が増える。

ISO導入について、営業マンの提案活動(ISO導入組織の開拓)が盛んな会社がある。
その会社が導入を提案する組織は、「えっ、そういう規模のそういう業容の組織にまで提案をするんだ、すごいなぁ」とびっくりするような組織も少なくない。
その会社の活動の「功」の部分は、「提案しなければ制度を知ることも導入することもなかった組織や業界にまでISOを普及させた」と言うことになる。
しかし「罪」もある。
例えば、せっかく導入した組織が導入後数年で仕組みの活用を止めてしまっていることが結構ある。
止めた理由は、端的には「提案された状態が見込めなかった」と言うことになるのだろう。
そうなると次にどのようなことが起こるかと言うと、認証継続を断念した組織が、組織規模やその業界の先駆者的な存在だったところが多いので、「次に続くISO導入を目指す組織が出てこない」と言う影響を受ける。
ISOは上手く活用すればマネジメントツールとして効果を発揮することは実証されている。しかし、上手く計画し、活用しきれなかった組織の例を見て回りは判断することが多いので、制度への信用度が落ちて提案を聞いてもらう態勢にもなっていないことが多い。

数々の基準認証制度は、制度疲労を起こして制度創設から数年して形骸化し、制度として有名無実化するものが多い。
ISOは基準(国際規格)や認証制度に関しては数年毎に世相を考慮して改善し、制度疲労を引き起こさないよう工夫がされている。
下記のISO取得組織の産業分類をみても、日本の産業構造とその産業に従事する会社の数とを考えるとまだまだISOマネジメントシステムが「全ての産業に浸透して活用されている」と真に言える状態ではない。
「ISO導入企業開拓の功罪」の「罪」となってしまっている業界やマネジメント力向上のニーズがある組織にどうやって普及を促していくかが、今後の制度の更なる発展の鍵になると思った。

産業分類ごとの適合組織(認証企業)数
【ISO9001】
1 農業、漁業 343
2 鉱業、採石業 60
3 食料品、飲料、タバコ 1420
4 織物、繊維製品 379
5 皮革、皮革製品 20
6 木材、木製品 370
7 パルプ、紙、紙製品 552
8 出版業 26
9 印刷業 876
10 コークス及び精製石油製品の製造 79
11 核燃料 10
12 化学薬品、化学製品及び繊維 1763
13 医薬品 112
14 ゴム製品、プラスチック製品 2711
15 非金属鉱物製品 483
16 コンクリート、セメント、石灰、石こう他 494
17 基礎金属、加工金属製品 6003
18 機械、装置 3105
19 電気的及び光学的装置 4451
20 造船業 57
21 航空宇宙産業 124
22 その他輸送装置 1490
23 他の分類に属さない製造業 384
24 再生業 112
25 電力供給 9
26 ガス供給 9
27 給水 7
28 建設 15653
29 卸売業、小売業など 2039
30 ホテル、レストラン 158
31 輸送、倉庫、通信 1779
32 金融、保険、不動産、賃貸 399
33 情報技術 1427
34 エンジニアリング、研究開発 3203
35 その他専門的サービス 2210
36 公共行政 54
37 教育 84
38 医療及び社会事業 525
39 その他社会的・個人的サービス 519
合計 53499

【ISO14001】
1 農業、漁業 62
2 鉱業、採石業 46
3 食料品、飲料、タバコ 601
4 織物、繊維製品 179
5 皮革、皮革製品 7
6 木材、木製品 131
7 パルプ、紙、紙製品 399
8 出版業 24
9 印刷業 567
10 コークス及び精製石油製品の製造 51
11 核燃料 9
12 化学薬品、化学製品及び繊維 961
13 医薬品 194
14 ゴム製品、プラスチック製品 1373
15 非金属鉱物製品 239
16 コンクリート、セメント、石灰、石こう他 118
17 基礎金属、加工金属製品 2485
18 機械、装置 1246
19 電気的及び光学的装置 2372
20 造船業 24
21 航空宇宙産業 14
22 その他輸送装置 893
23 他の分類に属さない製造業 161
24 再生業 1072
25 電力供給 97
26 ガス供給 50
27 給水 50
28 建設 2097
29 卸売業、小売業など 2594
30 ホテル、レストラン 114
31 輸送、倉庫、通信 771
32 金融、保険、不動産、賃貸 275
33 情報技術 399
34 エンジニアリング、研究開発 750
35 その他専門的サービス 890
36 公共行政 478
37 教育 98
38 医療及び社会事業 71
39 その他社会的・個人的サービス 1651
合計 23613
author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 23:25
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Comment
私のブログにトラックバックありがとうございました。
昨今のISO取得は「えっそんな業種まで」という実感はぬぐえない趣はありますね。
まあ具体的には環境負荷が少ない業種でのISO14001取得がその例だと思います。
一方でISO9001取得により社内的な制度が文書化され「仕事は体で覚えろ」的な風潮が6.2.2力量,認識及び教育・訓練という項目で排除され、7.2.1製品に関する要求事項の明確化ではコンプライアンスが含まれていたりと「顧客重視」の規格ですが取得企業で働く者にとってもメリットがあるように思えます。
いずれにしても「第三者認証」として今後も存在してもらいたいものですね。間違っても認証機関やコンサルの単なる「飯のタネ」という誤解だけはなくなってほしいものです。
U-ICHI, 2006/02/13 11:19 PM









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荀子に学ぶ〜功舎かざるにあり, 2006/02/12 10:43 AM
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