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イーホームズ
偽造構造計算書による建築基準以下の耐震強度物件が発覚した問題で、マンション販売会社のヒューザーが「建て替えまたは補修工事」の方向から「販売価格の106%で買取」する方針を表明した。
これによって、ちょっとワイドショー的とも言えるマスメディアの報道も問題の本質論へと変わっていくのではないかと思う。

色々な方がブログでも書かれているが、ここ数日のマスメディアの報道は「世論などの感情論」、「一般論による責任追及」、「問題に関与した関係者のキャラクター」を中心にした番組や記事の構成になっていたように思う。「報道の自由」は守られるべきだし、重要なことではあるが、その結果、いたずらに直接の当事者に必要以上の不安感を煽る結果になってはいないだろうか、と思う。

関口宏さんが司会でお馴染みの今日のサンデーモーニングでは論調がすでに「建築確認の制度の問題」に移っていた。
コメンテイターの慶應義塾大学経済学部の金子勝教授は問題として「建築の設計・施工が適切に実施されているかどうかをチェックする機能が働かなかったこと」と「今までの報道に関する倫理観」を挙げていた。前者の部分は、バブル崩壊後の銀行の問題、薬害エイズの問題などさまざまな問題の根本は「この国の社会システムとしてチェックが機能不全に陥っている」のではないかと言われていた。
後者の部分は、なんとなく他のコメンテイターの会話が割り込んでしまい、単なる話題ふりになってしまったが問題の本質を突いていたように思えた

民間確認検査機関のイーホームズが社内調査で検査ミスを発見した際に、ヒューザーが設計担当会社やイーホームズを集めて開いた会議でのメモが話題になっている。
メモの中にヒューザーの小嶋社長が「みんな同罪だ」と言うようなことを言われたようであるが、そのような側面もあると思う。

建ててしまったマンションの構造上の不正問題が発覚すれば、影響が果てしなく大きい天文学的な賠償問題に発展することは関係者なら誰でもわかるから、確かに小嶋社長がインタビューに答えているように「自分が責任を持って販売するものに対して不正を指示するわけが無いじゃないですか」と言っていたがある意味そうだと思う。

マンション業界は過当競争である。
昨今の顧客の最大の要求は「早く、安く」(工期短縮、ローコスト)である。
他社との差別化を図るためには「革新的な工法」、「各協力会社の的確な工程管理」がポイントとなる。
建築基準法の枠組み内で企業努力をしなければならないから、ズルをしようとするならば、建築物を提供する過程で関係する組織は「販売会社、設計会社、施工会社、検査会社」がいるから「グル」になれるとしたら「検査会社以外の会社」である。

検査機能は平成10年の建築基準法改正まで国が行っていたと言う。
しかし、検査員不足による厳正な検査の確保、検査期間の短縮などを目的に民間に開放された側面もあるようだ。
この制度における「検査機関」の役割は設計者や施工者の物件毎の技術的なミス、不正がないかどうかをチェックする極めて技術的なものである
そうなると「検査機関の技術的能力」と「利害関係」が正当なものであり続けなければならない。
民間の指定確認検査機関の認定はどのように行われているのだろうか。
認定では「検査機関の継続的な能力確保の体制」(技術面、組織体制面、利害関係など)は確認しているのだろうか?

国土交通省のイーホームズの立ち入り調査では「建築基準法に定められた建築確認の手順が遵守されていない疑いが9割」にものぼるという
今回の構造計算書のチェックであるが、驚くことに「計算過程は殆どチェックしていない」、「国交省認定のプログラムで建築士が計算しているはずだから問題はない(問題があることを想定していない)として省略している」との驚くべき調査結果だ。
また、検査体制も昨年度、構造計算が必要な建物の建築確認(約2,000件)を行ったが、構造計算に詳しい確認検査員は全体で2人だと言う。
シロウト目にみても明らかに要員不足だと思う。

現在の社会情勢より、人間(会社)、切羽詰ればどこかに負担が掛かる。
現行の建築システムの一番弱い部分(検査機関)を関係業者が悪意を持てば狙ってくるのは明らかである。
姉歯1級建築士も「イーホームズが一番厳しくなかった」とはっきり言っている。
行政でやっていたものを民間化すると、行政が想定していなかったことがたくさん起きる。
民間企業は組織の理念だけでは成り立たない経済性が当然生じるからだ。

イーホームズ以外の民間指定検査機関を調べてみた。
http://www.basic.or.jp/j/ken/siteikikan.htm

ビューロベリタスやベターリビングなど私にとってはISOマネジメントシステムの審査登録機関としてなじみの深い所もあった。
各社の技術的要員体制はわからないが利害関係は株主構成などを見ればわかる。
ビューロベリタスはフランスの会社だから、販売・設計・施工会社との利害関係はあまりないと思うが、ERI、イーホームズなどはどうなんだろうか?
また、指定検査機関の認定基準はどうなっているのだろう?と思った。
author:有賀正彦, category:ニュースを題材にした話, 11:16
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