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日本独自の環境経営システム“エコアクション21”

JUGEMテーマ:ビジネス

 

「エコアクション21」という日本独自の環境経営システムの認証制度があります。

エコアクション21認証・登録事業を実施する「一般財団法人持続性推進機構」のウェブサイトには、

『エコアクション21は、環境省が策定した日本独自の環境マネジメントシステム(EMS)です。 一般に、「PDCAサイクル」と呼ばれるパフォーマンスを継続的に改善する手法を基礎として、組織や事業者等が環境への取り組みを自主的に行うための方法を定めています。』

と説明されています。

 

また、特徴として、

『エコアクション21では、事業者の環境への取組を促進するとともに、その取組を効果的・効率的に実施するため、国際標準化機構のISO14001規格を参考としつつ、中小事業者にとっても取り組みやすい環境経営システムのあり方を規定しています。

この環境経営システムを構築、運用、維持することにより、環境への取組の推進だけでなく、経費の削減や生産性・歩留まりの向上等、経営面でも効果があります。』

との説明もあります。

 

つまり、

『中小事業者が取り組みやすい環境経営システムである』

というのがウリになっています。

 

ただ、実際に取り組んでいる事業者にお聞きすると、

ISO14001より事務局に提出が必須の文書や記録の作成が大変

CO2の排出量を算出するために些末なデータを収集するのが面倒

◆環境活動レポートを作成するのが大変

・・・

といった声が多く聞かれます。

 

例えば、「文書や記録を作成するのが大変」という点ですが、これは、ISO14001でも常々言われてきたことです。

マネジメントシステム認証審査登録制度の宿命でもありますが、自らの組織のマネジメントシステムが適切に構築されていて、運用されていることを外部に示すためには、程度問題はありますが、要求事項を満たしたことが説明できる文書や記録がどうしても必要になります。

 

ただ、それが過度になると「マネジメントシステムを運用することよりも、運用していることを説明するための文書や記録作りに陥る」という問題にぶち当たります。

その弊害が「審査のための文書や記録作り」といわれるような問題です。

そこで、ISO14001では、「審査のための文書や記録作り」をできるだけ避けて、組織の運営に必要な文書や記録で環境経営システムが構築され、運用されていることを示せれば、「審査用の文書類」は作らなくてもよいことになってきました。

 

例えば、マネジメントシステムの場合「経営者によるマネジメントシステムの見直し」という要求事項があります。

要求事項の詳細は省きますが、このことを外部に示そうとすると、「要求事項を羅列した審査用の書式を用意して、その要求事項について、経営者がどのような評価を下したかを示すこと」が説明が付きやすいです。

 

ただ、「審査用」に用意するということは、余計な労力をかけることに他なりません。

ISO14001の場合は、「このような経営者によるマネジメントシステムの見直しは、例えば、年度末の役員会議や管理職会議、事業計画の振り返り、といった通常の組織活動を通じてやっているはずだから、わざわざ審査用にわかりやすく整理した書式で説明せずとも、役員会議等の議事録を示してもらえればいいですよ」という思想に変わっています。

 

ISO14001の場合は、担当した審査員が、組織審査において確認した事実の概要を審査記録や報告書に記録すれば、審査としては成立します。

しかし、エコアクション21の場合は、「証跡となる文書類の事務局への提出」が求められています。

そうなると、事業者としては「役員会議の議事録を提出するのは抵抗感があるので、エコアクション21の審査用の記録を作って提出するか」という発想になります。

このあたりが「ISO14001よりエコアクション21の方が文書類を作成するのが面倒」ということになるわけです。

 

また、エコアクション21の要求事項(ガイドライン)を作成している環境省としては、「エコアクション21に取り組んでいる事業者が事業活動で生じるCO2排出量を何が何でも把握したい」という本音もあるのでしょう。

国民の収入を確実に捕捉するために、マイナンバー制度ができたように、エコアクション21認証事業者のCO2排出量を確実に捕捉し、環境経営システムに取り組むことによる削減効果をより明確にしたいのだと思います。

 

そのため、エコアクション21では、例えば、「お茶用の給湯使用程度で家庭での使用量より少ないガス使用量」を把握させることを求めています。

また、中小事業者の場合「社用車」扱いの自動車は、運搬専用のトラック程度で、その他の車は、社員の自家用車兼用です。

そのため、ガソリンの使用量も事業活動で使用した分を正確に把握するのは、困難です。

(実際は、えいやーで、自家用車兼用車のガソリン使用量を適当に案分して数値を出しています事業者が殆どです)

ISO14001の場合であれば、環境目標として設定する数値や使用量があきらかに多い場合は「使用量をモニタリング」する必要があるので集計しますが、「あきらかに些末な使用量」や「算出が事業上厄介」なものについては、無視、つまり、把握すらしません。

こうしたことも「エコアクション21って結構、面倒くさい」という要因になっています。

 

エコアクション21の制度自体の理念は、立派です。

また、ISO14001にはない「環境活動レポート」という組織自らが社会からの信頼を勝ち得るための外部コミュニケーションツールも持っています。

したがって、うまくバランスを取っていかないと、理念は立派だけど、現実には、ISO14001より大変で、中小事業者にとってはしんどい制度、となってしまうのかもしれないです。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ613号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 06:49
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ISO認証制度:「認定された認証」と「非認定の認証」について

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組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISO認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステム審査について、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「認定された認証と非認定の認証」について。

 

今回のテーマでよく話題になるのが、

◆「ISO認証機関は、認定を持っている分野について、非認定の登録証を発行できるか」

です。

 

ISO認証制度をかじったことがある人なら常識ですが、ざっくり説明すると、ISO認証機関は、日本でいえば、JAB(公益財団法人日本適合性認定協会)のような認定機関から、品質マネジメント、環境マネジメント・・・というように、マネジメントシステムの規格毎に認定を受けます。

また、その認定は、品質や環境でいえば、39に分類された産業分野毎に認定される仕組みになっています。

 

たまごが先か、ニワトリが先か的な問題ですが、ISO認証機関が、設立された段階では、認定を持っている機関から事業継承など特別な事情で機関を設立しない限り、認定は持っていません。

つまり、認定が無い段階で、組織審査をすれば、当然、「非認定の登録証」が発行されます。

 

この「非認定の登録証」というのは、見分け方としては、登録証に、認証機関のロゴマークのみが表記されている登録証です。

認証機関が、JABUKAS(英国)、ANAB(米国)などの認定を受けていれば、登録証には、認証機関のロゴマークと認定機関のロゴマークが表記されます。

 

認証機関が、認定機関から産業分類毎の認定を受けるのは、原則、「実績主義」ですので、例えば、「産業分類28:建設」であれば、事務所審査で当該分野の審査手順や能力があることを確認するのはもちろんのこと、産業分類28の組織審査立会いを経て、認定が授与されます。

認定が授与されれば、過去の審査に影響を与える指摘が出ない限り、基本的には、「非認定登録証」として発行されていた登録証は、「認定登録証」として(つまり、認証機関のロゴマークと認定機関のロゴマークが表記された登録証)差し替えられます。

 

ただ、一般的には、認証機関が、認定されると、認証組織に対して、登録維持料等の名目に含まれた形で、認証審査費用に加えて、認定登録料も若干ですが、プラスして支払うことになります。

そこで、以前は、レアケースですが、「うちは、非認定の登録証でいい」という組織があり、認証機関が認定を持っていても、「非認定の登録証」を発行するケースがあったのです。

 

しかし、結論から言えば、「2019116日以降」は、このような「認定を持っているのに非認定の登録証を発行すること」はできません。

 

この問題の背景は、

◆認定された認証と、非認定の認証の双方が出回っていることは、市場の混乱を招く

◆非認定の認証が市場に氾濫することで、第三者認証制度の信頼性が損なわれる

という観点から、

IAFメンバー(例:JABUKASANABなど)は認定範囲における非認定の認証を認めるべきではない」

ということになったようです。

 

余談ですが、もともと、この「非認定登録証」については、日本の認証機関の場合は、そういった事例を聞いたことはありませんが、海外では、認定を持っている分野にもかかわらず、認定された認証手順にしたがわない認証プロセス審査を実施して「非認定の登録証」を発行する事例がかなりあったようです。

例えば、良くないですが、例えば、文科省から認定された大学(事例として、卒業したラ文学士の学位が与えられるとする)が、認定された手順を無視したカリキュラムで授業を行い「名誉文学士」を発行するようなものです。

このようなケースは、確かに、市場に対して混乱と信頼性低下を招くでしょう。

 

少々ややこしいのが、

「組織の適用範囲の一部が認定されていて、一部が認定されていないケース」

です。

 

具体的事例としては、「分野28:建設」は認定分野、「分野29:卸売・小売」は非認定分野の場合、適用範囲が、

「土木構造物及び建築構造物の設計、施工及び建設資材の販売」

という組織審査をした場合です。

このケースは、登録証を認定と非認定で分けて発行すれば問題ありません。

つまり、

「土木構造物及び建築構造物の設計、施工」(認定登録証)

「建設資材の販売」(非認定登録証)

です。

 

ただ、「分野18:機械装置」は認定分野、「分野19:電気的・光学的装置」は非認定分野で、組織の適用製品が「機械装置でもあり、電気装置でもある」ようば場合、上記例にようには、「製品が分けられない」ケースが生じます。

この場合は、「非認定分野を拡大しなければ、登録証が発行できない」ということになります。

 

そもそも、世の中の産業は、産業の複合領域で成り立っているものも多々あり、認定区分を「39の産業分類」で実施していることが、ナンセンスな部分もあるかもしれません。

ただ、現状の認定に認証制度上は仕方がありませんので、認証機関はもちろん、これから受審を考えている組織は、このあたりの事情を理解しておく必要があるでしょう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ611号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 08:37
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有価証券報告書に経営計画やリスク、監査法人選定理由の記載が必須に!

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20181227日付の日本経済新聞に、

「金融庁は、有価証券報告書に経営計画やリスクを明記することも求める」

との報道がありました。

 

記事によると、

・取締役会で議論した事業戦略やリスク、株主還元策などを(有価証券報告書に)明記する

・経営の方向性を詳細に示すよう求める

・開示義務のある数値を形式的に示すだけでなく、投資家のニーズにあわせる

・投資家に、企業の将来性などを分析しやすくする

・中長期の投資マネーを呼び込む

といったことが、金融庁の狙いのようでした。

 

仕事柄、監査法人の監査がある規模の企業の経営計画書や有価証券報告書を拝見する機会があります。

ただ、正直な所、経営計画やリスクに関しての説明は書かれているといえば書かれていますが、その計画やリスクの可能性やリスクが顕在化した時の企業や業績への具体的な影響に踏み込んだ分析になっていないものは多々あります。

形式的に一般的に記載すべき事項を羅列している場合もあると思いますが、経営陣の中では、リスクが発生した場合の影響について予測出来ていても、敢えてぼかして記載しているケースもあると思います。

要は、リスクが発生して業績や企業の社会的信用に多大な影響が出ても、それは当時としては想定できなかったことである、と逃げたいからなのかな、と想えるフシもあります。

 

今回の金融庁の決定は、投資家にとって、経営陣に現在の事業環境などの説明を求め、経営陣の資質を含め企業の将来性を判断しやすくなるという点でよいことだと思います。

また、欧米で主流となっている「ESG投資」対応を考えると、むしろ、金融庁の決定は「遅い」感じもします。

 

ESG投資」とは、ご存知のように、環境(environment)、社会(social)、企業統治(governance)に配慮している企業を重視・選別して行う投資のことです。

つまり、環境では地球温暖化対策や生物多様性の保護活動、社会では人権への対応や地域貢献活動、企業統治では法令遵守、社外取締役の独立性、情報開示などを重視して、投資の目安とするわけです。

 

それから、日経の記事には、有価証券報告書の記載事項に「なぜその監査法人を選んだのか」という項目ありました。

個人的には、これは、非常に興味深い記載項目です。

日産のゴーン元会長の件もそうですが、企業不祥事が起きると、世間の目は「監査法人は何をやっていたんだ」となります。うがった見方をすれば、企業に都合の良い監査をしてくれるから選んだんじゃないの?と勘繰ることもできます。

 

さらに個人的な期待を言えば、「マネジメントシステム監査の受審」も上場企業は「必須」とすべきと思います。

ISOマネジメントシステム監査では、企業を取り巻く内部外部の経営環境、利害関係者のニーズ・期待、経営の方向性、経営に関わるリスクと機会について、組織が根拠を持って分析する仕組みと結果を求めています。

投資家の判断材料として、デイトレード専門の人には、あまり必要のない情報かもしれませんが、中長期での投資を考えた場合は、「投資の目安となる重要な情報源」となることは明らかです。

ただ、マネジメントシステムに関する政策を担当している国も関係外郭団体も学者も、こうした戦略を取るセンスには欠けている気がします。残念です。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ626号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 15:05
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ISO認証制度:「一時的サイトのサンプリング」について

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組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISO認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステム審査について、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「一時的サイトのサンプリング」について。

 

ISO認証機関に対する要求事項に、IAF MD1:2018(複数サイトの組織が運用するマネジメントシステムの審査及び認証のためのIAF基準文書)があります。

 

この基準文書では、

3.2.1組織のマネジメントシステムに含まれる一時的サイトは、マネジメントシステムの運用と有効性の証拠を提供するため、サンプリングに基づく審査の対象にしなければならない。」

という規定があります。

 

本社サイト以外に、営業所や配送センターなど、つまり「常設サイト」がある複数サイトでかつ、業務の類似性等よりサンプリングできるサイトの場合、一般的には、

◆初回審査:サイト数の平方根の切り上げた整数

◆サーベイランス審査:サイト数の平方根に0.6を掛けた整数

◆更新審査:サイト数の平方根に0.8を掛けた整数

をサンプリングすることが規定されています。

 

また、サイトサンプリングが適切でない複数サイトの場合は、

◆初回審査と再認証審査⇒すべてのサイトを審査

◆サーベイランス審査においては、サイト数の30%(整数に切り上げ)

を暦年中に網羅しなければならない

と規定されています。

 

このように「常設サイト」の場合は、「MD1:2018」の規定はわかりやすいです。

ただ、この「MD1:2018」には、建設現場やイベントの開催といった「一時的サイト」や通販サイトなどの「仮想サイト」が複数ある場合のサンプリング方法については、(※個人的見解ですが)

明確な規定がされていません。

 

業界の知り合いに質問しても、

「常設サイトと同様の考えでサンプリングすべきでは?」

という人がいれば、

「一時的サイトなどは、認証機関の判断でサンプリング数を決めればいいんじゃない」

という人もいて、業界の専門家でも意見が割れます。

 

一時的サイトのサンプリングについて、常設サイト同様にサンプリングする場合は、

「一時的サイトのサイト数」

をどのように考えるべきか、が焦点になります。

常設サイトは、新設、廃止といったサイト数の変化はあるものの、「審査時点の常設サイト数」は確定しやすいです。

しかし、一時的サイトは、一時的サイトの設置期間が、大規模建設工事のように数ヶ月から数年に亘るものであれば、「審査時点の一時的サイトの数」を特定しやすいですが、「機器の修理やメンテナンスサービス」といった業務であると「一時的サイトの数」は膨大になります、サイト数の特定も難しいかもしれません。

 

また、一時的サイトのサンプリングは「認証機関が適切なルールを設けてサンプリング数を決めればいい」方式の場合である場合は、

「どのような一時的サイトの業務を現地訪問の対象とするのが適切か、またその頻度はどうするべきか」

という点が焦点になると思います。

 

要は、「一時的サイトをどこか、とりあえずどこか見ておけばいいよ」ではなく、

「マネジメントシステムを認証する上で、代表的な一時的サイトは何か、また、業務頻度は低くても、どのような一時的サイトをサンプリングするべきか」

を機関は決めておきましょう、ことになると思います。

 

一時的サイトのサンプリングについては、感覚的には、ほとんどの認証機関が、「後者」の方式を採用していると思います。

その場合、「どのような一時的サイトをサンプリングするべきか」を、例えば、産業分野ごとにある程度決めておくことが、マネジメントシステム認証の信頼性向上のためにも必要なことは言うまでもないでしょう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ612号より)

 

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 11:42
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なぜ41年間もクボタの検査成績書改ざんは続いたのだろうか

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ニュースを聞いた時は、少し「唖然」としました。

それは、「クボタ」が、製鉄所などに納める部品のデータを41年間に亘って改ざんしていたからです。

 

各メディアの報道によると、

・クボタは20189月、金属を加工するための部品「圧延用ロール」の一部などで、取引先に提出する検査成績書に、実際と異なる数値を記載していたと発表していた

・その後の調査の結果、201310月以降に出荷された製品のうち、およそ21%で、「硬さ」を示すデータが、品質基準を満たしているように改ざんされていた

・この改ざんは、41年前の1977年から行われていた

・クボタは、社長ら5人の役員報酬を12月から2カ月間減額する

・監査制度を充実させることなどで再発防止に努める

そうです。

 

ニュース情報を調べてみた範囲ですが、知りたい情報は、

201310月以降の出荷製品の内、約21%で硬さが品質基準を満たしていなかった」

ことはわかりますが、「品質基準からどの程度の外れ」があったのかを知りたいところです。

 

この手の「検査記録不正」があった時に、必ず議論になるのが、「もともと発注者は、厳しめの基準で品質要求してきているから、少しぐらい基準値から下回っても実質的な影響はない」というものです。

 

確かに、ものによっては、そうしたケースもあると思いますが、そうであれば、正攻法で考えれば「特採」を発注者に申請すればいいのです。

 

それにしても、社長の会見をニュースで見て、感覚的な意見ですが、

「謝罪に誠意が感じられない」

ものでした。

 

現在放映中のハラスメントゲームでは、コンプライアンス室長の秋津が、「役員の年収は管理職の4倍ですよ」と役員も会社の厳しい難局に対して身を削るべき、といったセリフを役員会で吐きましたが、今回、クボタのとった措置である「役員報酬の2ヶ月の減俸」では、「とりあえず、責任を取ったよ」という体にしか見えませんでした。

 

日本企業の場合、ジョブローテーションがありますから、内部監査や内部通報制度が機能していれば、41年間に亘って検査成績書のデータ改ざんが見過ごされるわけがありません。

明らかに「多少の書き換えなら問題ない」との「社内での常識化」していたのでしょう。

 

ちなみに、クボタの「圧延用ロール」を製造する部門は、鉄鋼業界に強いISO認証機関が審査を担当して認証書を発行しています。

しっかりと認証審査が実施されていたのか、また、組織がとった再発防止策は妥当で有効性があるのか、といった点をしっかりチェックして欲しいものです。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ622号より)

 

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 07:21
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活動休止中の工場の登録証(ISO認証書)の標記について

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組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISO認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステム審査について、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「活動休止中の工場の登録証の標記」について。

 

今回のテーマでよく話題になるのが、

◆活動休止中の工場の審査の考え方

◆活動休止中の工場の認証登録の有効性の考え方

◆上記における登録証の標記について

です。

 

規格(マネジメントシステムの審査及び認証を行う機関に対する要求事項)JIS Q 17021-1:2015の「8.2.2 認証文書」では、

(規格から引用)

次の事項を明示しなければならない。

f) 該当する場合、各事業所における活動の種類、製品及びサービスの種類に関する認証の範囲、誤解を招いたり不明瞭にならないように明示する。

(引用ここまで)

と規定されています。

 

この規定を受けて、認証機関の手順書でも、たいていは、「登録証(付属書含む)には、サイト名、所在地や個々のサイトに関する情報など詳細な登録情報を明示すると共に、審査登録維持活動に必要な組織の情報を明示する”旨が規定されています。

 

例えば、以下のような組織があるとします。

 

組織名:A株式会社

登録範囲:自動車用金属部品の設計製造

サイト:本社、B工場、C工場

サイトの状況:C工場が2015年から操業休止中

適用規格:ISO9001140012015

 

このような場合、認証機関が、登録証に、

C工場」「現在休止中」

と記載していたとします。

この状況をどのように考えるかですが、

規格では、

「各事業所における活動の種類、製品及びサービスの種類に関する認証の範囲、誤解を招いたり不明瞭にならないように明示する」

ことが規定されていますし、

認証機関での手順書では、

「個々のサイトに関する情報など詳細な登録情報を明示すると共に、審査登録維持活動に必要な組織の情報を明示する」

といったことが規定されているでしょう。

 

認証機関側の主張としては、「申請された内容について、適合性を審査するのが機関の立場である」として、「組織が、登録サイトを、本社、B工場、C工場として申請してくれば、このサイトを除く除かないの判断は組織側であり認証機関はしない」というかもしれません。

 

ただ、認証制度の性質上、認証機関が発行する登録証は、

「認証された組織のマネジメントシステムに関する情報を明示した文書」

であるため、登録情報の有効性という観点において、

「サイトの休止期間の長さと組織の顧客や市場に与える影響を考慮した登録の可否」

について、何らかの判断基準を認証機関として検討することが必要ではないかと思います。

 

要は、

・サイトの活動が登録範囲全体に与える影響と市場への信頼性

・操業休止中の期間の長さ

といった点を考慮して、登録証の標記方法についての考え方を整理する必要があると思います。

 

また、「休止中」だからと言って、「B工場を確認しない」のも審査方法としては、まずいでしょう。

少なくとも、ISO14001としては、休止中ですから、組織側からの聞き取り情報だけではなく、実際に、サイトに訪問して、廃棄物や設備の管理状況を審査する必要があるのはもちろんです。

 

組織の立場として、このような状況がある場合は、認証機関に認証機関の手順を含めて事前に確認しておかれることが良いでしょう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ607号より)

 

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 09:51
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監査のバラツキが許される部分と問題ない部分

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ある企業からの依頼で内部監査員に対する研修会を実施することになりました。

企業からの主な依頼は、

・監査がマンネリ化しているので何とかして欲しい

・監査員の質にバラツキがあるので、レベルアップを図りたい

・監査が適合性中心になっているので、業務改善やプロセスの有効性に繋がる監査にしたい

といったものでした。

 

「監査がマンネリ化」、「有効性の監査ができていない」という課題は、多くの組織の悩みで、このコラムでも、なんどかこうした課題についての解決の一手法は紹介させていただきました。

今回は「バラツキ」について、少し考えてみたいと思います。

 

当たり前の話ですが、例えば、野球の試合で、審判の判定がバラついたら大問題だ、と誰もが思うでしょう。

これを監査に例えて考えると、「バラついたら大問題だ」の「バラつくことはダメ」の部分を分解すると、バラつきには種類があることに気づきます。

 

回りくどいことは止めて、

「バラつきが許されないもの」と「バラつきが許されないもの」を以下に分けてみます。

 

【バラつきが許されないもの】

◆審査対象・範囲

◆要求事項

◆評価した結果(適合・不適合)

 

【バラつきが問題にならいこと】

◆審査スタイル

◆コミュニケーション手法

◆審査トレイル、アプローチ

◆チェックリスト等の作業文書

 

つまり、「バラついてはダメだ」の部分は「バラツキが許されないもの」の話であって、「バラツキが問題にならないこと」は、その組織の監査方針や企業文化・風土の問題はありますが、基本的には、「各監査員に任せていい」部分なのです。

分かりやすい部分は、「コミュニケーション手法」だと思いますが、監査の基本として「被監査側を追い詰めたり、誹謗するようなコミュニケーション」はマズいです。

しかし、プチ雑談を挟みながらインタビューする、とか、現場の方に気さくに話しかけて話しやすい雰囲気を作る、といった方法論は、監査員のキャラクターの部分であって、むしろ、バラつくというか、さまざまなやり方があっていい部分なわけです。

 

こうした監査プロセスで実施することについて「バラツキ不可」「バラツキOK」部分に整理して勉強会を進めないと変なことになると思いますので、注意が必要ですね。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ617号より)

 

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 09:06
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日産が新たにリコールする完成検査の不適切事案に対するトップの責任と認証機関の判断

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2018128日付の「ImoressWatch」が、

「日産、11車種 約15万台を新たにリコールする完成検査の不適切事案について記者会見」

という見出しの記事を報じていました。

 

この記事によると、

・日産では、20179月に表面化した完成検査の不備に端を発する再発防止策で行なっていた自主点検の中で、聞き取り調査で追浜工場とオートワークス京都の2工場で、一部車両について完成検査の合否判定が不明確な可能性があるとの証言を確認した

 

・詳細な調査を行なったところ、後輪ブレーキ制動力の検査やステアリングの切れ角検査など6項目で不適切な事案があった

 

・対象となるのは追浜工場、オートワークス京都で2017117日〜20181025日に生産された11車種約15万台(正確な台数は精査中)

 

・記者会見では、日産自動車の生産事業本部 日本地域担当である常務執行役員 本田聖二氏から発表内容の詳細が解説された

 

・本田氏は新たに発覚した6項目の不適切事案は、再発防止策をより確実に徹底していくため、作業プロセスの詳細な定義を行ない、検査員の確実な理解を点検する全社的な取り組みの中で明らかになった・・・と説明した

 

・再発防止策の強化については、926日付けで日産が発表している「完成検査における不適切な取扱いへの対応等について」で記載し、すでに進めている77項目の再発防止策を着実に実行していくことが重要であるとしつつ、新たに発覚した不適切な事案については、完成検査工程における完成検査員の動作に関する内容で拡大解釈できる余地があること、禁止事項について完成検査員が理解不足だったことなどが大きな要因になっていることから、作業手順を定めた「標準作業書」に禁止事項を追加するといった「禁止事項の周知」、検査ラインに作業の手順が遵守されているか確認するカメラを新設するといった「チェック機能の強化」の2点を追加した

 

・また、今後は明らかになった6項目の不適切事案が物理的に行なえないよう、それぞれに物的対策(筆者注:監視カメラなどを指している?)を用意し、これらによって再発防止策の強化を図る

 

・最後に本田氏は、日産では車両生産などに直接関わる部署に限らず、法規・法令遵守に関する仕組みや体制、プロセスの総点検を全社的に徹底して行なっており、法令遵守の徹底を重要な経営課題に位置付け、問題が発見された場合は責任を持って適切な処置を講じ、あらゆる業務における法令遵守、コンプライアンス意識の醸成と徹底を図っていくとコメントした

 

(記事からの引用、ここまで)

 

127日に、日産自動車が行った記者会見で説明した

・生産事業本部(日本地域担当)常務執行役員 本田聖二氏

・常務執行役員 平田禎治氏

の会見をYouTube等で直接見たわけではありませんが、記事を読む限り、

・不正が起きた背景

・不正による影響

・再発防止策

・今後の社内体制改善・改革の方向性

といったことについて、よく説明されていて、わかりやすい、との印象を持ちました。

 

ただ、「なぜ企業トップである西川廣人社長がお詫びや説明をしないんだ」という感じもします。

確かに、実質的な生産部門の責任者は、本田氏なのかもしれません。

また、事情に精通しているので、部下が用意したペーパーを読み上げる、という信頼性の低い説明責任を果たせない会見をすることもないでしょう。

しかし、やはり、詳細説明は本田氏が説明するとしても、相次ぐ新たな不正発覚について、トップが説明しに来ないのは、やはり、世間の信頼回復には程遠い出来事だと思わざるを得ません。

 

ちなみに、ISO認証機関は、どんな対応を取るのでしょうか?

これまでの不祥事に対する会社の説明や再発防止策では不十分で、膿ができっていなかったわけですが、どういう判断をするのだろう??と思います。

 

当たり前の話ですが、ISO9001は「製品要求事項、顧客要求事項、利害関係者の期待、ニーズを満たす製品を生み出す仕組みを保証する制度」です。

とても、顧客要求や利害関係者の期待を満たす仕組みが有効に機能しているとは言えるはずもない状態であり、・・・いっそのこと、認証一時停止、いや、取り消しに相当する事案なのではないかと思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ623号より)

 

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 07:45
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ゴーン氏不正の原因を長期政権、権力集中、人柄だけにしてはいけない

JUGEMテーマ:ビジネス

 

多くのメディアが報じたように、日産自動車は、1122日に開催された取締役会で、カルロス・ゴーン氏の会長職を解くとともに、ルノーとの提携の維持を確認したそうです。

ただ、実際には、「水面下では提携関係の見直しが進んでいる」そうです。

 

取締役会の決定をニュースで聞いて、少々驚いたのは、逮捕されたゴーン氏とグレッグ・ケリー氏以外の出席した7人の取締役がゴーン氏の会長職解職を全会一致で決めたことです。

日産の取締役は、9人おり、構成としては、日本人5人、外国人4人で、内部外部で分けると、内部からの取締役が6人、社外取締役が3人です。

別の切り口で見ると、ルノー側が送り込んだ取締役は、ゴーン氏を含めて3人いますので、出席7人の内、2人は、「ルノーのご意向に沿った議決」をするはずです。

 

ゴーン氏逮捕翌日の11月20日に、ルノーでは、ゴーン氏の続投が決められていたので、当然、少なくともルノー側取締役2人は「会長職解職議案に反対」をするはずです。

しかし、「解職やむなし」の判断をしたということは、ゴーン氏の不正が、客観的に見て、想像以上に酷く、逆にこの状況で解職に反対すれば、「取締役としての機能を果たしていない」との判断も働いたのかもしれません。

 

今回のゴーン氏逮捕については、

・ルノーに日産が飲み込まれないために、経産省、検察、日産3者共同の陰謀説

・完成車検査不正対応やゴーン氏の法外な報酬に対する日産側の怒り爆発説

などがきっかけ、とワイドショーや週刊誌が喜びそうな真相が隠されているのかもしれませんが、私の最大の関心事は、「こうした不祥事が起きないために必要な再発防止策は何か?」です。

 

まだ、しっかりと、日産の組織体制やマネジメントシステムを調べたわけではありませんが、

・取締役指名委員会の機能不全

・取締役報酬委員会の機能不全

・ルノー、日産、三菱自動車3社のアライアンス関係

・ゴーン氏がアライアンス3社の会長を務めていたことによる権力集中

・有価証券報告書の社内チェック体制の機能不全

・会計に関する内部監査と外部監査の機能不全

などについて、メスを入れる必要があることは間違いないでしょう。

 

それにしても、月並みですが、「アライアンスは永遠ではない」ということです。

提携(アライアンス)は、提携企業毎に「思惑」があり「メリットがある」から成り立つものです。

つまり、「メリット・デメリットのバランスを欠いた時」に、それが解消できなければ、一気に不満が爆発するわけです。

日産のケースは、

・ゴーン氏がルノーと日産のトップについていたこと

・ルノーが日産の株式を43%保有していること

から、「アライアンス解消」ということを日産はできませんでした。

しかし、日産がルノーの完全子会社であったら、「会社(日産)がヤバい時に支援してくれた恩人(ルノー)だけど、今は、俺たちの稼ぎも技術も吸い上げられているだけ」と不満を感じても、どうしようもなかったでしょう。

 

アライアンスが解消できる関係で、かつ、ゴーン氏の不正期間が限定的であれば、おそらく「ゴーン氏の不正が内部告発され逮捕」という事態にはならなかったのではないでしょうか。

あまりにも、長期間、トップに君臨し続けて、ガバナンスが利かなくなっていたことが、今回の問題であることに間違いはありません。

ただ「権力集中」や「長期政権」だけを「不祥事の原因」にしては、本質的ではありません。

前述したような、組織のマネジメントシステムについても、しっかり、メスを入れて欲しいものです。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ621号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 07:53
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食品安全マネジメントシステム認証審査における「改善の機会の禁止」の影響

JUGEMテーマ:ビジネス

 

ご存知の方も多いと思いますが、食品安全マネジメントシステム規格のひとつに「FSSC 22000」があります。(Food Safety System Certification

FSSC」とは、オランダのFFSCThe Foundation of Food Safety Certification:食品安全認証団体)が、ISO 22000ISO/TS 22002シリーズを組み合わせて開発した規格です。

 

FSSC 22000の構造をざっくり言えば、

1)PRP(前提条件プログラム)を定める

2)危害分析を行って、管理すべき点を明確にする

3)HACCPプラン等により管理する

という構造です。

 

私の理解ですが、食品安全マネジメントシステムとしては「ISO22000」がありますが、なぜ「FSSC22000」が多くの食品産業関連企業に要求されているかといえば、イオン、コカコーラ、ウォルマート、英テスコ、仏ダノンなどといっら世界の食品大手や流通大手企業約650社が加盟しているGFSIGlobal Food Safety Initiative)が、自社の取引先のレベルを一定以上であることを確実にすることを目指しているからです。

そして、FSSC22000は、GFSIに認められた認証スキーム規格だからです。

 

ISO 22000FSSC22000との違いを簡単に説明すれば、FSSC 22000の方が、すべき項目がより具体化されています。

特に、「前提条件プログラム」の内容については、ISO 22000では、各組織が自由に前提条件プログラムを選ぶことができまます。

しかし、FSSC 22000ではISO 22002シリーズを採用することが定められています。

そして、ISO 22000ではカバーできなかった食品安全対策(フードテロ、アレルギー物質の管理など)が定められていることも、大手食品会社が要求する理由のひとつでしょう。

 

さて、このFSSC22000ですが、規格(第IV -附属書III:不適合の格付け)で、

「認証機関は不適合を以下の3段階に格付けする」ことが要求されています。

a) 軽微な不適合

b) 重大な不適合

c) クリティカルな不適合

そしてさらに、

FSSC22000 審査において、改善の機会を使用することを禁止する」

という要求事項もあります。

 

これも私の理解ですが、「改善の機会」というのは、「審査を受ける組織にとってはもちろん、認証審査チームにとっても便利な指摘ツール」です。

その理由は、一般的に、審査を受ける組織からすれば、「どうせ審査を受けるのであれば、外部の専門家に問題点を指摘してもらって、顧客から信頼される仕組みを構築し、改善していきたい」と思うのは当然です。

しかし、その一方「指摘はありがたいが、是正処置を実施するとなると、調査、原因究明、再発防止、教育訓練など結構大変」と組織は考えます。

つまり、是正処置要求を義務としない「改善の機会」は、組織にとってありがたいわけです。

 

また、審査側にとっても、不適合指摘を出すとなると、しっかり証拠集めをして、十分な確信をもって指摘する必要が出てきます。

しかし、認証審査の時間は限られた時間内にいろいろなことを聞かなければなりません。

そのため、「問題点になりそうだなぁ」というものも、審査の中で、時間切れ、組織の説明不足や資料開示遅れなどで、しっかりとした「白黒」(適合か不適合)が判別しなかったものを「改善の機会」とすることができたわけです。

 

でも、FSSC22000では「改善の機会」が禁止されました。

理由は「ソフトクレーディング」といわれる「指摘すべきものを格落ちさせて不適合としない」ことを防止することが狙いでしょう。

理屈で考えれば「認証機関が不適合を指摘せずに審査を終了する」ことは、顧客(GFSI)からすれば、「勘弁して欲しい、取引際に要求する一定のレベルが担保できないじゃないか」となります。

 

しかし、「改善の機会の禁止」により、おそらく、認証機関の審査員の判断としては、

・不適合っぽいが確認が持てる証拠が収集できなかったから改善の機会にしておこう

・本来改善の機会でもいいレベルだが、禁止されているから格上して軽微な不適合にしておこう

という判断が起きると思います。

つまり、改善の機会として表面化していたものが「軽微な不適合になる」(ある意味、格上)か「改善の機会自体を口頭など公式には残らないもの」(ある意味、格下げ)にするかに分かれると思います。

 

少し怖いのは、「よくよく調べてみたら不適合ではないのに不適合と判断してしまったケース」でしょう。

予想としては「認証機関が不適合として判断したが、組織が後々調べたら不適合ではありませんでした」という是正処置回答が機関に提出されるケースが生じるのではないか、と思います。

 

したがって、認証機関側、受審組織側は「改善の機会の禁止」によって生じる可能性を想像し、理解して、対処する必要が出てくると思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ619号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 07:31
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