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かんぽ生命の悪質な契約問題の原因はマネジメントシステム

JUGEMテーマ:ビジネス

 

日本郵政の職員が、かんぽ生命の契約で、契約者が不利益な契約を行っている問題の報道が連日のように報道されています。

 

この問題の詳細がわかってくると、こうした「悪質な契約問題発生の原因」は、日本郵政の営業ノルマの仕組みにあることがわかってきました。

 

今回の悪質な契約問題は、ざっくり、2種類あります。

それは、

1)新規契約を締結し、旧契約も維持しつつ、7ヶ月目に解約させる

2)既存の契約を解約し、4か月後に新規の契約を結ばせる

というふたつです。

 

顕在的な不利益として、前者は、

・契約者は2重払い期間が生じる

という問題が発生し、後者は、

・無保険期間が生じる

・病気などが理由で新規保険に加入できない

という問題が発生しています。

 

なぜ、このような「契約手続き」を日本郵政の職員は行っていたのか?

それは、前者のケースは、

6ヶ月以内に旧契約が解約されると新規契約が「新規契約」としてカウントされない

・したがって、営業成績にカウントされず、課された営業ノルマが達成されない

という理由で、後者のケースは、

・保険解約後3ヶ月以内の同一契約者の新規契約は「新規契約」としてカウントされない

という理由があるからです。

 

話は少しそれますが、感覚的には、おそらく、日本郵政の営業職員には、

・新たな新規契約を取るのは難しい

・新たな契約を取るより、既存契約者を利用して「新規契約」を作ることはノルマの為に賢明

・ただ、新規契約は欲しいが、契約者が新規契約条件を満たさないと無保険になってしまう

・無保険期間が生じてその間に保障が受けられないと契約者からクレームが出る

・・・

といった心の中での葛藤、があったでしょう。

 

この問題が悪質なのは、

・日本郵政グループに対して信頼感を抱いている高齢者を実質的にだましている

・長年の地域的な付き合いから、顧客の家庭・経済状況を把握した上での勧誘である

という点です。

 

「保険勧誘時は、一応、重要事項を説明しているのだし、契約者も同意の署名をしているからかんぽ生命側がだましたわけではなく、ちゃんと確認しなかった契約者が悪い」

という論法をおっしゃる方もいますが、それは少し違うと思います。

一般的に、生命保険の仕組みは複雑ですし、民営化されたとはいえ、信頼を寄せている実質的に現状、国が経営している日本郵政グループの保険だからお勧めされた通りに契約します、という契約者もいたでしょう。

 

さて、この問題ですが、責任問題を考えた場合、

・強引な乗り換え勧誘をした営業職員が悪い

・営業ノルマのカウント方法を設計した組織が悪い

・顧客の利益より営業ノルマを達成した者が出世できる制度を作った組織が悪い

といった「悪い」があると思います。

 

コンプライアンスを考える上で、「不正誘引」という考え方があります。

この「不正誘引」という考え方であれば、直接的に「強引な勧誘(詐欺に近い)に手を染めた」のは、営業職員ですが、悪いのは「不正を誘引しやすい制度設計を作った組織とそれを承認した組織幹部が悪い」と考えることができるでしょう。

 

私は以前、中堅生命保険会社の経営コンサルティングを5年ほど担当していたのでわかりますが、民間の生命保険会社では、

・何が何でも新規契約獲得という価値観は薄れた

・営業成績に顧客満足度を加味するようになった

・乗り換え契約の場合、不正な勧誘がなかったか監視している

といった仕組みが確立しています。

つまり「マネジメントシステム」として、今回のかんぽ生命のような問題は、発生しにくい仕組みが構築されているわけです。

 

それにしても、現在の日本郵政グループの経営陣は、旧郵政省出身者や日本郵政出身のたたき上げの方もいるのかもしれませんが、大手銀行や生命保険会社出身者もいます。

なぜ、民間出身者もいるのに、このような営業ノルマや出世に繋がる業績評価制度が作られてしまったのか、疑問が残ります。

いずれにせよ、今の時代のコンプライアンスで考えれば、「組織の営業ノルマや報酬・人事制度設計」に欠陥があることは間違いありません。

金融庁は、するどく切り込んで、かんぽ生命の再発防止策とその実行をチェックしていって欲しいものです。

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 17:05
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リスク評価と順守評価を考える上での思想

JUGEMテーマ:ビジネス

 

一般的に「企業リスク」というと、以下のような事例を説明している参考書が多いようです。

 

【企業リスクの7分野】

◆事故・災害リスク

自然災害(地震、水害、落雷など)、火災、爆発、交通事故、労働災害、通信途絶、コンピュータダウンなど

◆訴訟リスク

製造物責任訴訟、知的財産権訴訟、環境汚染の発生、利益侵害による訴訟、規制違反等による

罰則の適用など

◆財務リスク

投機失敗、不良債権の発生、企業買収、株価の急変、資産の陳腐化など

◆経済リスク

金利変動、為替変動、税制改正、金融不安全般など

◆労務リスク

雇用差別問題、セクハラ・パワハラ、役職員の不正、スキャンダル、求人難、リストラ、労働争議など

◆政治リスク

戦争、革命、動乱、制度改正、貿易摩擦、非関税障壁、外圧など

◆社会リスク

企業脅迫、誘拐、テロ、機密漏洩、産業スパイなど

 

企業でリスクマネジメントを実施する場合は、上記に挙げた「7分野」を参考にしながら、なんといっても、まずは「組織の状況の把握と確定」が必要になります。

要は、

・組織が置かれている状況を整理する

・管理を適用する範囲を明確にする

・どの程度のリスクであれば重要なリスクと考える基準を決める

といったことをすることが、「はじめの一歩」です。

 

その次に実施することは、「リスクの特定」です。

詳細は専門書に譲りますが、一般的には、「リスク分析シート」を使って、

・各部門の業務プロセスを洗い出す

・プロセスにおいて、何かどのように発生するか洗い出す

・リスクの重要度を評価する

という流れになります。

リスクは、いろいろな視点で洗い出すことが必要なので、事務局部門がせっせと洗い出すというようなことよりも、各部門関係者が集まって、ブレーンストーミングで洗い出しをすることが必要です。

 

私の経験では、「洗い出しの段階ですでにリスクを選別している」ケースがあるように思います。

つまり「リスクの特定」の段階で、すでに、リスクが「管理するべき候補」に絞られているケースです。

結果的に、管理すべきリスクは、同じになるかもしれませんが、個人的には「想定しうるリスクを洗い出して特定しておく」ことがベターだと思います。

「状況の変化」で現在は、管理対象のリスクとはしなくても、将来的にはリスクが大きくなり、管理が必要になるケースもあります。

したがって、「リスクの洗い出しの段階では重大性が高い、発生頻度が高い」というものだけでなく、レアケースでもできるだけ洗い出しておくことがいいと思います。

 

話は若干逸れますが、環境マネジメントシステムを構築する場合、「法規制の順守評価」という要求事項があります。

簡単に言えば、「組織に関係する(環境系)法規制を明確にして、順守評価しなさい」というものです。

この順守評価も「現在該当する法規制等を明確にして順守記録を残しておけばいい」という発想があります。

しかし、個人的には、これでは、法規制管理に関するリスクマネジメントの観点からは、弱いと思います。

 

環境マネジメントの法規制順守も、リスクマネジメントと同じように、各部門の業務プロセスから関連する法規制等を洗い出す作業が「はじめの一歩」です。

その過程で、例えば「行政に届出が必要な特定設備」が洗い出されてきたとします。

ただし、設備の出力が法令の基準より低ければ、「届出が必要ない」わけですが、だからといって「順守評価表からこの法制を外すこと」はどうでしょうか?

順守評価を狭義に捉えれば「該当設備でないから評価表に記載する必要はない」ということになります。

 

しかし、製造能力をアップするために、設備を大型のものに入れ替えれば「該当」するわけです。ですから、順守表に含め、「届出の必要な該当設備に該当しない」と確認記録をつけておけばいいと思います。

もちろん「設備を入れ替えた時に、法規制に該当すればその時点で順守評価表に追加します」という考えもあるので、「現在該当する者だけ評価表には入れる」という発想はダメではありませんが、経験上、状況が変化した際に対象法規から漏れ落ちているケースが多いのも事実です。

 

個人的には、リスク分析の場合も、環境法規制の場合も「組織の業務プロセスとして可能性があるものは土俵に挙げておき、管理対象か否かはその後検討する」という思想の方が管理上はいいのではないかと思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ591号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 08:27
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検査データの書き換え(改ざん)不正は認証審査で予防できたのか

JUGEMテーマ:ビジネス

 

組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「検査データの書き換え(改ざん)不正は認証審査で予防できたのか」について。

 

ここ数年、ISO認証企業について社会を揺るがしている不祥事や不適切問題の代表格は、

「各大手製造メーカーにおける検査データの書き換え(改ざん)問題」

です。

 

結論から言えば、この種の「不祥事等」の原因の殆どは、

・工程能力の把握とフィードバックする仕組みが甘かった

・不正が発生しにくい仕組み、かつ、不正を行っても発見することが困難な仕組みだった

・品質保証に対する経営層の関心が薄かった

・品質保証部門の責任者が兼務など多忙で現場の把握と力量の適正に欠けていた

・検査測定装置の管理が不十分だった

・不祥事を起こさないために経営層と従業員とのコミュニケーションが円滑でなかった

・内部監査が十分に実施されていなかった

・・・・・

といった原因が主なものです。

 

では、不祥事等が発生、あるいは内部通報などにより表ざたになる前に、第三者審査を通じて見つけることができたか否か、が多くの人の関心事だと思います。

第三者機関(認証機関)の審査員は、当然捜査権はありませんし、不祥事発生後の臨時審査ならともかく、通常のサーベイランス審査や更新審査では、「性善説」で聞き取りしていますから、組織から提出されたものを見聞きしているだけでは、審査を通じて問題を見つけることは無理でしょう。

 

ただ、前述したような「不適合原因」の可能性を、審査を通じて組織に審査員がうまく示唆することは、組織の現況を調査していく中で、可能だと思います。

例えば、組織の検査装置が「手入力」のシステムであれば、「書き換えの可能性」がありますし、品質保証部長が本社の役職と兼務で工場に週2日程度しかおらず、かつ技術畑出身者でなければ「品質の責任者として適切に機能していない可能性」を、審査を通じて組織に「気づかせる」ことは可能でしょう。

 

こうして考えると、組織審査をするために、その組織が提供する製品の製品特性、品質特性、関連法規を審査員が知っていることは当然の力量ですが、「どんなリスクが起こり得るか」を想定する事前準備とインタビューセンスが「検査データの書き換え(改ざん)不正」に関する未然防止や組織への気づきを促す審査のポイントである、と思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ636号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 08:38
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ISO認証制度:一時的サイトの審査

JUGEMテーマ:ビジネス

 

組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「一時的サイトの審査」について。

 

ISOマネジメントシステムの審査は、大雑把に言って、初回登録時は、文書によるマネジメントシステムの構築状況の確認と組織の業務活動を実際に行っている現場における作業や記録、聞き取りによる確認によって行われます。

その後は、大きな組織またはシステム変更、あるいは事故や報道になるような品質問題など企業不祥事が発生しなければ、1年に一度、組織の変化点や継続したマネジメントシステムの運用状況の確認(一般的に定期審査や維持審査、サーベイランス審査という)が実施され、3年毎に再認証審査(更新審査)が実施される仕組みです。

 

一般的に、製造業の場合は、審査対象となる組織の事務所がひとつの敷地内に、例えば、事務棟や第一工場、第二工場・・・第一倉庫・・・という具合に立地されているので、審査は、経営者や事務局に対する聞き取りを会議室で実施し、総務部門、設計部門、製造部門、出荷部門などは、それぞれの執務場所に訪問することが容易です。

 

ただ、製造業でも「建設業」の場合は、設計や積算、資機材の管理などを除けば、住宅工事や下水道配管布工事など、発注者が指定する現場で主な業務が実施されます。

ISO認証審査の世界では、このような現場のことを「一時的サイト」といいます。

ちなみに、IAF MD5:2015では、一時的サイトの定義は、

「依頼組織が限定された期間内に、特定の業務又はサービスを提供する(物理的又は仮想の)場所で、常設サイトになることが意図されていないものである。」

とされています。

 

さらに、IAF MD5:2015では、「一時的サイト」について、

 

「認証の申請者又は認証を受けた依頼者が、その製品又はサービスを一時的サイトにおいて提供している状況では、そのようなサイトは、審査プログラムに組み込まれていなければならない。」

 

「一時的サイトは、大規模なプロジェクトマネジメントサイトから小規模なサービス/据付サイトまであり得る。このようなサイトを訪問する必要性及びサンプリングの程度は、QMSが製品又はサービスアウトプットの管理に失敗するリスクの評価、又は依頼者の運営管理に伴いEMS が環境側面及び影響管理に失敗するリスクの評価に基づいていることが望ましい。(以下省略)」

 

という規定があります。

 

話を少し戻しますと、このような「一時的サイト」について、IAF MD5が規定される以前は、認証機関や担当する審査員によって「ケースバイケースで一時的サイトを訪問」して審査を実施していた、ケースも多かったように思います。

よく言えば「臨機応変」ですが、悪く言えば「審査計画した時期に現場があったら訪問する」という場当たり的な認証機関もありました。

 

今では、このIAF MD5の規定がありますから、認証機関は、審査プログラムの中で、訪問頻度や現場の規模や工種を計画して、事前に工事一覧表を組織から提出してもらって、前もって、審査計画に一時的サイトの訪問を組み込んでいます。

 

一時的サイトについて「建設業」の場合(特に工期が一定期間あるプロジェクト)は、比較的、認証機関も審査を受ける組織も「分かりやすいケース」なので、あまり問題はありません。

議論となるのは、「小規模なサービス、または据付サイトなど」の一時的サイトです。

 

一時的サイトの業務として、具体的に思いつくものを挙げれば、

・ビルメンテナンスなど清掃業

・警備業

・製造業における据付や保守メンテナンス

・水道メーター、ガスメーター、電気メーターなどの検針業務

・依頼者の敷地にある電気工作物など法律に基づく点検、検査、試験

・訪問医療、健康診断、介護

・運送業、航空貨物・海運業における積込、荷降ろし、運行中

・鉄道、航空、バス、タクシー、船舶などの旅客サービス

・情報システムの運用管理・保守メンテナンス

・税理士など士業、専門コンサルタントの巡回指導

・イベントの開催、開催支援サービス

・外部の会場を使用して実施する講演会、講習会、セミナー

・塾の訪問指導

・自動車教習所の路上教習

・環境調査、地質調査(ボーリング)、測量など

・保険サービス

・・・・・

など、ありとあらゆる業種について一時的サイトは発生します。

 

ただ、IAF MD5によれば、

・製品又はサービスアウトプットの管理に失敗するリスクの評価

・環境側面及び影響管理に失敗するリスクの評価

に基づいて訪問の必要性やサンプリングの程度を計画してください、とあります。

つまり、「その組織において発生する一時的サイトすべてを毎回訪問しなさい」ということではありません。

ざっくりいえば、

「訪問しないことで認証の信頼性が損なわれる」

「組織のMS上の問題が発生した場合、訪問審査していないことがリスクとなる」

という点を考慮して、訪問の有無と頻度を決めてください、ということになります。

 

私の個人的感覚では、認証機関は、建設業やビルメンの清掃現場は、審査プログラムで一時的サイトを明確にし、審査計画にあらかじめ組み込んでいるケースが多いですが、その他の上記に挙げたような一時的サイトは、そもそも「一時的サイトとして認識していない」ケースも多いように感じます。

また、組織に「一時的サイトがある場合は現場リストを出してください」と認証機関が依頼するケースがありますが、そもそも、組織も一時的サイトは「建設現場のような場所」としか認識していないケースもあります。

 

訪問するしない、あるいは、訪問頻度や訪問した際に何を見る(審査する)べきか、という議論以前に「個々の組織毎にどのような一時的サイト(発生の可能性を含めて)があるか」をまずは、整理して、適切な審査プログラム作りに反映させていくべきなんでしょうね。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ631号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 07:43
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弁当ガラは事業系一般廃棄物なのか産業廃棄物なのか

JUGEMテーマ:ビジネス

 

よく環境マネジメントシステムのコンサルティングをしているときによく受ける質問として

「従業員が排出する弁当ガラは、事業系一般廃棄物ですか?それとも、産業廃棄物ですか?」

というものがあります。

 

排出する場所、シチュエーション、などにより解釈は異なる場合もありますが、結論から言えば、

「行政の解釈はさまざまです」

というのが結論です。

 

ただ、それでは、質問してくれた方が所属する組織は困ってしまいます。

そこで、一般的な考え方は、示しています。

 

まず、首都圏の自治体の判断ですが、

 

【東京都】

「産業廃棄物」である。

ただし、排出場所の市区町村が事業系一般廃棄物として引き取ると言えば、事業系一般廃棄物として処理されることもある。

 

【千葉県】(政令指定都市の千葉市、船橋市、柏市を除く)

「事業系一般廃棄物」である。

従業員の生活の延長線上で排出されたものと解釈している。

 

 

【神奈川県】

「排出責任がある事業者の判断」である。

事業系一般廃棄物か、産業廃棄物かの判断は排出責任を持つ事業者の判断による。

ただし、一般廃棄物と判断した場合にそれを一廃として受け入れるかの判断は市区町村の施設によるため、市区町村が一廃として認めなければ産廃として処理すべきである。

 

となっています。

 

個人的には、排出者としては困ってしまいますが、コンサルタントの立場から言えば、「神奈川県の見解」がまさにその通りだろうな、と思います。

 

基本的に、事業系一般廃棄物は、市町村が処理します。

したがって、市町村が保有する処理施設に余裕があれば、例えば、家庭ごみをプリペイド袋で排出するのと同様の方法で事業者の廃棄物も引き取るでしょう。

しかし、事業者の従業員規模が多い、あるいは、市町村の施設が家庭ごみを処理することで満杯、という状況であれば「産業廃棄物として処理してください」と市町村は判断すると思います。

つまり、「市町村の状況による」というのが、実態だと思います。

 

個人的見解ですが、県や市町村の見解を横において、排出者だけの理屈でいえば、「会計処理と連動して考えるのが道理」だと思います。

つまり、弁当ガラであっても、「会社行事」や「顧客との打ち合わせ」など「業務上生じた弁当ガラ」は、会計処理的には「経費扱いの弁当」ですから「産業廃棄物」。通常の昼食など「生活の一部として生じた弁当ガラ」は「事業系一般廃棄物」として捉えるのが妥当な気がします。

 

それから、応用編ですが、オフィスビルの場合を考えると、これがまた、自社ビルから排出する場合とは異なります。

これも一般論ですが、オフィスビルにテナントとして入っている場合、通常は、そのオフィスビルの管理会社が指定した処理業者へ廃棄物を委託することが一般的です。

つまり、管理会社が契約した業者が「弁当ガラ」は「事業系一般廃棄物」として引き取ります、なのか、「産廃扱いとして引き取ります」と考えるかによって、いずれかの区分で一括処理されます。

したがって、仮に、テナントとして入っている企業が、自社ルールで「事業系一般廃棄物」あるいは「産業廃棄物」と決めて排出しても、事業者の考えとは異なった処理をされる可能性があります。

ビル所有者、あるいはビルの管理会社目線で考えれば、「処理費用を安くしたい」でしょうから、廃棄物処理を委託する業者の処理費用が、事業系一般廃棄物と産業廃棄物のどちらが安いかで、判断するか、あるいは、業者のいいなりで区分を決めて各テナントから排出されたごみを一斉処理しているのが現状でしょう。

 

おそらく、テナント企業は「ビル管理会社にごみの処理は任せている」という意識でしょうし、ビル管理会社も「委託業者に任せている」という程度の意識だと思いますが、理屈で考えれば、排出者はテナントビルの場合「ビル所有者あるいはビル管理会社」なので、はっきりとした理屈と意思をもって処理方法を決め、各テナントにも処理方法を明確にして、周知する必要があるでしょう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ616号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 06:48
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ISOマネジメントシステム認証組織の不祥事

JUGEMテーマ:ビジネス

 

マスコミ報道で組織不祥事のニュースが流れると、認証機関は、「その組織を認証しているか」、認証している場合は、「不祥事は、認証範囲内か否か」を調べています。

そして、認証範囲に関する不祥事であった場合は、組織に対して特別審査等を実施し、認証取消または、認証一時停止、という対応を取ります。

 

「認証取消」または「認証一時停止」という対応の違いは、不祥事が社会に与える影響や不祥事内容の程度によって、認証機関によって判断は分かれるようです。

一般的には、「取消」となるか「一時停止」となるかの判断は、次のような基準がもとになるようです。

 

取消:組織が提供した情報に虚偽の事項又は事実に反する重大な事項があった場合

一時停止:組織のマネジメントシステムの有効性に重大な疑義が生じた場合

 

つまり「故意の虚偽説明が行われた」か「不祥事が過失的なもの」かということです。

また、「組織ぐるみ」か「一個人の故意によるもの」かという判断も加わるようです。

 

このようは組織不祥事に対する対応措置の背景は、経済産業省が2008年7月29日に公表した「マネジメントシステム規格認証制度の信頼性確保のためのガイドライン」を受けて、各認証機関は定めているようです。

http://www.jisc.go.jp/mss/20080729002.pdf

 

認証機関によって、取消または、一時停止になった組織情報は、認定機関である公益財団法人日本適合性認定協会(JAB)に報告され、JABおよび認証機関のウェブサイトで公表されます。

https://www.jab.or.jp/news/2018/121900.html

 

ISOマネジメントシステム認証組織における不祥事については、前述したような流れで、当該組織は調査され、「認証継続」、「認証一時停止」、「認証取消」の判断がされます。

ただ、逆説的ですが、「認証一時停止」や「認証取消」になる組織は、ある意味「まとも」(まじめ)です。

認証機関はもちろん、顧客や私たち一般市民にとって厄介なのは「事実が見えなくなる」ことです。

 

どういうことかというと、認証の一時停止や認証の取消という対応措置が下される組織は、「不祥事発覚後に機関から何らかの調査が入り、事実確認をされた上」で決まります。

つまり、「しっかりと不祥事に対して組織は認証機関に説明をしている」わけです。

 

しかしながら、「不祥事が発覚」し、認証機関からの調査依頼がある、または調査依頼がある前に自ら「認証返上」するケースがあるのです。

その場合、「認証返上」した組織に対しては、機関の立場では、審査契約がすでにないので、調査ができません。

そして、認証返上した組織は、こっそり他の認証機関で、新規申請をして、「新たにISO認証を受ける」というケースもあるようです。

 

このような場合、組織不祥事が、大きくマスコミ報道されていれば、申請を受け付ける認証機関は、コントラクトレビューの段階で、警戒し「申請非受理」となるかもしれませんし、「受理」したとしても、慎重な認証審査をするはずです。

 

しかしながら、組織が公表を控えるなどで「不祥事がマスコミ報道では報道されない」ケースもあります。

例えば、製品データ改ざん問題があった三菱マテリアルが「2018年5月10日」に行った記者会見では、

「グループ会社数社で製品データの改ざんを含む新たな不正が見つかった。しかし、顧客と安全性の確認が済んでいるため、会社名や不正の内容など詳細は公表しない」旨

を発表しました。

つまり、すでに公表されている三菱マテリアルの子会社である三菱伸銅、三菱電線、三菱アルミ、立花金属工業、ダイヤメット以外の関連会社は、ある意味「社会に対して隠蔽」したことになります。

このようなケースであると、「不正があった組織」は公にならないので、認証機関は調査しようがありません。

 

三菱マテリアルのケースでいえば、「顧客との安全性の確認が済んでいる」ことを理由に「新たに不正が発覚した子会社の公表を控えた(隠ぺいした)」わけですが、マネジメントシステム認証の世界の理屈でいえば、「マネジメントシステムの仕組みの見直し」を実施して「仕組みの有効性が確認できる」状態でなければ、「認証」(新規登録、継続、更新)はできないです。

要は、三菱マテリアルのように「顧客との安全性か確認できているんだからいいだろ」では、困るわけです。

 

認証機関としては、組織が「不正があった」と公表あるいは、マスメディア報道で問題が明らかになってから「調査」というステップになるので、隠された事実は調べようがありません。

防衛策の案としては、認証機関は、審査を通じて、常に「この1年間で検査データ書き換えなど不正はありましたか?」聞くしかないと思います。

そして、後々に「社会に公表されていない不正があったことが判明した」場合は、「審査契約違反である」ことを理由に、取消や一時停止が、できるわけです。

 

ただ、事実を隠されてしまうと、認証機関は、相当な独自調査力がないと、無力だな、と思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ625号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 05:13
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マネジメントシステム審査員(MS要員)認証機関の統合

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「平成」も残すところあと約1週間。

新聞や雑誌、テレビでは「平成」を振り返る特集が目立ちます。

私自身は、ふだんは、「西暦」を仕事では使用しているし、「元号」だとできごとや人物を調べる際に「何年前」、「何歳」などがわかりにくいので、西暦でものごとは考えることが多い。

したがって、メディアが特集を組んで振り返るほどの「平成」に対する熱量はないかもしれません。

 

そうは言いつつも、平成を振り返る特集は、ついつい見てしまいます。

新聞で「日本の金融機関」について、平成を振り返る記事がありました。

詳細は記憶していませんし、金融機関とは、仕事上、縁が深いわけではありませんが、「平成の時代に銀行の数が極端に減った」というのは、素人目にもはっきりしています。

 

日本の銀行は、ご存知のように、

・バブル景気が崩壊した1990年代以降、殆どが過剰融資による不良債権で経営体力を失った

・不透明な融資体制や護送船団方式により国際競争力が喪失した

1997年には北海道拓殖銀行と証券会社の山一證券が破綻した

1998年には日本長期信用銀行と日本債券信用銀行が破綻した

・これらを契機に「大手銀行の経営不安」がささやかれるようになった

1999年以降、銀行の再編が急激に進んだ

・銀行再編により、規模の経済性、多角化による経済性、コスト削減効果が期待された

1980年代は、「都銀13行」「大手20行」といわれていたが、現在は4大銀行になった

(※4大銀行:三菱東京UFJ、みずほ、三井住友、りそな)

という変遷をしてきました。

 

銀行の統合によるメガバンクの誕生は、

・欧米のメガバンクと競争できる国際金融ビジネスを展開できる銀行ができた

・ペイオフに対して、問題銀行の経営危機に対する不安が解消できた

・メガバンクの信用力がさらに上がった

というメリットはありました。

 

ただ、これは、「金融庁や銀行側の理屈」によるメリットです。

企業や個人については、「目に見えるメリット」はあまりないように思います。

銀行や関連企業に勤務していた人の立場で考えれば、各銀行とも大規模なリストラを実施しており、メガバンクの誕生で、新たな雇用機会が生まれたという話は殆どありません。

また、銀行の支店や出張所の統廃合により、経営効率は上がりましたが、ユーザーの利便性は損なわれた面もあるでしょう。

 

これは銀行の統合例ですが、「統合によるメリット」は、統合側におけるメリットであることが多く、ユーザーサイドには、あまりメリットがないことの方が多いように思います。

 

話題はガラッと変わって「マネジメントシステム」系の話になりますが、201941日に、環境マネジメントシステム審査員を登録管理している「一般社団法人産業環境管理協会環境マネジメントシステム審査員評価登録センター(CEAR)」が、2019101日より業務を「一般財団法人日本要員認証協会マネジメントシステム審査員評価センター(JRCA)」に移管する予定であることを発表しました。

http://www.jemai.or.jp/cear/ems/dd4ht3000000041x-att/a1554077614281.pdf

 

JRCAは、スタート時点では「品質マネジメントシステム審査員」の評価登録のみでしたが、その後、ISMS(情報セキュリティ)やFSMS(食品安全)の審査員評価登録機関の業務を吸収して業務範囲を拡大してきました。

したがって、私たち業界人の中では、41日の業務移管の発表を聞いた際には、「とうとう環境審査員の登録もJRCAに移ったか」という声が殆どです。

 

業務移管の目的について、JRCACEARのウェブサイトでは、

・登録業務の一元化で、複数のMS審査員資格に登録いただく際の拡張性を高める

・資格基準や申請手続きの共通化を進めることで審査員評価登録制度の利便性を向上させる

・日本で唯一の総合的なMS審査員要員認証機関としてプレゼンスを高め、価値を向上させる

としています。

 

内部事情は分かりませんが、他国のマネジメントシステム審査員評価登録機関(例:IRCA(イギリス))も各種マネジメントシステム審査員の評価登録業務を行っているので、マネジメントシステムの種類ごとに審査員評価機関がわかれていた日本がむしろ遅れていたのかもしれません。

登録料が値下げされる、などといったユーザーサイドがわかりやすい目先のメリットは業務移管により発生しないものと思います。

個人的には、継続的能力開発の場の研修内容が「品質でもあり環境でもあり、情報にも関係ある」といった教育が増えているので、「共通的に認めていただく」といった効率化があるとありがたいな、と思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ641号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 09:25
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社会で活用されるISOマネジメントシステム認証制度

JUGEMテーマ:ビジネス

 

組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「社会で活用されるISOマネジメントシステム認証制度」について。

 

先日、あるシンポジウムで、

ISO9001認証制度の意義」

についての調査研究発表を聞きました。

この発表の中で、「ISO9001の目的」には、

・能力証明(認証結果の利用)

・能力向上(認証の副次的効果)

があり、以下のような事例が示されました。

 

《能力証明(認証結果の利用)》

・提供組織

 →経営システムの透明性確保

 →製品品質の訴求

 →経営管理能力の訴求

・業界

 →業界の経営管理能力訴求

 →当該事業分野の製品の優秀性の訴求

・サプライチェーン

 →取引の質・効率の向上

 →取引の活性化

・購入者

 →供給者組織選択の質・効率の向上

 →購買管理プロセスの質・効率向上

 →供給者経営管理能力の透明性向上による購買管理充実

・社会

 →良質製品の入手可能性

 →経済の活性化

・行政

 →民間の評価能力活用による規制緩和

 

《能力向上(認証の副次的効果)》

・提供組織

 →製品品質向上

 →経営管理能力向上

 →業績向上

・業界

 →当該事業分野の製品レベル向上

 →業界全体のレベル向上

・サプライチェーン

 →川下製品の競争力向上

・購入者

 →供給者組織のレベル向上

 →購買製品の競争力向上

 →購入者自身の製品競争力向上

・社会

 →製品レベル向上

 →経済力・国力向上

・行政

 →政治・行政の効率向上

 

この調査・研究について、質疑応答では、以下のような質問がありました。

(以下、質疑の概要)

(質問)

社会システムとしてISO9001を活用するのであれば「各省庁の認定制度」や「株式上場審査の一部」として利用されるべきと考えます。

例えば、ISO9001を取得している事業者であれば、各省庁の認定制度において「事業者における自主検査を認める」とか「上場審査項目の一部免除」などです。

しかし、こうした「ISO9001が社会制度上の公器としての活用」は、あまり進んでいないと思います。

この状況をどのように考え、そして社会システムとして活用するするためには何が必要と考えますか。

(回答)

ご質問の趣旨はその通りで「能力証明」としての社会でもっとISO9001は活用されるべきである。何をすればいいか、については、なかなかひとことでは言えない。

基本的には審査の質を高めることである。・・・(以下略)

 

このやり取りを聞いていて、正直、がっかりしました。

「審査の質をどのように高めるのか?」については、30年近くずっと議論され研究されてきていることです。

たまごが先か鶏が先かの問題にもなりますが、行政や公共の制度の能力証明として活用していただくためには、ロビー活動も必要なのです。

話がそれますが、2020年度から大学入試センター試験に代わって、「大学入試共通テスト」が導入されます。

その中で英語の能力証明として「TOEICや英検、TOEFL、ケンブリッジ英語検定、IELTSなど7種類の民間試験での代替が可能になるようです。

勝手な想像ですが、おそらく大学入試制度において英語の能力証明として「民間試験を活用する」という制度設計には、「大学入試の多様化、効率化」という議論において、こうした英語能力における民間制度側からのロビー活動があったと想像されます。

しかしながら、ISOの世界では、関連する学会や業界内のシンポジウムで調査・研究が発表されるのみです。

要は、制度設計側への働きかけ、つまり「政治力」に関する議論や戦略が殆どありません。

これでは、益々、「廃れた認証制度」になっていってしまうのではないか、と危惧したシンポジウムでした。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ638号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 07:50
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認定審査と認証審査の違い

JUGEMテーマ:ビジネス

 

組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「認定審査と認証審査の違い」について。

 

ネット検索で、「認定機関と認証機関」と検索ワードを入れると、日本適合性認定協会(JAB)のウェブサイトが検索トップに出てきます。

JABの「よくある質問」では、「認定と認証」について、以下のように説明されています。

 

(以下、JABウェブサイトより引用)

国際的な適合性評価の世界では、「認定(accreditation)」と「認証(certification)」という用語を明確に使い分けています。

 

これらの用語の正確な定義は,ISO/IEC 17000「適合性評価 - 用語及び一般原則」によりますが、「認定」とは、ISO 9001やISO 14001などのマネジメントシステムの認証(審査登録)、要員/製品の認証、試験、検査等を行う機関の活動が国際的な基準に従い、公平・透明に行われているかどうかを審査し(認定審査と呼びます)、公式に認め、登録することをさします。

 

認定審査ではそれぞれの機関に対する要求事項を定めた国際規格(ISO/IEC規格又はガイドなど)を使用して認定審査を行います。同時に認定機関に対する要求事項も国際規格で定められており、認定機関はその要求事項を遵守することが求められます。

 

一方、「認証」は、マネジメントシステム、要員、製品に対しそれぞれの要求事項を定めた規格に合致しているかどうかを第三者が審査し登録する仕組みをさします。認証はその対象で大まかに次の3つの分野に分類されます。

 

1.マネジメントシステム認証

組織(企業等)のシステムがISO 9001やISO 14001などのマネジメントシステム規格に適合しているかを第三者機関が審査し、証明することをいいます。組織は該当するマネジメントシステム規格の要求事項に適合する自組織(自社)のマネジメントシステムを構築し、それを第三者機関である認証機関から審査してもらいます。

 

2.要員認証

たとえば溶接技能者など、人の技量が要求される分野において、その仕事を行う人が必要な力量をもっていることを第三者機関が証明することをいいます。ISO 9001、ISO 14001、ISO 22000の審査員の評価登録も要員認証のひとつの分野といえます。

 

3.製品認証

特定の製品がその製品の仕様を定めた規格(製品規格と呼びます)に適合しているかどうかを第三者機関が評価し、証明することをいいます。

(引用、ここまで)

 

1国1機関が原則となっている日本の認定機関であるJABの説明は、上記の通りです。

私の理解を追加すると、

 

◆認定機関の役割は、認証機関が実施する認証に、偏りがあったり、不正確であったりしては、いろいろと不都合なことが生じる。そこで認証機関の信頼性を評価する役割がある。

(1国1機関が原則なので、公平性、客観性が担保される)

◆また、認定機関の最終製品は「公開情報」であるので、公開情報の適合性評価のプロセスが認定審査となる。

(※認定審査は、機関のMSの改善につながる有効性審査を目指すものではない)

◆一方、認証機関は、組織がISO規格等の基準に対して、対象となる製品・サービス、プロセス、活動が、適合していることを評価する役割がある。

◆また、認証審査は、組織の適合性を評価するとともに、組織からは、マネジメントシステムの改善につながる有効性審査も期待されている。

 

といったことが言えるのではないかと思います。

 

ちなみに、小耳に挟んだ情報なので、正確ではないかもしれませんが、ここ数年、日本企業の不祥事のニュースが数多く発生しています。

しかも、日本の各産業を代表する主だった組織は、顧客や利害関係者など市場や社会に対して説明責任を果たし、客観的な信頼性を向上させるためのツールと証明として「ISOマネジメントシステム規格の認証」を取得しています。

そのため、企業不祥事が報道されると、多くの場合「ISO認証取得企業」であることが多いです。

 

しかしながら、経済産業省では、組織の企業統治(ガバメント)や提供製品、サービスのマネジメントシステムの信頼の証であるはずのISO認証を多くの組織が取得しているにもなぜ、長い間不祥事が未然に検出され、改善されなかったのか?と考え、認定機関や認定機関を通じて認証機関に「これまでの審査(認定、認証審査)の適切性を検証せよ」という指令(公式か非公式かは不明です)が出ているようです。

 

ただ、これを言っては身も蓋もありませんが、私の知る限り、現状の認証審査は、性善説で審査をしており、いわゆる「捜査型」の審査は原則、していません。

また、認定審査では、国際基準に基づく認証機関に要求される基準文書に基づきて認定審査をするので、カンペキな認定審査を実施して、かつ、すべての認証機関が基準文書に完全に適合した認証機関運営を日常的に実施していたとしても、多くの企業不祥事は、認証審査を通じて検出されることは稀でしょう。

 

認証機関に対する要求事項に、例えば、

「内部通報制度とその情報の活用」とか「組織に対する非通知審査の実施」

といった要素を加え、認定機関は、その要求事項を有効に運営できた審査ができているかどうかを認定審査や場合によっては、非通知による認証審査の立会認定審査の実施、といったことを最低限しなければ、経産省が期待するような成果は、現状のISO認定・認証制度で実現することは難しいだろうな、と思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ620号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 15:55
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環境影響評価の見直しが十分にされていない

JUGEMテーマ:ビジネス

 

何年か前のことですが、環境マネジメントシステムを導入している組織のISO140012015年版の内部監査員教育を依頼されて、講習会をしました。

その時に、規格の説明とロールプレイだけでなく、その組織の環境マニュアルや手順書についても意見が欲しい、とのことでした。

 

具体的に書くと差しさわりがあるので、少し脚色しますが、その組織は、部品を成形する製造業で、ここ数年、納入先が電子・電気機器メーカーから自動車関連メーカーや介護ケア製品にシフトしているような組織でした。

 

まず、環境側面評価表をチェックしてみました。

すると、売上や納入先の変化があるにもかかわらず、環境側面や著しい環境側面一覧表は、ほとんど変化していませんでした。

 

要は、製造のアウトプットである製品が電子・電気部品から自動車関連部品や介護ケア製品用部品に変わっていても、環境側面や環境影響に変化がないのは、私は違和感がありました。

 

なぜ、そのような環境影響評価になっているかといえば、

・使用原料がほとんど変わっていない

・使用設備が変わっていない

・製造プロセスも大きな変化がない

ためでした。

 

私が聞き取りしていくと、製品が変わったことで、

・製造委託先が変化した

・不良率、歩留りが変わった

・納品遅れや不良品の流出があった場合の納入先への影響が異なりそう

・製品が与える環境影響が異なりそう

・製品に適用される法規性が変わった

といった「状況の変化」があるようでした。

 

上記のような変化があれば、

・廃棄物の発生量

・プラスの環境側面

・順守評価

といった点は、環境影響評価の上で加味されるでしょう。

 

このコラムの読者の多くの方は、もうお分かりと思いますが、「製造する製品が変わる」ことで、「上記に挙げたような変化」があるのが一般的です。

つまり、少なくとも、抽出される環境側面やそれに伴う環境影響の変化はあるので「環境側面や環境影響に変化がない」ということは、まずありえないのです。

(※評価結果として、管理すべき環境側面(著しい環境側面)は同じかもしれませんが)

 

このケースは、ほんの一例ですが、この組織の場合は、環境影響評価手順自体は悪くないのですが、組織の状況に変化に合わせた環境影響評価の見直しが十分ではありませんでした。

しかし、組織が実施している内部監査では、こうした点が指摘されていなかったのです。

なかなか、内部にいるとこうした変化点には気づきにくいのかもしれないな、と思った出来事でした。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ601号より)

 

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 08:14
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