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ISOマネジメントシステム:認証範囲の表記と関連事業所の活動

JUGEMテーマ:ビジネス

 

組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「認証範囲の表記と関連事業所の活動」について。

 

ISOマネジメントシステム認証制度では、組織が認証審査を通じてマネジメントシステム規格への適合性を証明されると適合組織として「登録証(認証文書)」が認証機関から発行されます。

また、同時に、認証機関のウェブサイトや認証機関が認定を受けている認定機関のウェブサイトを通じて、「適合組織」情報が公開(※公開を望まない場合は、認証機関を通じて非公開を申請)されます。

 

ISOマネジメントシステム認証を商取引の条件や取引先の選定基準にされている購入組織にとっては、「適合組織情報」を重要です。

ちなみに、私は、「健康診断」と「機密文書の溶解処理」を発注する際に「ISO適合組織」から選びました。

このように、適合組織情報は、「適合組織が外部に提供する製品またはサービス」が適切に表現されている必要があります。

 

つまり、原則的な考え方としては、「認証範囲の表記」は、「組織が提供する製品またはサービス」となります。

適合組織情報を見ていて気になるのは「その組織の内部プロセスがあたかも外部に提供される製品のように表記されているケース」です。

 

例えば、悪いかもしれませんが、「照明器具」を設計・製造している組織が認証されたとします。

その場合の認証表記は「照明器具の設計・製造」とするのが一般的です。

しかし、その組織には、本社と工場が4つあるとして、各拠点の活動を以下とします。

・本社:照明器具の設計、販売

・A工場:電球の製造

・B工場:ソケットの製造

・C工場:照明器具の架台の製造

・D工場:照明器具の組立

この場合、「電球」や「ソケット」を組織外部に製品として提供していれば、この組織の製品は、

・照明器具及び電球、ソケットの設計・製造

です。

けれども、「A工場で製造する電球」、「B工場で製造するソケット」は、「D工場で組立される照明器具の部品としてのみ製造される」ケースは、組織として外部提供される製品は、あくまでも「照明器具」で認証範囲の表記に「電球、ソケット」が記載されていれば、それは誤りとなります。

 

この場合、組織内部では、D工場にとって、A工場の電球やB工場のソケットは「製品」ですが、組織外部からすれば、電球もソケットも単なる「部品(半製品)」であって、製品ではありません。

稀に、認証機関が発行する登録証を見ると、「外部提供される製品ではないものが登録証に記載されているケース」があるので(要は、正確な認証範囲の表記ではない)注意が必要です。

 

ただ、日本の認定機関(JAB)が発行している

「マネジメントシステム認証に関する基本的な考え方−認証範囲及びその表記−」

(JAB NS512:2011

では、認証範囲の表記について、

 

(以下、抜粋)

認証文書に記載される認証範囲は、認証の利用者及び市場にとって、そのマネジメントシステムが信頼できるものであるかを判断するための重要な情報であり、認証の利用者が認証範囲に含まれる製品やプロセスを正しく理解できるよう、製品・サービス、プロセス、サイトなどに基づき正確かつ明確に表現される必要がある。

(引用ここまで)

 

との記載があります。要は、「認証範囲の表記は、認証の利用者及び市場に誤解を招くものではないことを確実にしてください」とは規定されていますが、「認証範囲の表記は、提供される製品またはサービスでなければならない」と、はっきり規定はされていません。

個人的には

「原則的に、認証範囲の表記は、組織の顧客や市場に提供される製品またはサービスであること」

とすべきと考えます。

登録証は、「認証範囲」と「関連事業所の活動」を表記できるので、上記の事例で考えれば、「各工場(関連事業所)で製造する製品」については、「関連事業所の活動」として登録証に表記すれば、明確になります。

 

このあたりの切り分け(認証範囲の表記と関連事業所の活動)が、認証機関によって異なるので、ある程度、IAF(国際認定フォーラム)文書で考え方や表記方法を統一させて欲しいものだと思います。

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 12:24
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前田建設工業の廃棄物処理法違反の疑いはなぜ発生したのだろうか

JUGEMテーマ:ビジネス

 

2020年9月6日付の産経新聞が、

「前田建設、学校の壁内に廃材不法投棄か 石膏板…有毒ガスの可能性」

という見出し記事を報じていました。

 

産経新聞の記事によれば、(注:筆者要約)

・前田建設工業が学校法人日本航空学園から校舎や学生寮の建設工事をかつて請け負った

・この工事は日本航空高校石川や日本航空大学校に対するもので2002〜2004年に施工

・工事で発生した廃石膏ボード(端材)が校舎などの壁の隙間に廃棄されていた

・石膏ボードは水分を含むと硫化水素(有毒ガス)が発生する可能性がある

・環境省は廃棄物処理法違反(不法投棄)の恐れがあるとしている

・廃石膏ボードは、2020年4月に建物の水漏れ対策工事の際に見つかった

・この水漏れ対策工事は、東京都港区の建築コンサルタント会社「ウトロン」が担当

・ウトロンによると前田建設側は、石膏ボードの除去や修繕工事を行うと学園側に申し出した

・しかし、学園側は信用できないとして拒否し、ウトロンに修繕工事が依頼された

・前田建設は、石膏ボードが工事の過程で出たものだと認めている

・前田建設は「工期短縮のため学園と協議し同意を得ている」と説明

・日本航空学園は、「前田建設と同意したかについては調査中」としている

・寮には現在、高校・大学に通う生徒や学生計約900人が居住している

・現在、健康被害などは確認されていない

・現在、学園と前田建設は国土交通省に設置された機関で協議中

・協議は、裁判外紛争処理機関「中央建設工事紛争審査会」を通じて実施されている

・・・・・

とのことです。

 

それにしても、前田建設工業と言えば、品質管理や経営品質、コンプライアンスなどに関して造詣の深い企業です。

私も所属する品質管理学会では、長年にわたり、役員を輩出しています。

建設関係者の方には、申し訳ないですが、確かに、昔の建設業界には、工期や工事予算の都合上、施主との合意で、こうした「法規上グレーな取り決め」があったようです。

 

しかし、2002〜2004年当時は、世間の環境意識やコンプライアンス意識は相当高くなっていました。

前田建設工業のこの施工現場の現場代理人や管理技術者が、廃棄物処理法違反の可能性がある合意を施主(日本航空学園)と普通に考えれば、するはずがありません。

仮に、施主から「完成は予定工期に間に合わせて欲しい」と強く要望されても、建設廃材の処理をいい加減にすることで、後々、問題が出ることは明らかなので、「合意」は「文書ではなく双方の担当者間の口約束」ではないでしょうか。

 

また、今回、壁の隙間に廃材があったということですが、設計監理者は、施工段階で、チェックしていたのでしょうか?

 

報道では、廃材の投棄は、「工期短縮」とのことですが、廃石膏ボードを廃棄する際に、産業廃棄物許可を持つ収集・運搬業者や処分業者に委託しますが、受入予定の中間処理業者が処理能力を超えて、受け入れできない状態だったのでしょうか。

廃棄物の受け入れ先の状況という可能性もありますが、「処分費用をケチっていた」可能性も否定できません。

いずれにせよ、前田建設工業の「工程管理と原価管理がずさん」だったことも、この問題の要因のひとつでしょう。

 

結果論ですが、内部監査等でこの現場をチェックすれば、「廃棄物処理実績が異常に少ない」ことに気づけたのではないかと思います。

そういう観点では、「内部監査等、組織内部のチェック体制」も有効に機能していなかったことなります。

 

ちなみに、前田建設工業は、マネジメントシステムの国際規格である「品質マネジメントシステム」(ISO9001)、「環境マネジメントシステム」(ISO14001)を1990年代に取得し、現在も登録されています。

担当の認証機関(JUSE-ISO Center)は、組織のマネジメントシステムが適切に機能していたのか、および、そうした観点の認証審査を実施できていたのか等について、検証し、対処して欲しいものです。

 

なお、今回、工事を担当(おそらく設計と施工管理)したのは「東京港区のウトロン」という建設コンサルタント会社だそうですが、ウェブサイトがみあたりません。

また、石膏ボードの不法投棄は、かつて、某大手ビジネスホテルチェーンの創業者が廃棄物処理法違反で逮捕されたこともあり、「建設会社での法規違反定番」です。

今後の動向に注目したいと思います。

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 11:18
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食肉加工の管理とアイスクリームの賞味期限

JUGEMテーマ:ビジネス

 

仕事で、農場を保有する食肉加工施設に訪問する機会がありました。

そこで、知人の食肉加工の専門家に、主に次のような(粗っぽい)質問を一般論としてどうですか、とお聞きしました。

・繁殖、哺育、育成、肥育における品質管理のポイント

・哺育、肥育における体調の悪い家畜に投与する薬の管理

・自社農場で育成したブランド肉と仕入加工する肉のトレーサビリティ

・食肉加工、パッケージ、出荷に関する品質管理のポイント

・熟成肉の品質管理のポイント

・複数の農業法人を単一マネジメントシステムで構築する理由

・食品衛生法、食品表示法以外の食肉に関する主な国内法や規格・基準

・・・

 

すると、長文の返信メールがありました。

差しさわりがあるので、主なポイントを挙げると、

◆屠畜されて枝肉になるまでは、基本的に畜産物=食品ではない

→食品衛生法が大半は該当しない

→過剰な要求を求められるケースが多い

 

◆生食の取扱いがない場合は、加熱後喫食が前提

→過剰な品質要求を組織に求めるケースがある

 

◆屠畜以降、農場出荷肉と仕入肉をどのように識別するかは、技術的に難しい

→識別が不完全であった場合、品質的には×、食品安全的には関係ない(※偽装以外)

→ブランド肉といっても、実態は、名称をつけているだけで、普通の肉と大差ないこともある

 

◆内臓を製品として扱っているので注意が必要

→豚は飼育檻の釘や針金を食べる

 

◆枝肉以降、加熱喫が前提なら、生物的危害はあまり重要ではない

→物理的、化学的ハザードを気にすればよい

 

◆消費期限の考え方が食肉業界の常識的としては独特

→消費期限のスタートは、枝肉から骨をはずした時

→消費期限の指標は、食肉協会の指標がある

→組織が消費期限を設定している場合は根拠が科学的(微生物検査、理化学検査、官能検査)かどうか

 

◆繁殖、哺育、育成、肥育の薬品管理

→登録外動物薬品が使われていないか

→休薬期間が守られているか

 

・・・・・

などを教えてもらいました。

個人的に、へぇ〜は「食肉の消費期限のスタートは枝肉から骨をはずした時」です。

屠畜後が起点だと思っていましたので、なるほど〜、です。

 

話は少しそれますが、食品の表示は「製造日」主体でしたが、いまは「期限日」です。

(期限表示に変更されたのは、1995年4月1日)

その理由は、

・少しでも新しい製造日のものを消費者が求めるようになった

・世界では期限表示が標準的で、国際規格と調和した

・食品の保存技術が進歩した

(製造日からの日持ちの日数がわかりにくくなってきた)

といった理由からです。

 

もうひとつ余談ですが、私の大好きな「アイスクリーム」には、賞味期限がありません。

つまり「期限表示の省略」が認められています。

(根拠は、食品衛生法に基づく「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」や景品表示法に基づく「アイスクリーム類及び氷菓の表示に関する公正競争規約」)

その理由は、

・アイスクリームは、通常マイナス18℃以下で保存されるため、変化は極めてわずか

・人の健康を損なうような危害の発生は考えにくい

・原料の品質基準が乳等省令で厳しく規定されている

からです。

要は、アイスクリームは「安全で、長期間、品質が劣化しにくい」とされているからです。

 

ただ、誰もが経験していると思いますが、家庭の冷蔵庫では「確実に品質は劣化」するので、買って来たらさっさと食べる、が美味しく食べるポイントですよね。。。と当たり前のことを書いていたら、アイスクリームが食べたくなりました(笑)

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ710号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 06:44
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ISOマネジメントシステム:ISO14001認証を返上する理由

JUGEMテーマ:ビジネス

 

組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「ISO14001認証を返上する理由」について。

 

国際標準化機構(ISO)は、マネジメントシステム規格の認証件数の調査「ISOサーベイ」を実施しています。

少し情報が古いですが「2016年」の世界の認証件数は、1,644,357件と、2015年(1,520,368件)を少し上回り、約8%増加しています。

(調査対象のマネジメントシステム認証:ISO 9001、ISO 14001、ISO/TS 16949、ISO 13485、ISO/IEC 27001、ISO 22000、ISO 50001、ISO 22301、ISO 20000-1、ISO 28000、ISO 39001)

 

この中でも、多くの人になじみの深い「品質マネジメント」(ISO9001)、「環境マネジメント」(ISO14001)、「情報セキュリティマネジメント」(ISO/IEC27001)の2016年の具体的な数字は以下の通りです。

 

【2016年の世界の認証件数(国別トップ5と日本)】

ISO9001

1位:350,631件 中国

2位:150,143件 イタリア

3位:66,233件 ドイツ

4位:49,429件 日本

5位:37,901件 イギリス

 

ISO14001

1位:137,230件 中国

2位:27,372件 日本

3位:26,655件 イタリア

4位:16,761件 イギリス

5位:13,717件 スペイン

 

ISO/IEC27001

1位:8,945件 日本

2位:3,367件 イギリス

3位:2,902件 インド

4位:2,618件 中国

5位:1,338件 ドイツ

【世界の認証取得件数(全世界の件数)】

ISO9001

2015年:1,034,180

2016年:1,106,356件(前年比約7%増)

 

ISO14001

2015年:319,496

2016年:346,189件(前年比約8%増)

 

ISO/IEC27001

2015年:27,536

2016年:33,290件(前年比約21%増)

 

直近データではありませんが、マネジメントシステム認証件数は、全てのマネジメントシステム規格を世界レベルで捉えると、上昇傾向にあるようです。

また、規格の初リリースから20年以上経過した老舗規格ともいえるISO9001(1987年)、ISO14001(1996年)も微増ですが、いまだに取得件数が増えているということは、ISO認証制度度が「組織経営の仕組みの信頼性を保証する役割」として世界的に定着している証といえるのかもしれません。

 

ただ、一般的には、日本国内では、この10年近く、ISO9001や14001に限っては、認証件数が「横這い」あるいは「下降気味」という認識で各認証機関は捉えています。

実際、国内認証機関に勤務する知人たちに聞いても、QMS、EMSは「新規登録もわずかにあるが、認証を返上するところもあるので、件数的には、ほぼプラマイゼロ」と口を揃えます。

したがって、多くの認証機関は、

・他のマネジメントシステム規格(例:食品、自動車、航空宇宙)を伸ばす

・グローバル企業の各国のQMS、EMS認証を取りまとめ一括で認証する

といった方向で売り上げを伸ばす戦略を取っています。

 

さて、EMS認証ですが、「認証返上」する組織の主な理由を挙げてみます。

・省エネ、省資源が組織内に定着し、数字的にも伸び(削減)が望めない

・認証維持に対する労力、コストがかかり費用対効果がない

・EMSの認証に対する世間的な認知が低い

・審査のマンネリ化から認証機関を変更してみたが、あまり変化がない

・・・

といった理由が多いようです。

 

《省エネ・省資源はやり尽くして、もうやることがない》

これは、よく聞く話です。

確かに、10年以上、環境に組織として取り組んでいれば、「総量を減らす」ということに関しては「もうやることがない」となっているでしょう。

「環境対応型商品を設計する」、「環境負荷削減につながる製品やサービスを企画する」、といった業態の組織なら「環境負荷削減としてやるべきネタ」はありますが、ルーティンワークが多ければ、「もうネタがありません」というのは当然かもしれません。

 

「業務のミス・ロスを減らし、業務改善により効率を上げる」活動も「環境活動」ではありますが、「品質改善」、「安全管理」、「顧客満足度向上及び苦情対応」として実施しているので「これも環境活動ですよ」と組織に伝えても「なかなかピンと来ない」ようです。

 

《認証のための活動に労力が掛かる》

大企業であれば、環境経営は「コンプライアンスの一環」として、CSR部門や環境部門として専門部署があり、環境経営を促進するノウハウも引き継がれていきます。

しかし、中小零細企業では、専門部署は無く「兼務」あるいは「万年事務局員」という方が多く、その方が異動や退職すると引き継いだ人は、管理ノウハウがなく「お手上げ」なのです。

そもそも、マネジメントシステムは「属人的な業務をできるだけ標準化する」ことが基本ですが、「環境事務局業務の属人化」により、担当者がいなくなると「もう誰も環境事務局業務がわからない」という事態が起きるのです。

 

《ISO14001など環境マネジメントシステムに対する社会的認知が低い》

これは、業界として「頭の痛い問題」です。

大企業は、前述したとおり「コンプライアンスの一環としてISO14001に取り組むのは当たり前」という状況が醸成されています。

実際、例えば、環境事故を発生させた場合「仕組みがない組織」、「仕組みがある組織」では、その後の社会の捉え方や警察・消防など関係行政の組織に対する行政指導の程度が変わってくるようです。

しかし、中小零細の場合は、例えば、「公共調達の基準になる」、「取得していることで顧客や消費者からの信頼が高まり売上が伸びる」といった「現世利益」に繋がらなければ、どうしても「認証を維持する意味があるんだろうか」という発想に経営者はなるのでしょう。

 

以前、公認会計士の方と話をしていたら、「証券市場の世界では、上場審査の条件にISO認証を導入するかもしれない」という話が出ていた時期があったそうで、個人的には、相当期待していました。

しかし、その後、この話題はあまりあがって来ないようで残念です。

 

話題は全く変わりますが、多くの人が、他人から褒められてやる気が出るように、ISO認証も、世間からの認知度が高く成れば、中小企業も「よし頑張ってみよう」となると思います。

しかし、私の知る限り、国内のISOマネジメントシステムの関係者は、政治家、経済界、中央官庁あるいは、国際戦略としてIAF(国際認定フォーラム)とのパイプが薄いんです。

なんとかならないものかな、と思います。

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 05:17
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ISOマネジメントシステム:QMSとEMSの認証範囲が異なる場合の統合審査

JUGEMテーマ:ビジネス

 

組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「QMSとEMSの認証範囲が異なる場合の統合審査」について。

 

近年では、組織が、品質(ISO9001)、環境(ISO14001)、労働安全衛生(ISO45001)、情報セキュリティ(ISO27001)・・・といった複数のマネジメントシステム規格の認証を取得するケースが増えています。

そのため、組織からは「日程的に審査をまとめて受けたい」、「付属書SLで規格が共通化されたから共通部分は一緒に審査して欲しい」というニーズが増えています。

レアケースとして、組織によっては、「認証審査はいい刺激を受ける機会だからバラバラに審査を受けたい」とか「品質と環境の事務局が違うので、同時に受けず時期をずらしたい」という組織もありますが、多くは「複数規格を同時に受けたい」という声が多いと思います。

 

「複数規格を同時に受信する場合」、認証機関によって定義が異なりますが、「統合審査」、「複合審査」と似た用語があります。

ISO9000:2015(基本及び用語)やISO/IEC17025-1:2015には、

 

◆ISO9000:2015 3.13.2 複合監査(combined audit

一つの被監査者(3.13.12)において、複数のマネジメントシステム(3.5.3)を同時に監査(3.13.1)すること。

 

◆ISO/IEC17025-1:2015 3.4認証審査 注記6

統合審査とは,二つ以上のマネジメントシステム規格の要求事項を単一のマネジメントシステムに統合して適用した依頼者を、二つ以上の規格に関して審査する場合をいう。

 

わかりにくいので、一般的にISO認証業界で使用されている統合審査と複合審査は、

 

「複合審査」

受審組織が複数の規格に対する個々のマネジメントシステムに対して、同じ期間に審査を行うことを希望される場合に実施する審査

 

「統合審査」

受審組織が、複数の規格のマネジメントシステムの要求事項に対して、統合されたマネジメントシステムを構築し、1つの審査チームにより審査を行うことを希望される場合に実施する審査

 

ということになります。

 

要は、「審査を同じ期間に実施するか」を「組織のマネジメントシステムが統合されていることを条件に複数規格をミックスして審査を実施するか」が両者の違いになります。

(注:認証機関によっては、上記概念の「統合審査」を「複合審査」と定義している機関もありますし、「統合審査」の条件として、「認証サイクルを合わせること」を条件にしている機関もあるので、注意が必要です。)

 

統合審査の場合、多くは、QMSとEMSの認証範囲が一致しているケースが多いですが、組織によっては、QMSとEMSの認証範囲が異なるケースがあります。

認証登録上、組織及び認証機関が注意すべき点を以下に挙げてみます。

 

◆QMSとEMSの対象となる常設サイトが異なる

例えば、建設業において、QMSは本社と全国各地にある8支店が対象、EMSは本社と5支店が対象というようなケースです。

この場合、EMS対象外の支店管轄の工事は「EMS適用外」としているケースです。

この場合、登録証に記載される「認証表記」は、

「建築及び土木構造物の設計、施工管理(EMSは○○支店管轄の工事は除く)」

といったような注記がつかなければ誤りです。

 

◆常設サイト以外の認証表記に限定がない

前述したケースで、

「建築及び土木構造物の設計、施工管理」

と認証表記に限定がない場合は、組織が「○○支店管轄の工事はEMSを適用していない」という認識だとすれば、それは誤りです。

 

◆統合審査における一時的サイトのサンプリング

統合審査の審査プログラムは、QMS、EMSを各々作成しているケースもありますが、統合審査の場合は、「QMS/EMSを一緒に作成」しているケースが多いです。

その際に、一時的サイトで「QMSのみ対象でEMSは適用していない」サイトをサンプリングで選んだ場合は、注意が必要です。

なぜなら、もしかしたら、その時の審査では、一時的サイトとしてEMSの現場確認をしないことになるかもしれないからです。

 

以上、整理すると、統合審査において、QMS、EMSの認証範囲が違う場合は、

・認証表記に注意が必要

(組織は、ウェブサイトやパンフレット等での正しい認証範囲の表明が必要になります)

・一時的サイトのサンプリングに注意が必要

・対象外の考え方について、認証機関と組織の考え方を一致させておくことが必要

となります。

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 05:18
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ISO認証制度:組織の産業分類と認証機関の審査員の専門性

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組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

今回のテーマは、「組織の産業分類と認証機関の審査員の専門性」について。

 

日本の認定機関として、「公益財団法人日本適合性認定協会」(通称JAB)があります。

このJABのウェブサイトには、認証機関によって認証登録された組織(公開を希望しない組織も一部ある)が掲載されています。

https://www.jab.or.jp/system/iso/search/

QMS、EMS、AS-QMS(航空宇宙品質マネジメントシステム)、TL-QMS(電気通信品質マネジメントシステム)について、登録された組織は、「39種類の産業分類」によって識別されています。

https://www.jab.or.jp/files/items/2028/File/ms-scope.pdf

 

簡略化して説明しますが、39分類は、例えば、「機械、装置(分野18)」、「建設(分野28)」、「情報技術(分野33)」といったように区分けされています。

認証機関に対する要求事項では、「その組織の審査が適切に実施できる専門的力量を明確にして、審査員を割り当てること」が要求されています。

 

少し横道にそれますが、この専門性ですが、審査する組織の製品・サービスの複雑性や認証機関によって「どのような審査員が専門的力量を有している」とするかは、様々です。

ある機関は、「審査する組織と産業分類が同じ組織審査を10回以上経験していればOK」としているケースもありますし、「審査経験は何回積んでも専門的力量とはなり得ず、同じ分類の業務経験最低3年以上なければダメ」という認証機関もあったりします。

 

さて、この「組織に該当する産業分類」と「組織に必要な専門的力量」が「混同されているのではないか」というケースが、JABのウェブサイトで登録組織の認証範囲を眺めていると感じることがあります。

例えば「電気設備の設計、施工」という組織があったとします。

産業分類としては、電気設備工事は「建設(分野28)」になります。

しかし、産業分類として「28」だけではなく「19(電気的及び光学的装置)」がついているケースがあります。

専門的力量としては、「建設」(28)に加えて「電気に関する知識」は必要ですから、専門的力量として、その認証機関が「28と19」を持っている審査員を割り当てる」というのは、間違っていませんし、正しいでしょう。

しかし、あくまでも、その組織が分類される産業分野は「28」です。

 

「組織に該当する産業分類」と「組織に必要な専門的力量」・・・少々頭がこんがらがるかもしれませんが、その違いをしっかり認識して、認証機関の事務局はもちろんのこと、担当する審査員は、審査を遂行してきてほしいものです。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ690号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 07:50
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ISOマネジメントシステム:ISO登録組織の検索

JUGEMテーマ:ビジネス

 

組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「ISOに登録組織の検索」について。

 

認証機関から、ISOマネジメントシステムの認証審査に適合した「登録組織」を検索しようとした場合、どのように検索すればよいか?について考えてみます。

 

◆ある組織のISO認証登録状況を知りたいとき

調べたい組織名称がわかっている時は、今の時代なら、その組織のウェブサイトを検索するのが一番手っ取り早いです。

例えば、ニュースを見ていて、工場火災があった、法律に触れるような不正な取引があった、製品リコールが発生した、個人情報が流出した、製品の出荷データが改ざんされた、コンプライアンス違反が発生した・・・といったことを知った場合、私は、習慣的に、「この会社は、ISOマネジメントシステム認証を受けているんだろうか?」ということに興味を持ちます。

こうした事故や不祥事は、ある特定の人物が「悪意をもって実行」する場合は、「マネジメントシステム(仕事の仕組み)で完全に封じ込むこと」は難しいかもしれません。

しかし、たいていの場合は、マネジメントシステムの一部欠如や仕組みがあっても有効に機能していないことに起因します。

したがって、

・この組織はISOマネジメントシステムを導入していたんだろうか?

・認証を取得しているんだろうか?

・認証取得している場合は、どの認証機関で受審しているんだろうか?

といったことが気になって、調べてみるわけです。

 

◆固有の組織名はわからないが、ある産業分野の登録組織を調べたいとき

ある産業分野の登録組織を調べたいときは、

・JAB(公益財団法人日本適合性認定協会)のウェブサイトで検索

https://www.jab.or.jp/system/iso/search/

・認証機関のウェブサイトにある登録組織情報で検索

がよいと思います。

私の場合は例に挙げれば、医療機関やホテルやレストランを利用する場合「ISO登録されている組織を優先して選びたい」と考えます。

ちなみに、私は20年近く同じ医療機関で健康診断を受診しています。

この医療機関を選んだ方法は、JABのウェブサイトで「産業分野38(医療及び社会事業)」で検索し、その中から受診しやすい所在地にある医療機関を選びました。

 

《注意が必要?!》

ISO登録組織を検索する場合、上記に紹介した方法が、一般的です。

しかし、若干、注意が必要な面もあるので、羅列しておきます。

 

◆各企業のウェブサイト

・大企業の場合は、一部の事業部で認証取得している場合、自社のHPに掲載が無い

・組織の管理体制強化目的で認証審査を受審しており認証取得を公表していない

・大企業のHPで認証の有無を調べる場合は、“CSR情報”に掲載がある場合が多い

 

◆JABのウェブサイト

・認証登録されていても「非公表」を希望する組織は掲載されていない

・JAB以外の海外認定(例:UKAS、ANABなど)の登録組織は検索できない

・産業分野の分類が微妙なケースがある

・認証機関の産業分野の特定に誤りがある

 

◆各認証機関のウェブサイト

・「非公表」を希望する組織は掲載されていない

(企業の迷惑メールや迷惑DM対策)

・「登録企業名は個別にお問合せください」と登録情報が無い場合がある

(ライバル機関に認証契約を横取りされるのを防止)

・産業分野の特定が不足しているケースがある

(したがって、調べたい産業分野の登録企業にアクセスしずらい)

 

ISO認証登録制度ができた時に「市場が信頼・安心して購入先を選ぶツールになる」と私は思っていました。

しかし、企業によっては、

・認証していることを公表すると問題があった場合、アクセスしやすく叩かれる

・他の認証機関やセミナー会社から迷惑DMが増える

といった理由で、敢えて「非公表」を望んでいるケースもあります。

また、認証機関は、認証審査のオペレーション上の管理のために、組織が複数の産業分野で活動している場合、組織全体に占める売上や活動比率が低い産業分野を除外して公表しているケースもあります。

 

ISOマネジメントシステム認証制度は、「登録組織を世間に公表して市場や一般消費者が購入先選択のひとつのツールとできる」ことが本来の制度の在り方だと思います。

しかし、現実的には、「なかなか登録組織を探しにくい」状態になっているのは、残念だな、と思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ703号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 07:45
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階層別研修のキホンのキ

JUGEMテーマ:ビジネス

 

「役職が人を育てる」という言葉があります。

私自身も経験がありますが、「権限を与えられないとわからないこと」はたくさんあります。

上司の背中を見ているだけでは、上司が抱えているプレッシャーは、当たり前ですが実感として感じられません。

権限を与えられることで、それまでに経験したことも考えたこともなかった向かい風に遭い、当事者として矢面に立つことで初めて見える景色というものがあります。

 

「鶏が先か卵が先か」の議論と同じですが、人を「ある役職に昇進させるかどうか」という場面で、「あいつにこれはまだできないだろう」とか「こんな仕事の経験はまだないけど大丈夫か」という話をする人がいます。

しかし、まだその役職が持つ権限を彼に与えたことはないし、その立場で仕事をしたことがないので「経験もないのにできるのか?大丈夫か?」という議論はナンセンスでしょう。

そもそも、ベンチャー企業であれば、先人となる上司がいないケースもありますし、経営トップも「初めての経験」ばかりですから、「経験させてできたら昇進」とはそもそも無理な話です。

人が真剣になって仕事をする、つまり本領を発揮することに必要なのは、「ポジションを与えること」です。ポジションを与えることで、最初は、おっかなびっくりでぎこちなくても、ものすごいスピードでそのポジションに必要な業務遂行能力を吸収していく人が必ずいます。

そのようなわけで、人材育成には、上司の背中を見せ、仕事をやらせて、ある段階でポジションを与えて実践あるのみ・・・と言ってしまっては、今回のテーマである「階層別研修」は必要が無くなってしまいます。

OJTで業務に必要な力量が備われば、それに越したことはないですし、実際、「オレは、業務に必要な基礎知識は働きながら身に付けた」とおっしゃる方もいます。

しかし、全ての人がそのようにできるかといえば疑問ですし、通常業務を行いながらの指導や育成には限界があるのも現実です。また、指導的立場にある人の指導力には個人差があるので、組織として本来、身につけてもらわないといけない知識や知見にばらつきが出て必要なことが不足する問題も発生するでしょう。

 

したがって、組織では、階層に応じた研修が不可欠だと考えます。

「階層別研修」は、多くの組織の教育カリキュラムとして採用されています。

一般的に「階層別研修」とは、「組織運営に適切な人材を育成する為のカリキュラム」を指し、「組織での役割を遂行するために必要な能力を育て上げること」を目的とした研修です。

階層別研修は、階層別に必要な力量を明確にし、「階層ごとに期待される役割を自覚する」ことが狙いです。階層別研修は、組織主導で対象者全員に対して強制的かつ一貫的に同一内容の教育を実施していく方法で、対象者全員のレベルを相対的に上げることを目的(底上げ教育)としています。

 

一般的な階層別研修の階層事例を下記に記載します。

《新入社員教育》

組織の業務形態や規則の説明、電話の取り方やお客様との挨拶、上司への報告の仕方などのマナーを教育する。

新入社員として知っておかなければならない「ビジネスマンの常識」のインプットである。

《中堅社員教育》

入社10年目くらいまでの従業員に対して、組織での業務遂行の視点や経営の視点をインプットする。

将来の管理者昇進に備えて、実践を積み上げるためのツールを提供する。

《中堅管理者教育》

中堅管理者(課長・部長レベル)に対して、各自の職場において現れている固有の課題を解決するヒントとなるような知識、スキル、ノウハウをインプットする。

また、同様の悩みを抱える他の中堅管理者との情報交換・共有により気づきを得る。

《上級管理者教育》

上級管理者(事業本部長レベル)に対して、複雑な経営判断を行う上での思考や意思決定の手法やビジネスプランの評価を行わせる。

《経営層教育》

経営陣に対して、国際規模の競争構造やグループ経営に関する考え方、また後継者の選別に関する考え方や手法等についての知識を教育する。

 

これらの階層別研修の内容は、どの組織も一律というわけではなく、組織特性によって変わってきます。

今の時代は、終身雇用の考え方が弱まり、OFF-JTは「投資対効果がわからない」といった声があるのも事実ですが、ポジションに適した業務知識を体系的に学ぶ場が必要不可欠であることは間違いないと思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ682号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 10:38
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マネジメントシステムにおける“幼稚園の顧客”とは

JUGEMテーマ:ビジネス

 

LMJ ISOフォーラム主幹の大藤好樹氏のコラムによれば、ある研修会の中で、

「幼稚園の顧客は園児でなく親であり、園児はISO的に言えば顧客の所有物である」

という話になったそうです。

 

もともと、この大藤氏のコラムは「幼稚園における顧客とは誰か?」が話題の中心ではない。

説明するより引用すると、

(ここから引用)

(省略)

昨今、子供の虐待が社会問題となり、日本人は欧米人に比べて子供に対する人権意識が低いなどと評論家が力説している外部の状況を考慮すると、園児は利害関係者であるとする方が適切な気がする。

望ましくない影響(ネガティブリスク)の低減である。

(以下省略)

(引用ここまで)

 

つまり、

・「幼稚園」を運営する組織においてマネジメントシステムを構築する場合を考える

・この場合、顧客は、幼稚園児がいる親、園児は「顧客所有物」に該当する

・しかし、コンプライアンス的に「園児を親の所有物」と位置付けることはリスクがある

・こうしたリスクは、排除すべきであるので、園児は「利害関係者」として位置づけた方がよい

ということでしょう。

 

確かに、「〇〇幼稚園がISO9001を取得しました」と世間に公表した場合、幼稚園や保育園の取得事例は、決して多くないので、話題になるでしょう。

その際に、「園児はどのようにマネジメントシステムでは位置づけられるのですか?」となった際に「顧客である親の所有物という位置づけです」という説明は、マネジメントシステム規格やISO関係者であれば、違和感はあまりないでしょう。

しかし、世間的には、

・園児は判断力や責任能力に欠けるといっても人格のある人間である

・園児には親に保護者責任はあるが、決して親の所有物ではない

とご批判する人も多いかもしれないので、リスクに違いありません。

認証取得を公表・広報することでで、組織の継続的改善や顧客要求事項を満たしたサービスを一貫して提供する能力を実証したはずなのに、非難されることになったのではやり切れません。

 

業界関係者以外だと、乱暴に聞こえるかもしれませんが、「製品」を「卒園児」とするなら、「無垢の園児にさまざまな教育を提供して就学レベルにして小学校に引き渡す(製品の出荷)」のが幼稚園の役割でしょうから、「製品の素材」である「園児」は、「購入する資材」ではないので、「顧客(親)の所有物」という位置づけが、マネジメントシステム上の管理はわかりやすいです。

 

個人的には、「製品(サービス)」は、一義的には「幼稚園において提供する教育サービス」だと考えますので、「園児は顧客であり、利害関係者でもある」としてマネジメントシステムを構築するのが、適当なのかと思います。

もちろん、幼稚園の教育サービスは、親の要求事項や期待・ニーズを満足させる内容であるべきですが、日常業務の中では、サービスを提供する当事者である園児に対して親の要求事項を満たした上で目の前にいる園児とコミュニケーションを取りながら提供するサービスを選択しているので、「顧客」と位置づけしてもいいでしょうし、もちろん、利害関係者でもあるわけです。

 

「マネジメントシステム上の位置づけ」で議論になるのものとして有名なのは「製品の設計・開発」ですが、「顧客や利害関係者」についても、議論になりやすいです。

以前、海外の刑務所がISO9001を取得した際に「囚人」を「顧客」と位置付けて、話題になったことがありました。(注1:この話題は、話し出すと長くなるので、今回は割愛します。注2:国内でも刑務所がQMSを取得した事例はありますが、その際の製品は、受刑者が制作する石鹸です)

マネジメントシステム上の位置づけは「こうあるべき」というものではなく、組織や認証機関がしっかりとロジックを組み立てていれば、「いろいろな位置づけ」があっていいものだと思います。

そう考えると、そもそもの認証目的を考慮して「園児を顧客所有物」とする扱いは、決しておかしくはないですが、(誤解的な)非難も浴びそう、なので、マネジメントシステムの位置づけとしては「回避」するのが無難でしょう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ679号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 05:29
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ISO認証制度:適用範囲の適切性(QMS)

JUGEMテーマ:ビジネス

 

組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「適用範囲の適切性(QMS)」について。

 

ISO9001:2015年版が正式発行される直前の2015714日と723日に、日本適合性認定協会(JAB)は「ISO 9001 改訂セミナー」を実施しました。

その後、この説明会の中であった質問事項について、質疑応答集をJABは出しています。

質疑応答集について、

・講師の監修をいただき、JAB が作成した

・規格や審査の考え方を明確にすることを目的とした

・規格の解釈を示すものではなく、また認定・認証審査の基準となるものでもない

との但し書きがあります。

しかし、現実的には「規格改訂の国際会議に出席した委員が、規格改訂の意図と審査の考え方について監修したものだから、ここで示した規格の意図と審査の考え方を基本に認定審査は実施します。したがって、仮に大きく規格の意図と審査の考え方を逸脱して認証審査を実施するなら、認証機関は相当の理屈を構築しておいてくださいね」ということに他ならないでしょう。

 

さて、この質疑応答集の中に、「認証範囲」という項目があります。

(以下、JABの質疑応答集より引用)

認証範囲

認証では、QMS の適用範囲の決定の適切性について判断が求められることになる。

組織に都合のよいような、意図的な適用範囲の決め方は認められないが、いわゆる「社内顧客」のケースはどう考えるか。

同一組織の営業部門を顧客とし、限られた小さい範囲で認証をとるケースは、2015 年版の認証では認められるのか。

<回答>

組織の定義は、「自らの目標を達成するため、責任、権限及び相互作用を伴う独自の機能をもつ、個人又はグループ」である。

論理上は「社内顧客」という形を考えることは可能である。

しかし、社内顧客以外に利害関係者が存在しない状況は少なく、そもそもの規格の意図「顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を満たした製品又はサービスを一貫して提供する能力をもつことを実証する場合」や、「顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項への適合の保証を通して、顧客満足の向上を目指す場合」を考えると、そのような認証の意味があるのか疑問である。

第三者認証とは、認証機関が社会に向かって認証組織の適合性を証明することである。そのことを認識し、どのような範囲で認証を行うか判断いただきたい。

(引用ここまで)

 

上記について、大雑把に要点を整理すると、

・社内顧客は、論理上はあり得るが、現実的には、組織の適用範囲としては適切でない

・一部の組織でマネジメントシステムを構築するのは、

“要求事項を満たした製品またはサービスを一貫して提供する能力を実証する”

“顧客満足の向上を目指す”

という観点で適切ではない

ということを述べているのです。

 

「一部の組織で適用するケース」として、2015年版以前に品質マネジメントシステム(QMS)で多かった事例は、例えば、

・製造業における工場単位での認証(例:設計・開発などが適用されていない)

・営業部門を「顧客(社内顧客)」とした認証

・主要資材や協力業者(役務提供者)の評価選定・管理部門が適用されていない認証

などです。

このような不十分と思われる組織の適用範囲で認証取得しているケースは、JABのウェブサイト(適合組織検索)では、かなり少なくなったと思います。

https://www.jab.or.jp/system/iso/search/

しかし、中には、「実際のところは認証機関や認証組織の理屈を聞かなければ適切か不適切か判断がつかない」という認証も、まだまだあります。

 

組織の適用範囲が「微妙だな」と感じる一例として「水道事業における“浄水場のみ”の認証」があります。

あくまでも、一般論ですが、浄水場の役割は、「自治体等と契約した契約水量や水質を確保した水道水を製造し送水すること」です。

したがって、

・直接的な顧客(自治体等)と契約する部門

・浄水施設や関連設備、送水管付設の新規計画・維持管理計画と管理する部門

・浄水施設や関連設備、送水管付設に関する工事、メンテナンス業者の選定・契約部門

・顧客苦情を受付し、対応管理する部門

・水道技術管理者へ水質検査結果を報告する部門

(注:水道技術管理者とは、水道法において水道事業者等が必ず設置しなければならないと定められている技術面での責任者のこと)

・・・

などの部門については、「“浄水場”組織には含まれていない」ことが殆どです。

したがって、厳密にISO9001を捉えれば、

「要求事項を満たした製品またはサービスを一貫して提供する能力を実証する」

ことは、組織の適用範囲を「浄水場」だけでは、まず間違いなく保証できないわけです。

 

おそらく、組織の適用範囲を決定する過程で、組織は、例えば、

・将来的には、全ての該当部門を適用したいが諸般の事情で限定して取得したい

・認証取得が組織に有効か、試行段階として、狭い範囲で認証取得したい

・一貫して提供する能力の保証より組織内にPDCAサイクルを定着させることが認証の目的

・認証取得を通じて、属人的業務を組織のノウハウとしてマニュアル化していきたい

・・・

といった事情があり「適用範囲としては望ましくないが認証取得したい」というお考えが、組織の認証に関する「初期メンバー」にはあるでしょう。

 

個人的には、認証機関は、こうした組織の認証取得の背景を理解し、

・認証機関内でこうした背景をしっかりと記録して機関内で受け継ぐ

・組織審査で、本来含めるべき部門のマネジメントシステム上の位置づけを確認する

・組織の事務局に「組織の初期のISO事務局」の考えが伝承されているか確認する

といったことは、きちんとマネジメントしていくべきでしょう。

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