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家計を支える世代が安定して稼げない業界

JUGEMテーマ:ビジネス

 

20191231日の読売新聞が、

「タクシー運転手 若者離れ…平均60歳 低収入で敬遠」

という記事を一面に掲載していました。

 

記事では、

・男性運転手の平均年齢が初めて60歳を超えた

・男女を合わせた平均年齢も59.9才と調査対象125職種で最も高い

・高年齢化は、低収入で若年層が集まらないこと

20202月は過去最多の25都道府県で運賃の値上げが認められる

・免許取得要件の緩和も進める

・調査対象の全産業の平均年齢は42.0

・調査対象の全産業の平均年収は約560万円

・タクシー運転手の平均年収は約350万円

・子育て世代がこの年収で家計を支えるのは苦しい

・高齢者ドライバーの事故増加の懸念がある

・介助タクシーのニーズが増えているので力作業を考慮して若者を採用したい

・・・

といったことが報じられていました。

 

ちなみに、平均年齢の高い職業(調査対象125職種)は、

1位:タクシー運転手:59.9

2位:施設警備員:59.2

3位:大学教授:57.4

4位:役員などの運転手:56.9

5位:用務員:55.6

だそうです。

 

個人的には、「なぜ調査対象は、「大学教員」ではなく「大学教授」なのかな?」という気がします。

もちろん、大学教授は、絶対的な年功序列な職場ではありませんが、その道の学識キャリアを積んだ方が就くポジションなので、年齢が高いのは当然なので、「産業や職種の平均年齢や年収」を調査したいのであれば、「大学教員」の方が適切な気がします。

 

タクシー業界の課題(若年労働者の確保、年収アップ)解決の処方箋は、すぐには思いつきません。

ただ、確実なのは、「タクシー産業」というビジネスモデルとして、「平均年収が低い」ことは、「若者が目指す職業」として成立せず、「事故率アップや介助タクシー増加による力仕事の必要性」を考慮すると業界はもちろん、利用者である私たちへのサービスにも影響が出るので、国を挙げての課題であることは間違いないでしょう。

 

話題は、変わりますが、私の仕事のひとつである「マネジメントシステム認定・認証制度に関する審査員」の世界の平均年齢は、もっと高齢な業界だと思います。

ご存知の方も多いと思いますが、この業界における審査員は、「正社員主体の認証機関」、「委託主体認証機関」がある(業界的には、委託契約者審査員の方が断然多い)ので、「業界全体での調査結果」として正確なデータはおそらくないでしょう。

ちなみに、エコアクション21という環境省関連の環境経営システムの審査員資格者(約600名)の平均年齢(筆者が2018年に出席した会議での説明より)は、約63才と聞きましたし、ISO認証機関数社の関係者の話では、「審査員を主たる業務としている契約審査員」を対象とすれば「平均年齢は65歳を超えている」そうです。

 

このように、タクシー業界だけでなく、マネジメントシステム審査の業界も「高齢化」して「若者の参入が極めて少ない」のですが、この最大の理由も「安定して稼げない」ことにあります。

職種的には、大雑把に言って、業界知識、業務経験や審査技術が問われるので、「ある組織の審査を担当できる適切な人」は限られている専門職種のはずですが、「専業」としてやろうとすると「年収が安定しない」ですし、片手間としてスポットでやるとしても「単価が決して高くない」ので、他の収入(コンサルティングなど他の収入や年金など)がある程度確保された層しかこの仕事に従事していないのが現状です。

 

審査対象組織にもよりますが、工場の審査は体力も使うので、足腰が丈夫でなければ厳しいですし、また、相手組織の管理職クラスは40代、50代が主体なので、あまり年齢差があると、会話がかみ合いません。

したがって、本来、4050代の審査員がもっと必要だと思いますが、この年代の審査員は、感覚的には23割以下でしょう。

 

私見ですが、年金受給世代が「この金額ならやってもいいよ」という価格を基準として委託単価が決められていたり、「審査費用の極端な値下げの余波を委託審査員が真っ先に受け」て専門職種としてはあり得ない委託単価が設定されていて、現役世代の中堅層がこの業界に参入してこれる土壌がないのです。

 

以前、教育評論家の尾木直樹氏がワイドショーのコメンテイターとして「教員の質の確保として採用倍率が3倍を切ると低下すると一般的に言われている」とおっしゃっていました。

マネジメントシステム審査員の世界もまさに同じで、審査員従事者の年齢の偏りと質の低下を避けるためには、「業界一丸」となった給与水準を下げない対策(※紙面の都合で詳述は割愛します)が必要だったのだと思います。

しかし、構造的に「正社員」と「委託契約者」で成り立っているので、「委託契約者が声を挙げ身を守る場がなかった」ので、単純作業労働者とそん色のないレベルの単価業務に成り下がってしまいました。

一度下がってしまった「審査料金の相場」を上げるのは至難の業なので、これからも役職定年を迎え、65歳以降も働ける仕事として「転身を目指す層」(50代後半)を人材として確保していくことが主体のビジネスモデルとなりそうな気がします。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ679号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 07:17
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小売業における課題・機会とリスク

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少し前に、ある勉強会で「小売業・卸売業における内部・外部の課題と機会」について、グループディスカッションする機会がありました。

 

研修会企画者の「お題設定」が「小売業・卸売業」と漠然としていたので、各参加者がどういった業態(小売か卸売か、小売であれば総合スーパーか専門店か、コンビニか・・・など)をイメージするかで、課題や機会として考えられるものは、変わってしまいます。

 

多かった回答は、

 

《内部の課題》

・人材確保

・働き方改革など労働環境

・在庫管理

・価格競争等による利益率の減少

 

《外部の課題》

・高齢化等に伴う顧客層の減少

・販売店や同業他社との競争激化

・ネット通販利用者の増加

 

《内部の機会》

IT化の推進

・職場環境の改善

・省エネによる経費削減

 

《外部の機会》

・地域活性化

・特色あるサービスの提供で顧客増加

・宅配サービス

・店舗接客の充実による差別化

・メーカーとの共同開発商品

 

などでした。

 

話題は少しそれますが、「SOMPOリスケアマネジメント株式会社」の斎藤康雄氏、宗像明彦氏によると、小売店舗におけるリスク(事故)として特に注意するものが4つあるそうです。

それは、

・火災事故

 →発生頻度は少ないが、損害規模が極めて大きい

・侵入窃盗事故

 →発生頻度は比較的高く、犯罪という社会悪に対し企業は防止に努めるべき

・賠償責任事故

 →重点的な対応が必要。事故だけでなく苦情対応も重要

・駐車場内事故

 →賠償責任事故のひとつであり、損害規模が小さいが発生頻度は極めて高い

です。

 

月並ですが、小規模小売店舗が1店舗しかなければ、こうした課題や機会、事故のリスクは、オーナーや店長が認識して、日々目配りして注意していれば、確率的にも問題はあまり生じないでしょう。

しかし、多店舗展開している場合のエリアマネージャーや総括責任者は、こうしたことをマネジメントシステムとして管理しなければ、風評被害も含めて経営への影響は大きいのはいうまでもないでしょう。

 

それにしても、グループ討議や他のグループの発表を聞いていると、「なるほど」と感じることも多かったです。

私たちが企業訪問する際に、このような「なるほど」を促すことができた時は、仕事冥利です。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ635号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 12:02
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ISO認証制度:複数メンバーからなる審査チームの審査員の力量

JUGEMテーマ:ビジネス

 

組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「複数メンバーからなる審査チームの審査員の力量」について。

 

ISO認証の世界では、2000年代にISO認証組織の企業不祥事が発生した際に、「審査員の専門性をより強化するべき」という議論が沸き上がったように記憶しています。

つまり、専門性の高い審査員が審査を担当したのであれば、企業不祥事を未然に防止できたのではないかという論法です。

 

一義的には、「審査員の専門性が高くなれば審査を通じて不祥事に繋がる遠因を指摘できる可能性は高い」と考えていいでしょう。

某大手ビジネスホテルチェーンの創業社長がかつて産業廃棄物処理法違反で逮捕された事件がありました。

この社長は、廃棄物処理法以前には、「障がい者の利用者は少ないから無駄だ」という理由でハートビル法を無視した客室の違法改造をしていたことでもニュースになりました。

このような不祥事は、廃棄物処理法やハートビル法を熟知している審査員が審査を担当していれば、問題点に気づけた可能性は確かにあると思います。

 

話題は少し変わりますが、国際認定フォーラム(IAF)の基準文書の中で、以下のような規定があります。

 

(以下、引用)

IAF MD1:2018 7.2.3 いずれの時点においても、複数のメンバーからなる複数の審査チームを使用する場合、審査の各部分及び各サイトに要求される専門的力量を特定し、かつ、審査の各部分に対して適切なチームメンバーを割り当てることは、チームリーダーと共に認証機関の責任でなければならない。

(引用ここまで)

 

この規定は、2人以上の審査員で構成する審査チームの場合、審査を担当する部門やプロセスに必要な専門的力量を特定して、適切な審査員を審査に割当てなさい、という意図です。

 

ざっくりした事例ですが、建設会社を審査する2人体制の審査チームで審査する場合、一般的には、建設会社での業務経験がある審査員を2名揃えて審査を実施すれば、仕組み上は、審査チーム及び各審査員の専門的力量には、まず問題がありません。

 

しかし、ひとりは建設会社出身、もう一人は電機メーカー出身という審査チームの場合、どう考えるか?です。

認証機関によっては、「審査チーム全員が建設業経験者であること」と自社基準を設けているでしょう。

またある機関は「審査員の専門性はチームで担保していればよい」と規定している機関もあるでしょう。

どちらの認証機関の規定が正しいということは、一概には言えません。

というのも、「餅は餅屋」という考えもありますが「業界の常識は世間の非常識」という考えもあるからです。

つまり、「業界経験者でなければ、企業実態はわからないでしょ」という考えもあれば、「業界経験者だけで審査チームを構成すると、消費者目線が薄れる可能性があり他の産業経験者もチームに入れるべき」という考えも成り立つからです。

 

したがって、上記に引用した基準は、「この部門やこの業務プロセスは専門性がないと審査が適切にできないよね」を決めておきなさい、ということなのです。

認証機関の立場に立てば、認定審査で指摘を受けにくい、という観点で捉えれば、「専門性がある審査員だけで審査チームを構成します」という運用をするでしょう。

しかし、それでは、先にも述べたように「消費者目線が弱い審査になる」かもしれないし、また、審査される組織によっては「違う業界経験のある審査員はどんな指摘をするか審査を通じて気づきを得たい」という期待もあるでしょう。

 

ケースバイケースで考えなければならないのかもしれませんが、組織が認証機関を選ぶ場合、どのような審査方針なのか、審査チームはどんな考えて編成しているか、について機関に確認しておく必要があると思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ665号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 17:47
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複数法人による一括認証と認証表記の考え方

JUGEMテーマ:ビジネス

 

マネジメントシステム認証の世界では、「認証」が持つ意義として一義的には「その製品やサービスを利用する(潜在的含む)消費者や発注者に対する信頼感担保」という役割があります。

そのため、認証制度の草創期は、「本社をシステム上の顧客」とする「組織」(例:製造工場)単独で認証を受けるようなケースが多々ありました。

しかし、冒頭に記載した役割が「マネジメントシステム認証」にあるとするならば、マネジメントシステム構築の範囲を「本来の顧客やエンドユーザーに対して関係がある組織」とする必要が出てきました。

 

また、今の時代は、「ワンストップサービス」でグループとしての業容を拡大しているケースも多々あります。

「引越し」に例えれば、「引っ越しサービス」という基本業務があります。

しかし、顧客ニーズとして、引越しサービス以外に、

・引っ越しに伴う家具・家電の販売

・引っ越しに伴う清掃、修理・メンテナンスサービス

・引っ越しに伴う電話、電気、水道、ガス等の契約代行サービス

といった関連サービスを利用したいニーズがあります。

そこで、自社の部門を子会社や関連会社として独立させて「ワンストップサービス」をグループ組織として実現するわけです。

 

ただ、物販など各サービスを別会社化すると、「引っ越しに伴わない家具・家電の販売」も徐々に生じてくるわけです。

この場合、家電等の販売、清掃等、契約代行サービスなどについて、「ワンストップサービスの一部」のみを認証対象業務とするならば、認証範囲の表記は、

・引っ越しサービスの企画、提供

で問題ないと思います。

 

ただし、引越しに伴わない単独の「家具等の販売」や「室内清掃」といったサービスを実施し、それを認証範囲に含める場合は、認証範囲の表記は、

・引っ越しサービスの企画・提供

・家具・家電の販売

・室内清掃、室内設備の修理の企画・提供

・インフラの契約代行サービス

といった表記になるでしょう。

 

品質マネジメントシステムの認証の場合は、審査をする場合、ワンストップサービス(複合サービス)と各単独したサービスが適用規格に適合しているか確認することはもちろん、併せて、要求事項の適用不可能についても確認する必要があるでしょう。

 

問題は、環境や情報セキュリティマネジメントシステム認証の場合です。

品質マネジメントシステムの認証は、「製品・サービス毎」に対象範囲を決められます。

しかし、環境や情報の場合は、その組織で実施している業務について一部を除外するという概念は、「サイトや部門が全く別」というケースを除き、通常は無理だと考えられます。

したがって、原則的には、対象とした組織範囲で実施している全ての「製品・サービス」が審査の対象となるでしょう。

 

少し話はそれますが、「環境や情報の場合は、組織が実施している活動内容を認証範囲に表記すればよい」という意見があります。

しかし、私は、この主張には、現状、反対です。

「組織が実施している活動内容を認証範囲に表記すればよい」という主張になると、各部門の組織の内部的な活動も認証範囲の表記に出てきてしまうからです。

ISOの場合は、「サイト毎のサブスコープ」という概念があるので、

・メインスコープ:組織(複数法人の場合はグループ)が提供する製品・サービス

・サブスコープ:サイト毎の製品または活動

という表記ができます。

つまり、「顧客に提供する製品・サービス」と「サイトで実施している業務活動」が区分けできます。

しかし、仮にメインスコープのみの認証表記しかない場合、そこに「内部の業務活動」を表記に入れてしまうと顧客に提供することを意図とした製品なのかそうでないのか、区別が全くつかなくなります。

 

ちなみに、「複数法人による一括認証」は、通常、

・認証登録を申し込んだ法人と会社法の定義による子会社であること

・メインとなる組織以外の法人の議決権が50%以下である場合、メインの組織が統括できる体制にあること

といった条件が課されています。

したがって、

・工業団地で、団地内の複数法人による一括した認証の取得

・事業組合及び協同組合等で、組合の会員法人による一括した認証の取得

といったケースは、「複数法人による一括認証」は、できないのが通例です。

 

少しマニアックな話題ですが、備忘録として記載していきたいと思いますので、参考にしていただけると幸いです。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ671号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 07:14
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ISO認証制度:ASRP

JUGEMテーマ:ビジネス

 

組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「ASRP」について。

 

ISO9001、14001の認証審査には「ASRP」という審査方式があります。

「ASRP」とは、Advanced surveillance and reassessment procedures(先進的サーベイランス・更新審査手順)の略称です。

ざっくりと説明すれば、「組織の内部監査及びマネジメントレビューのプロセスをより信頼」した上で実施される審査手順です。

そのため、認証機関が実際に審査する審査工数は、最大50%程度削減されます。

 

認証される組織の立場から見た、ASRP審査の一般的に言われるメリットを挙げてると、

・組織のマネジメントシステムの成熟度に応じているので、認証審査が効率的になる

・認証審査の審査工数が削減され、運用維持費用の削減ができる

・組織のマネジメントシステムの自立性がより一層高まる

・マネジメントレビュー及び内部監査の有効性がより向上する

・パフォーマンス指標の目標達成のための活動がさらに活性化する

といったことが言えます。

 

ASRPによる審査ができる条件は、

・過去3年間、認証登録が継続されている

・認証審査において重大な不適合がない

・組織に関連した重大な不良製品の発生、環境事故がない

・組織(法人、役職員)が品質・環境問題に起因して行政処分等を受けていない

・利害関係者から苦情等を受けている場合は、その問題が完全に解決している

・認証審査で検出された不適合の是正処置がすべて完結している

・内部監査プログラムを作成し、監査の結果で監査プログラムを見直す手順を定めている

・内部監査員の資格要件が、CEAR主任審査員に登録、または同等の力量を保有すると判断できる

といった要件を満たしている組織になります。

 

一見、上記条件をクリアするのは容易に映るかもしれませんが、認証機関の審査員が内部監査やマネジメントレビューに立ち会うので、結構、ハードルは高いと思います。

ASRPでは、内部監査を認証審査の一部として置き換えるので、内部監査レベルが低ければ、ASRP方式での審査は認められないわけです。

 

したがって、現状、JABのウェブサイトによれば、ASRP方式の認証サービスを提供している機関は4機関のみで、かつ、4機関合計の認証組織数も(想像ですが)おそらく、10組織程度ではないかと思われます。

ただ、ASRPを適用している日本を代表する組織にとっては、認証範囲が広いので、審査工数の削減メリットはもちろんのこと、おそらく「認証審査より深く詳細な内部監査が実施できているという自負があるので、ASRPを今後も積極的に活用していきたい、という考えがあるようです。

 

ところが、IAFのウェブサイトによると、ASRPの基準文書が2019年10月31日付で廃止されたというのです。

https://www.iaf.nu/articles/Mandatory_Documents_/38

 

詳細は、IAFのウェブサイトに譲りますが、

・2019 年10 月下旬にIAF総会が開催された

・IAF 総会にて、「IAF Resolution 2019-16」によりIAF MD3:2008が10月31日付で廃止になった

(MD3→IAF Mandatory Document for Advanced Surveillance and Recertification Procedures

・ASRPの認証を受けている組織との調整のため、1 年間の猶予期間が設定されることが決定された

というのです。

 

未確認情報ですが、IAF総会に出席した関係者の話だと、ASRPの基準文書であるMD3が2008年以降、改定されておらず、各国のASRP適用状況を調査したところ、現状、ほとんど利用されていないことからMD3が廃止にいたったようです。

IAFは、その名の通り、各国の認定機関の集まりですから、ISO規格のように改訂まで何年も掛けるような性質のものではないですが、それにしても、ASRPの認定を受けている認証機関とASRP適用組織にとっては「寝耳に水」的な急な話だと思います。

 

ASRP適用組織であることに誇りを持ち、認証審査より質の高い内部監査が運用されているという自負陣を持ったプライドの高い組織は、もしかしたら、「ASRPが適用されないのであればISO認証を返上し自主運営(自己宣言方式)に切り替える」という対応をとる組織も出てくるかもしれないですね。

適用している機関と組織の今後の動向に注目です。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ673号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 05:32
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ISO認証制度:職業倫理と公平性・独立性

JUGEMテーマ:ビジネス

 

組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「職業倫理と公平性・独立性」について。

 

ISO認定・認証制度に関わらず、「第三者評価」に関係する仕事では、他の仕事以上に、職業倫理と公平性・独立性の確保が必要です。

 

一般的には、私たちの世界では、「公平性・独立性の維持」のために、以下のような規範が定められています。

・独立性を維持し、他者の圧力から守る

・組織との間に、個人的な関係等の利害関係がある場合は、業務を担当しない

・特定の組織に対してコンサルティング業務や類似のサービスを提供した場合は、業務を担当しない

・認証業務の結果に影響を与えるような、商業的、財政的及び他の圧力に拘束されない

・認証の公平性に対する脅威を感じた場合は、契約機関に報告する

・組織に対して、自ら又は間接的に、金銭、物品あるいは接待等利益や便宜の供与を示唆しない

・組織から、自ら又は間接的にも、金銭、物品あるいは接待等利益や便宜の提供を受けてない

・業務に利害関係をもつ全ての人・組織から独立した関係を保つ

・業務に影響を与えるような個人的関係を作らない

 

話は少しそれますが、20年ほど前なら、審査先企業から、昼食をごちそうになるのは、2千円程度ぐらいまでなら「商慣習上の常識」でした。

感覚が当時は、少し麻痺していたかもしれませんが、「また、今日のランチは、マグロの刺身か」とか「マツタケの土瓶蒸しを今週は4回食べてもう飽きたな」といった会話を仕事仲間としていました。

実際のところ、昼食を用意してもらったからといって、審査結果に影響を与えることはない、という自信はあります。

ただし、その状況を他者が見たらどう感じるだろう、という視点を持ち、公平性を意識した職業倫理をもつ必要があるわけです。

 

私は外資系機関での勤務経験がありますが、そこでは、「株式を保有してはいけない」という規定もありました。

当時の私のポジションで考えたら、検査や審査結果により、その組織の株価に影響が出る、ということは実際問題として、まずありえませんが、認証事業で責任のある役職者であれば、その判断によって関係組織の株価に影響(悪影響も好影響もある)はすることはあるでしょう。

 

ただ、この公平性・独立性ですが、そもそも、認定認証ビジネス自体が、「審査料」という対価を審査先組織からいただくモデルで成り立っているので、あまりちまちました話だと虚しくなることもあります。

職業倫理観が最も問われるといわれる司法関係者であっても、裁判官や検事は公務員なので、自身の人事を左右するような立場の人からは間接的に、公平性や独立性について影響を受けるわけですから。

 

この公平性・独立性のポイントはこれらに対して「他者からみてあらぬ疑いをもたれないような仕組みや行動になっているか」という点が重要になるのだと思います。

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重たく考えずに「是正処置」を実施しよう!(後編)

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(前編からの続き)

確かに、「是正処置」では、記録を残すことが求められるので、「重たい」、「そうした是正処置関連業務が面倒」となって、「即時措置」で済ませてしまうきらいはあります。

ただ、程度問題やケースバイケースな所も、正直ありますが、原則的には、「不適合を繰り返さない仕組みづくり」がマネジメントシステムであり、継続的改善の原則ですから、「不適合が出たら是正処置を実施する」ことが基本になります。

また、そのためには、「不適合を感知する仕組み」と「その不適合原因を究明し再発防止を検討する」をしっかり関係者が認識し、理解しておくことが重要です。

 

参考までに、品質マネジメントシステム規格(ISO9001)で規定されている「不適合及び是正処置」について、概要を下記に掲載します。

 

(規格より引用編集)

「不適合及び是正処置」

苦情から生じたものを含め、不適合が発生した場合、次の事項を行わなければならない。

a)その不適合に対処し、該当する場合には、必ず、次の事項を行う

1)その不適合を管理し,修正するための処置をとる

2)その不適合によって起こった結果に対処する

 

b)その不適合が再発又は他のところで発生しないようにするため、次の事項によって、その不適合の原因を除去するための処置をとる必要性を評価する

1)その不適合をレビューし、分析する

2)その不適合の原因を明確にする

3)類似の不適合の有無,又はそれが発生する可能性を明確にする

c)必要な処置を実施する

d)とった全ての是正処置の有効性をレビューする

e)必要な場合には,計画の策定段階で決定したリスク及び機会を更新する

f)必要な場合には,品質マネジメントシステムの変更を行う

 

是正処置は、検出された不適合のもつ影響に応じたものでなければならない

(引用、ここまで)

 

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ658号より)

 

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重たく考えずに「是正処置」を実施しよう!(前編)

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「是正処置」をざっくり説明すれば、「不適合原因を除去して、再発防止対策を実施すること」となります。

 

日常生活に例えれば、

 

《風邪をひいて高熱が発生した》→不適合

《風邪薬を飲んで熱を平熱に戻した》→修正処置

《風邪の原因を調査したら寝冷えによるものだった》→不適合原因

《室内温度が12℃以下になったら布団を重ねて寝冷えを防ぐ仕組みにした》→再発防止

 

という感じになります。

 

では、是正処置のトリガー(きっかけ)となりうるものには、どんなものがあるでしょう。

是正処置は、「不適合」が「出発点」になります。

では、この出発点となる不適合ですが、ざっくりと説明すれば「不適合とは要求事項を満たさないこと」です。

 

では、要求事項には、どんなものがあるかといえば、

・明示された要求事項

・暗黙の要求事項

・ニーズ、もしくは期待

があります。

 

このような観点で捉えると、

・市場(顧客/ユーザー)からの苦情

・利害関係者からの苦情

・内部監査による指摘

・外部監査による指摘

・法規制等の逸脱

・組織に該当する法規制等を主管する当局からの指摘

・提供する製品、サービスの不具合、ミス

・業務プロセスにおける手順の逸脱

・目標や目標達成手段の逸脱

・業務プロセスを実行、確認する上で気づいた不具合、ミス

・製造プロセスや業務プロセスの管理値からの逸脱

・会議やマネジメントレビュー等、内部コミュニケーションからの指示事項

・リスクマネジメントや改善活動等にて発生した情報

・システムや規定要求事項からの逸脱

・安全管理など事故の発生

・修正レベルの事象が頻発した場合

・その他上記以外の逸脱情報

といったものが、トリガーとして考えられます。

 

しかし、

・苦情

・監査での不適合

・製品不良

・法規制からの逸脱

・事故

以外は、あまり、「不適合」として認識されず、したがって、是正処置の必要性が評価されていないケースが多いです。

 

また、「間違いやミスに気づいたらすぐにやるから、それらは是正処置として扱っていない」と言われる方もいます。

「気づいたらただちに修正いている」・・・それ自体は、立派なことです。

しかし、それでは、間違いやミスの原因の除去になっていないので、仕組み上、また、間違いやミスが発生する可能性が懸念されてしまいます。

(後編に続く)

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ658号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 07:56
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浄化槽と下水浸透ます

JUGEMテーマ:ビジネス

 

組織の品質マネジメントシステムと環境マネジメントシステム(ISO900114001規格)が2015年に改訂されました。

下世話な話ですが、一般的に、マネジメントシステム規格が改訂されると、コンサルタントは商売になります。

・改訂された規格の概要説明会

・改訂に伴う組織のマネジメントシステムの改訂に関するコンサルティング

・内部監査員に対する追加の教育

などです。

 

また、これらの依頼で組織に訪問すると、組織に新たな課題が発生していて、その課題解決に関するアドバイスなどの依頼が併せてされることがあるからです。

ただ、個人的には、規格の改訂にともなう積極的な営業活動をしませんでしたので、「規格が改訂されても、かつてのクライアントさまからのコンサル依頼は思ったほどないなぁ」と感じていました。

 

しかし、改正された規格の認証移行期限が2018年9月と1年半を切ったこともあり、今になって(笑)依頼が増えてきました。

ひさびさに訪問してみると、かつての事務局を担当されていた職員の方や部長さんはすでに定年退職されていたりします。

私は顔を覚えていないのですが、相手が「先生の講習会を受けたことがあります」と覚えていてくれたりして、なんだかありがたい話です。

 

さて、このような経緯である会社に訪問しました。

その会社の一部のサイトが、市街地から外れた田舎にあるので、雑談トークで「この建屋のし尿を含めた雑排水は、浄化槽で処理しているんですか?」という話になりました。

 

ちなみに、「浄化槽」とは、

水洗式便所と連結して、糞および尿と雑排水(生活排水)を処理し、浄化して、下水道以外の側溝などに排水するための設備です。

側溝など排水経路が整備されていない地域では、浄化槽で処理した排水を下水浸透桝(ます)で地下浸透させる場合もありますが、いずれにせよ、「浄化槽」があると思っていたのです。

 

すると、その建屋の排水は、直接、下水浸透桝から地下浸透させているそうなのです。

技術的なことはわかりませんが、感覚的には、常駐職員は少ないし、シャワー室など大量に水を使用することもないので、下水浸透桝が飽和することはしばらく(10年単位?)ないでしょう。

また、お聞きすると行政からも、その建屋がある一部の地区については、浄化槽の設置は義務付けられていないそうです。

しかし、下水道網が発達し、下水道のないところでも衛生面だけでなく環境保全の観点から浄化槽の設置が普及した今、「排水が直接、下水浸透桝を通して地下浸透させる」方式は、かなり久々に見ました。

 

ちなみに、その会社は、品質マネジメントシステム適用の会社で、環境は今後準備するという会社です。

法令や条例上は問題ないようですが、その建屋での業務量が増えた場合または10数年後には、下水浸透桝の土壌の水分吸収が飽和する、あるいは、ヘドロ化して地下浸透しにくくなるリスクがあるので対策を検討することを助言してきました。

 

それにしても、月並みですが、企業経営する際は、考慮することが山のようにあり、人や設備を使って仕事をするのは、なかなか大変なことだな、とつくづく思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ541号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 07:47
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ISO認証制度:水道供給における設計・開発

JUGEMテーマ:ビジネス

 

組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「水道供給における設計・開発」について。

 

ISO9001規格が2015年版に改訂された際に、設計・開発の定義が、

「要求事項を、製品、プロセス又はシステムの、規定された特性又は仕様書に変換する一連のプロセス」から、「対象に対する要求事項を、その対象に対するより詳細な要求事項に変換する一連のプロセス」

と変わりました。

 

つまり、「8.2 製品及びサービスに関する要求事項」で明確にした製品・サービスに関する要求事項だけで、8.4項以降に関わる製品・サービスの提供がそのまますぐにできるという状態であるなら、「8.3製品及びサービスの設計・開発」プロセスは無く、「8.3は適用不可能」といえるでしょう。

 

水道法では、水道事業は市町村が経営することとされています。

なお、水道供給に関しては、「水道用水供給事業」と「水道事業」があります。

「水道用水供給事業」とは、「水道事業者に用水を供給する事業」を指しています。

ちなみに、私の実家のある千葉県(2019年現在)は、6つの水道用水供給事業者と37の水道事業・簡易水道事業者が千葉県より認可を受けており、直近のデータではありませんが、2014年では、総人口約620万人に対して給水人口約589万人で上水道の普及率は95.1%となっています。

また、千葉県の場合、各家庭に給水する水道事業者は、前記した37の水道事業・簡易水道事業者以外に千葉県営水道として「千葉県企業局(旧千葉県水道局)」(11市に給水)があります。

 

千葉県内の事業所への工業用水に関しては、千葉県企業局が管轄しており、2019年現在、千葉県工業用水道事業地区は「7区域」あります。

千葉県企業局のウェブサイトによれば、現在「5区域」が「工業用水の新規受水」を募集しています。

 

話題を本題である「水道供給における設計・開発」に戻しますが、千葉県を事例として考えれば、「水道用水供給」は、顧客が「市町村等の水道局」、「工業用水供給」は、顧客が「各企業(工場)」となります。

水道供給の場合、顧客である市町村の宅地計画や人口予測により市町村と協議して企業局は供給水量を変更したり、新たに浄水場や導管を付設することになります。

また、工業用水供給の場合は、顧客である工場が新たに受水契約する場合は、千葉県企業局が配水管布設工事の責務があります。

また、大規模工場を誘致する場合で、工業用水事業区域内の現供給量を超えてしまう需要予測がある場合は、新たな工業用水の導管を付設することもあるでしょう。

 

・・・このように考えていくと、日常的な市町村や工場への水道用水、工業用水の供給のプロセスには、「8.3製品及びサービスの設計、開発」は、該当するプロセスが殆どないと思います。

(注1:製品を「水道水」、「工業用水」と考えるなら水道法や条例で製品基準が決まっている)

(注2:“安心・安定の水道、工業用水の供給”が、公企業としての責務と考えるならば、浄水施設(配水管含む)の耐震化計画などの活動は、「設計・開発」と位置付けることもできると思います)

 

しかし、給水人口の増加や新規契約の工場が生じた場合は、「8.4項以降に関わる製品・サービスの提供がそのまますぐにできるという状態」ではないと思います。

つまり、「水道、工業用水供給事業」について「8.3 製品及びサービスの設計・開発」を「適用不可能」とするのは、マネジメントシステムの構築という観点では、適当ではないと思います。

 

JABのウェブサイトで「分野27(給水)」を検索すると、ISO9001の登録事業者は「16」あります。

ただし、多くの認証組織は、「工場内の給水」(注3:外部に提供する製品といえるか微妙なものもありますが)や「浄水場」として組織範囲を限定しているケースが多いようです。

「浄水場」と範囲を限定していると、確かに、「浄水場の製品」は「水道水」となりますし、浄水場の上部組織(例:水道事務所等)が顧客(市町村)窓口となるので「浄水場」自体が、需要予測に基づく新たなポンプ場の設置や配水管の付設を担うことはありませんので、「設計、開発は適用不可能」という理屈は成り立つでしょう。

しかし「市町村の水道局(水道事業)」や「都道府県の企業局等(水道用水供給事業)」が認証を取得する場合は、「設計・開発の適用不可能」は、一般的には成り立たないと思われるので、組織のマネジメントシステム構築の考え方や認識を第三者(認証機関、市民等)は確認する必要があるでしょう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ672号より)

 

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author:有賀正彦, category:ISOマネジメントシステム全般, 15:20
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